デンタルコラム

歯槽膿漏とは何か?歯周病とどう違うのか?

こんにちは、おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。

みなさんは歯槽膿漏というお口の病気をご存知でしょうか?もしくは歯周病という病気はご存知でしょうか?あるいは歯周炎はどうでしょうか?

今回は歯槽膿漏について詳しく解説するとともに、混同されがちな歯周病、歯肉炎、歯周炎、虫歯といったお口の病気との違いについてもわかりやすく説明します。

目次
  1. 歯槽膿漏とは?
  2. 歯槽膿漏、歯周病、歯肉炎、歯周炎、虫歯……それぞれの違いは?
  3. 保険診療で対応できる歯槽膿漏/できない歯槽膿漏
  4. まとめ

歯槽膿漏とは?

歯槽膿漏とは、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌(P.g.菌)が主な原因菌として発症するお口の中の病気です。

P.g.菌は口の中の血液中に含まれる鉄分が大好物です。P.g.菌が鉄分を代謝するとジンジパインという毒素が出ます。この毒素は歯茎を出血させたり、腫れさせたり、骨を溶かしたりします。

  • 歯を磨いていたら歯茎から血が出てくる。
  • 歯茎が腫れて痛みを感じる。
  • 最近、自分の口が臭いような気がする/周囲から臭いと言われた。
  • 歯がぐらついている/抜けてしまった。

こういった歯槽膿漏の症状はP.g.菌とジンジパインの仕業なのです。

また歯茎から出血しているということは、口の中のP.g.菌に絶えずエサ(血液中の鉄分)を与え続けているということでもあります。

放置していると、P.g.菌が繁殖して歯槽膿漏が進行し、歯槽膿漏が進行するからさらに出血が増え、またしてもP.g.菌が繁殖して……という悪循環が続きます

歯槽膿漏、歯周病、歯肉炎、歯周炎、虫歯……それぞれの違いは?

歯槽膿漏と一緒に語られるお口の病気として、歯周病、歯肉炎、歯周炎、虫歯が挙げられます。どれもよく似ていてややこしい、と感じる人も多いかもしれません。

しかし実はこの5つは大きく2つの病気に分けて考えられるのです。以下でこの5つの違いをしっかり理解しておきましょう。

歯周病歯肉炎、歯周炎など、P.g.菌が原因で起きる炎症性疾患の総称。
歯肉炎歯周病になり、歯周ポケットが3mm以上でかつ出血があると「歯肉炎」と診断される。
歯周炎歯肉炎が悪化し、歯周ポケットが4mmを超えると「歯周炎」と診断される。
歯槽膿漏歯肉炎、歯周炎といった分類がなかった時代の重度の歯周炎の呼び方。今の歯科の現場ではあまり使われない。
虫歯P.g.菌とは全く別の「虫歯菌」が原因で発症する病気。

要はこの5つは歯周病虫歯という2つの病気に分けられるのです。一方で、歯肉炎と歯周炎は歯周病の程度を表しており、歯槽膿漏は重度の歯周炎の古い呼び方である、というわけです。

ちなみに歯周炎は医学の発展に伴ってさらに細分化されるようになり、現在では4つのステージと3つのグレードに分類され、それぞれに応じた治療方針が定められています。

患者様がそれらを全て知っておく必要はありません。しかし歯周病にも症状の進行具合で様々な診断名があり、症状に応じた治療が必要であるということは知っておいて損はないでしょう。

保険診療で対応できる歯槽膿漏/できない歯槽膿漏

歯槽膿漏は重度の歯周炎の古い呼び方であると書きましたが、では歯槽膿漏になった場合、どのように治療を進めていくものなのでしょうか。

大切なのは患者様ご自身でお手入れができる程度まで、歯周ポケットを減らすこと。そのために次の手順で治療を進めていきます。

  1. 歯周病の検査を行う。
  2. 歯磨き指導を行う。
  3. 歯石除去を行う。(場合によっては何度かに分けたり、麻酔を使ったりすることも)
  4. 一定期間後に再度歯周病の検査を行う。
  5. 深い歯周ポケットが残っていた場合、再度歯石除去を行う。

ここまでしても検査で深い歯周ポケットが見つかる場合は、歯科医師が歯茎を切開して歯石を除去する、骨の再生治療を行なって歯周ポケットを減らす、といった処置を行います。

歯槽膿漏の治療は基本的に保険診療での対応が可能です。

しかし歯科医師による外科処置や再生治療のほか、インプラント治療が必要な場合や、歯全体がぐらついている場合など、高度な歯科医療が求められる際は自費診療になるケースもあります

時間と労力、何よりお金を節約したいという方は、できるだけ早い受診をおすすめします。

院長 奥田

歯槽膿漏の治療は「血が止まったら終わり」「歯石がなくなったら終わり」ではありません。むしろそのあとの定期検診による再発防止が大切です。おくだ歯科医院はそこまできっちりお世話をしますので、二人三脚で共にお口の健康を守っていきましょう。

まとめ

歯槽膿漏とは、今の歯科用語で言えば歯周炎のことを指します。歯周炎は放置すると歯が抜けてしまったり、それがきっかけで様々な生活習慣病につながったりと、いいことが一つもありません。

進行するほど、治療には時間もお金もかかります。そうならないためにも、心当たりがある人はできるだけ早く歯科医院に行って検査・治療を受けるようにしてください。

院長 奥田

歯槽膿漏、歯周病、歯肉炎、歯周炎、虫歯……いずれもお口だけでなく、全身の健康に関わる病気です。「痛いわけじゃないし」と甘く見ないで、早めの検査・治療をおすすめします。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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