デンタルコラム

【症例紹介有】歯周病・歯槽膿漏の治療にかかる費用と期間目安

こんにちは、おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。

「歯周病、歯槽膿漏の治療にはいくらくらいかかるのか?」
「期間はどれくらいかかるものなのか?」

「もしかしたら自分は歯周病、歯槽膿漏かも」と思った時に、次に頭に浮かぶのはこうした疑問です。しかし歯周病認定医の私がこの質問に答えるとしたら、虫歯治療の費用についてのデンタルコラムの時と同じく、「診てみないとわからない」です。

理由は二つ。一つは年齢や加入している保険によって、医療費の負担率が変わるから。もう一つは歯周病、歯槽膿漏の進行具合によって必要な治療が変わるため、かかる費用も期間も患者様によって違うからです。

今回は歯周病、歯槽膿漏の治療の概要を説明するとともに、当院で実際に治療を行った患者様4名を紹介するので、進行具合でどれだけ費用・期間が変わるのかを知っていただければと思います。

※お口の中の写真などが掲載されているため、苦手な方やお食事中の方はあらかじめご注意ください。

※以下では、歯周病と歯槽膿漏をまとめて「歯周病」と表記しています。両者の違いについては、歯槽膿漏とは何か?歯周病とどう違うのか?で詳しく解説していますので、気になる方はご参照ください。

目次
  1. 歯周病は患者様と歯科医院が二人三脚で治療する
  2. 患者様によって大きく変わる、歯周病治療の費用と期間
    1. 40代女性・5万円+保険診療・約1年
    2. 20代女性・80万円・1年半
    3. 40代女性・300万円・4年
    4. 50代女性・500万円・1年半
  3. まとめ

歯周病は患者様と歯科医院が二人三脚で治療する

日本臨床歯周病学会と日本歯周病学会が共同で作成した、歯周病の理解を広めるためのコンテンツ「にゃんかむちゅ〜」の特設サイト(声優:花江夏樹さん デザイン:カナヘイさん)でも書いているように、歯周病は日本人が歯を失う原因の第一位です。

世界各国の研究によって、歯周病やそれに伴う歯数の減少は、糖尿病や高血圧、心臓病や認知症と関連性があるということもわかってきています。

このあたりは、慶應技術大学の伊藤裕先生考案の「メタボリックドミノ」という概念でも説明されています(メタボリックドミノについては保険診療を守る予防歯科の重要性をご参照ください)。

では歯周病を治療するためには、何が必要なのか。それは歯科医院と患者様の二人三脚の体制です。というのも、歯周病の治療は次のような流れで進めるためです。

引用:e-ヘルスネット

ここで重要なのは3点です。

  1. 病状にかかわらず、歯みがきによる日々のメンテナンスが必須なので、患者様自身の歯みがき技術の向上が求められること。
  2. 中等度以上の治療は、メインテナンスを除いても1〜2回では終わらない場合が多いので、患者様には何度も歯科医院に通っていただく必要があること。
  3. メインテナンスは人生を全うするまで続くため、いわば「歯周病の治療は終わらない」ということ。

どんなに技術・知識のある名医でも、患者様の協力・努力がなければこの3点を満たすことはできません。だから歯周病治療には歯科医院と患者様の二人三脚の体制が必要なのです。

患者様によって大きく変わる、歯周病治療の費用と期間

ここまでの内容を踏まえたうえで、以下では4名の患者様の症例を紹介します。

いずれの患者様も、根気よく当院の治療に向き合っていただきましたし、生活習慣や歯みがきの技術など、自分自身とも向き合っていただきました。

4名の患者様が今なお健康なお口で生活できているのは、その賜物と言えます。

40代女性・5万円+保険診療・約1年

まずは中程度から一部重度の症例です。

この患者様は、以前から揺れていた下顎右側の歯が激しくぐらつくようになったため、近隣の歯科医院を受診。そこでは重度の歯周病は治療できないと言われ、歯周病専門医の当院を受診されました。

結果的に初診の時点で重症だった、下顎右側、上顎左側の2本の歯は失うことに。しかしその他の歯は中程度の歯周病で持ち堪えていたため、歯科衛生士が歯石取りを行うのみで、その後15年以上歯を失うことなく過ごされています。

当初、自費診療となる細菌検査代5万円はかかりましたが、それ以外は全て保険診療で治すことができた症例です。

詳しくはこちらの症例紹介をご覧ください。

20代女性・80万円・1年半

次は重度だったものの、すべての歯を残せた症例です。

この患者様は1年間ほど、歯を磨いた時、硬いものを噛んだ時に歯ぐきに痛みを感じるとともに、出血もしていたため、気になって当院を受診されました。

診察したところ、歯周病はお口全体に広がっており、かつ重度な症状でした。

そこで歯周病で溶けてしまった骨を再生する歯周再生療法を提案。

患者様にご納得いただいたうえで実施したところ、なんとかすべての歯を残すことができました。この患者様は治療終了のあとメインテナンスに移行し、40代になった現在までお口の健康を維持しています。

詳しくはこちらの症例紹介をご覧ください。また、歯周再生療法については、プロがおこなう歯石除去再生療法は「魔法」の治療法なのか?をご参照ください。

40代女性・300万円・4年

続いては、先ほどの患者様より少し歯周病が進行していたことで、一部の奥歯を抜かざるを得なかった症例です。

この患者様は他の歯科医院でずっと定期検診を受けていましたが、前歯が伸びてきてぐらぐらしており、その歯科医院ではすぐ抜かれそうと不安になって来院された患者様です。

診察をすると、噛みあわせが悪いために奥歯に強い負荷がかかっており、今にも抜けそうな状況でした。

疲弊しきった奥歯はどうしても残すことができず、患者様に同意を得たうえでインプラント治療を実施。同時に残せる歯には歯周再生療法を施しました。さらに同じことが起きないように矯正治療で噛みあわせを整えました。

詳しくはこちらの症例紹介をご覧ください。

院長 奥田

せめて10年前に当院を受診してくださり、矯正治療を施せていれば、今回抜かなければならなかった歯も残せていたかもしれません。歯周病は「手遅れになる前」に治療することがとても大切なのです。

50代女性・500万円・1年半

最後に紹介するのは、さらに歯周病が進行したことで、上顎の前歯2本しか残せなかった症例です。

この患者様は歯医者が苦手で、自分の歯が悪いことは知っていたものの、ずっと受診できなかったそうです。

診察の結果、ほとんどの歯がすでに骨から浮いている状態で、どうしても歯を残すことは難しいと判断。インプラントと入れ歯を併用することで、機能的にも見た目的にも健康なお口を取り戻すことにしました。

詳しくはこちらの症例紹介をご覧ください。

まとめ

歯周病の治療には1年〜4年、場合によってはもっと時間がかかる場合もあります。重度であるほど、費用も高くなります。

そのため、治療をやり遂げるには、歯科医師、歯科衛生士の知識・技術だけでなく、患者様自身の協力と努力が必要不可欠です。

今回紹介した4名の患者様が健康なお口を取り戻せたのも、一人ひとりの患者様が私たちの治療に協力いただき、ご自身でも努力をしていただいたからこそです。もしそれらがなければ、結果は全く別のものになっていたでしょう。

人生100年と言われる現代においては、お口の健康は「好きなものを食べ続けられるかどうか」という人生の質に大きく関わってきます。

歯周病と糖尿病や高血圧、心臓病や認知症との関連性を考えると、人生の量=寿命にも関わってくることになります。

信頼できる歯科医院をできるだけ早く見つけ、ご自身のお口の健康を守っていただければと思います。

院長 奥田

プロが考える「歯医者の選び方」まとめに当院の歯科医師・歯科衛生士が考える良い歯科医院の特徴をまとめてあります。歯科医院選びの参考にしてください。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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