デンタルコラム

これからのお口の健康にとって大切なこと———医科歯科連携についての記事まとめ

みなさんこんにちは、おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。

近年の研究により、お口以外の病気(医科の分野)とお口の病気(歯科の分野)の関連性が次々と明らかになっています。

例えば歯周病と糖尿病、低体重児出産の関係、虫歯治療と金属アレルギーの関係、ほかにも睡眠時無呼吸症候群や骨粗しょう症もお口の健康に関係していることがわかってきました。

結果として、以前にもまして医科と歯科が連携して1人の患者様を治療する医科歯科連携の重要性が叫ばれています。

ここでは医科歯科連携の現状をお伝えするとともに、当院がこれまでに掲載してきた、医科歯科連携についての記事をまとめてご紹介します。

目次
  1. 医科歯科連携のこれまでとこれから
  2. 当院の医科歯科連携についての記事まとめ
    1. 医科歯科連携への取り組みについて
    2. 口臭と体の病気には深い関係があります
    3. 妊婦の方・家族の方に知ってほしい「歯周病と胎児の関係」
    4. SAS(睡眠時無呼吸症候群)における医科歯科連携の重要性
    5. 医科歯科連携が切り拓く、骨粗しょう症の早期発見・治療
    6. 金属アレルギーでお口の中にトラブルがある場合の対処法
  3. まとめ

医科歯科連携のこれまでとこれから

皆さんは歯科と医科が併設されている病院に行ったことがあるでしょうか。おそらく、行ったことがあるという人は少ないはずです。

というのも厚生労働省の資料によれば、歯科を設置している病院は全体の2割。

歯科医師の約9割がいわゆる「町の歯医者さん」に勤めており、病院勤めの歯科医師は全体の3%程度しかいないことがわかっているからです(2014年時点)。

なぜここまで歯科と医科が分離されているのでしょうか。その発端は19世紀のアメリカにあります。

アメリカ初の公立大学の医学部、マリーランド大学医学部が創設された際、science(科学)である医科に対して、歯科はart(技術)であるとされ、教育カリキュラムが別々に設けられたのです。

この出来事は明治期の日本にも影響を及ぼします。

それまで歯科を口中科として医科の一部として扱っていた日本でしたが、西洋を模倣した明治政府はアメリカと同じく医科と歯科を別のものとして区分しました。

その後も段階的に医科と歯科は分断されていき、1906年に医師法と歯科医師法が制定されたタイミングで法的にも分けられてしまったのです。

以降、日本では医科と歯科の連携がほとんど行われないまま現在に至ります。

ではどうして近年になって医科歯科連携が叫ばれるようになったのでしょうか。

大きな理由の一つは冒頭で述べたように糖尿病や低体重児出産、金属アレルギーや睡眠時無呼吸症候群、骨粗しょう症といった重大な病気とお口の健康との関係性が明らかになってきたからです。

例えば糖尿病は日本人のうち男性の約5人に1人、女性の約10人に1人が「糖尿病が強く疑われる」とされている国民病であり、長らく問題視されている医療費問題に直結している病気でもあります。

医科歯科連携を通じて少しでもこうした病気が改善されるのであれば、政府が重要な施策として推進するのも当然でしょう。

その甲斐あって、地方都市を中心に医科歯科連携の取り組みも全国的に増えてきています。

とはいえ、まだまだ「どの歯科医院・病院に行っても医科歯科連携の恩恵が受けられる」という状況ではないのも事実。

我々医療人が尽力するのは当然のことです。しかし患者様からの歩み寄りなしに、真の医科歯科連携は実現できません。

そこで患者様には、以下にまとめた当院の医科歯科連携についての記事をご覧いただいて、まずは医科歯科連携の重要性を知っていただきたい。

そしてご自身の健康のために、そうした取り組みをしている歯科や医科を意識的に選んでいただきたいと思います。

当院の医科歯科連携についての記事まとめ

医科歯科連携への取り組みについて

おくだ歯科医院では現在、毎月はじめの来院日に患者様自身で血圧を測っていただいています。

医科歯科連携への取り組みについての中ではその理由をわかりやすく説明しています。

そして、歯科医院が医科歯科連携を通じて、従来の対症療法的な「なってしまった病気を治す医療」ではなく、「病気になる前に予防する医療」を提供するために歯科医院が重要な役割を果たし得るということを解説しています。

また、歯科医院は得てして親子2世代、3世代で通っていただくことが多いのですが、それが結果的にどのようなメリットをもたらすのかについても紹介しています。

医科歯科連携に対する当院のスタンスを知りたいという方に、ぜひ読んでいただきたい記事となっています。

口臭と体の病気には深い関係があります

「口臭がすると指摘されたことがある」
「なんだか自分の口臭が気になる」
「家族や友人の口臭がキツいが、伝えにくい」

そんな悩みを抱えている人は、ぜひ口臭と体の病気には深い関係がありますの記事を読んでいただきたいと思います。

口臭には治さなくてもいい口臭と、治すべき口臭がありますが、この記事ではその違いを具体的に解説しています。

また臭いの対応別に、蓄膿症、大腸癌、肺がん、糖尿病、肝硬変など、かかっている可能性がある病気も一覧にして紹介。口臭と体の病気の関係について、詳しく説明しています。

妊婦の方・家族の方に知ってほしい「歯周病と胎児の関係」

母体の歯周病は、胎児の体に重大な悪影響を及ぼし、低体重児出産や死産の可能性を高めてしまうということをご存知でしょうか。

妊婦の方・家族の方に知ってほしい「歯周病と胎児の関係」では、妊婦の方が歯周病にかかりやすい理由をはじめ、胎児の健康との関係性を具体的な研究結果をもとに解説しています。

また妊婦の方が不安に感じるレントゲン撮影や麻酔、投薬に関する疑問についても説明。

歯科と産婦人科の連携についても触れながら、生まれてくる子供の未来を守るためにどうすればいいのかをお話ししました。

妊娠しているご本人はもちろんのことその家族の方にも、ぜひご一読いただきたい記事です。

SAS(睡眠時無呼吸症候群)における医科歯科連携の重要性

睡眠中に呼吸にトラブルが起きて体が低酸素状態になり、その結果日常生活に様々な障害を引き起こす病気、それがSAS(睡眠時無呼吸症候群)です。

2004年、2008年の研究では日本人のうち男性の9%、女性の3%がかかっていると言われています。

SAS(睡眠時無呼吸症候群)における医科歯科連携の重要性ではこの病気が引き起こす問題やなりやすい人の特徴を紹介するとともに、どのような形で医科(SAS外来など)と歯科が連携するのかについて解説しています。

「日中知らないうちに眠ってしまっていることがある」
「家族にいびきがうるさいと言われた(家族のいびきがうるさい)」

こうしたことに心当たりがある人は、一度目を通しておいていただきたい記事です。

医科歯科連携が切り拓く、骨粗しょう症の早期発見・治療

骨粗しょう症は骨の量が減少して強度が下がり、骨折が起きやすくなる病気です。

女性、特に閉経後の女性に多い病気と言われており、近年は骨粗しょう症から骨折、骨折から寝たきりへと状態が悪化してしまう人も少なくありません。

さらには、そこから数年後に亡くなってしまうという順序を辿る人がかなり多いということもデータでわかってきています。

医科歯科連携が切り拓く、骨粗しょう症の早期発見・治療ではこの病気の早期発見・治療のために、医科歯科連携がかなり重要な役割を果たし得るというこを、具体的な研究を紹介しながら説明しています。

金属アレルギーでお口の中にトラブルがある場合の対処法

・口の中に常にひりひり感がある。
・口内炎ができやすく、一度できるとなかなか治らない。
・手や足に水ぶくれ(水疱)ができてかゆみがある。

金属アレルギーでお口の中にトラブルがある場合の対処法は、こうした症状に心当たりがある人にぜひとも読んでいただきたい記事です。

というのも、これらはお口の中の状態が原因で引き起こされる皮膚の病気である可能性があり、皮膚科との医科歯科連携で改善できる場合があるからです。

記事では、代表的な病気である掌蹠膿疱症や扁平苔癬の症状について詳しく紹介するとともに、皮膚科と歯科がどのような手順で連携して治療を進めていくのかをわかりやすく解説しています。

まとめ

お口以外の場所で起きている病気が、お口の健康に深くつながっていることが次々と明らかになってきています。

一方で、十分に医科歯科連携が機能するようになるにはまだまだ時間がかかるというのが現状です。

今の状況を打破するためには、誰よりもまず私たち医療人が、患者様のお口だけでなく全身の健康を維持・改善するために、積極的に連携していかなければなりません。

しかし同時に、病気を治すのはあくまで患者様自身でもあります。

仮に毎月歯科医院でお口の中のケアも大切ですが、日々の歯磨きもとても大切です。

病院で高血圧の薬をもらっていても、食事や運動など生活習慣を変えなければなかなか病気は良くなりません。

当院は今後も引き続き、医療人として医科歯科連携を進めてまいります。

ですから患者様も自身の体の状態に興味を持ち、我々と二人三脚で健康の維持改善に努めていただければ幸いです。

院長 奥田

近い将来、人生100年時代が来ると言われていますが、健康に長生きしてこその人生です。そのためにも、まずは自分の体に興味を持つことから始めてみてはいかがでしょうか。

診療内容

当院について

デンタルコラム

院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

詳しく見る