みなさん、こんにちは。おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。
当院のブログを読んでおられる方の中には、次のような顎の違和感があり、「自分は顎関節症なのではないか?」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。
- 顎が動かしにくいと感じることがある
- 最近、食べ物が噛みづらくなった
- 顎を動かすと痛みがある
- 以前に比べて、口を大きく開けなくなった
- 顎を動かすと、カクカク、ジャリジャリ、ミシミシといった音がする など
顎関節症は放置すると徐々に悪化し、会話や食事などの日常生活に大きな支障が出るようになるため、できるだけ早い段階での適切な処置が重要です。
そこで今回は、顎関節症のセルフチェック方法をご紹介します。チェックの結果、顎関節症に該当した方は、悪化する前に信頼できる歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
顎関節症の4つのステージ
顎関節症は1型〜4型の4つのステージに分類されます。下表は各ステージの症状をまとめたものです。
ステージ | 名称 | 症状 |
1型 | 咀嚼筋痛障害(初期) | ・肩こり ・顎を動かすと違和感や痛みを感じることがある ・顎が動かしにくくなった気がする |
2型 | 顎関節痛障害 | ・耳の穴の前方あたりに痛みを感じる ・顎を動かすと違和感や痛みを感じる ・何もしていなくても、顎に鈍痛がある ・顎を軽く抑えると痛みがある |
3型 | 顎関節円板障害 | ・口を開閉するとカクカク、ジャリジャリ、ミシミシといった音がする ・以前に比べて口が大きく開けられなくなった ・口をゆっくり開閉すると顎が揺れる |
4型 | 変形性顎関節症 | ・口を開閉すると、ゴリゴリ、ジャリジャリといった音がする ・顎が動かしにくく感じる ・顎に痛みがある |
顎関節症は悪化に伴って1型、2型と進行していくこともあれば、原因によって複数の型が組み合わさって発症する場合もあります。いずれにせよ、3型、4型を発症すると治療の難易度が上がり、日常生活への悪影響も大きくなってしまいます。
上記のような症状に心当たりのある方は痛みがなくても、歯科医院で早期治療を受けることが大切です。
顎関節症のセルフチェック
とはいえ、多くの人にとって歯科医院とはなるべく行きたくない場所です。多少の顎の違和感や痛み程度なら「我慢すればいいや」と誤魔化してしまうかもしれません。実際、顎関節症の多くは、放置していても治ってしまいます。
しかし下記の方法でセルフチェックに該当する場合は要注意。誤魔化さずに歯科医院を受診するようにしましょう。
マッサージによるセルフチェック
1型、2型の顎関節症の有無を確認できるのが、マッサージによるセルフチェックです。以下の部位を指の腹や軽く握った拳でマッサージをしてみて、痛みを感じるようなら1型、2型の顎関節症の可能性があります。
咬筋
頬に手を当て、顎に力を入れると膨らむ筋肉。耳の付け根の下側から顎の中ほどまでの範囲を、軽く握った拳で左右に揺らすようにマッサージしてみましょう。
側頭筋
頭の側面に手を当て、顎に力を入れると動く扇状の筋肉。耳の付け根の前方から、頭頂部に向かって、指の腹や軽く握った拳で左右に揺らすようにマッサージしてみましょう。
顎二腹筋
顎のエラの内側にある筋肉。両手の親指を立てて、顎の付け根から舌の真下に向かって少しずつ移動させながらマッサージしてみましょう。
各部位のより具体的な場所は、記事後半で紹介している動画をご覧ください。
3本指によるセルフチェック
2型、3型、4型の顎関節症の有無を確認できるのが、3本指によるセルフチェックです。
人差し指、中指、薬指の3本を並べて、口の中に入れてみてください。大きく口を開けても3本指が入らなかった場合、2型以降の顎関節症の可能性が考えられます。
鏡によるセルフチェック
鏡によるセルフチェックでは、3型、4型の有無を確認することが可能です。
鏡を見ながらお口をゆっくりと大きく開閉してみましょう。この際、顎がカクカクと動いたり、左右に揺れたりしている場合は、3型もしくは4型の可能性があります。
痛みがない場合でも放置すると悪化するリスクがあるため、早い段階での治療が必要です。
歯科医院での顎関節症の検査と治療
顎関節症の疑いがある方が歯科医院を受診された場合、次のような検査と治療を行います。
歯科レントゲンなどを活用した検査
顎関節症の検査ではまず問診を行い、いつ頃から自覚症状があり、どのように変化してきたかなどをお聞きします。
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続いてこの動画のような流れで、前述した咬筋、側頭筋、顎二腹筋の触診をして、筋肉の緊張状態を確認。
セルフチェックのところで紹介した、お口の開き具合や開閉時の顎の動きなどもチェックするほか、歯を含めたお口の中の視診も行います。
3型、4型の顎関節症が疑われる場合は、骨の変形の有無を確認するために歯科用レントゲンや歯科用CTを使って、より詳しい検査を行なっていきます。
なお、以下のレントゲン写真は骨の変形がある患者様と変形がない患者様の顎を比較したものです。
顎関節症を放置すると、こんなにも骨の形が変わってしまうことがあるのです。
治療の第一選択は夜間用マウスピース(ナイトガード)
顎関節症には様々な治療方法がありますが、第一選択となるのは夜間用マウスピース(ナイトガード)です。
ナイトガードには多くのメリットがありますが、就寝時の歯ぎしり・食いしばりの力を緩和したり、噛み合わせを改善したりと、顎関節症の症状緩和につながる効果が期待できます。
ナイトガードのメリットについては、歯ぎしりや食いしばりに効果的!ナイトガード のメリットとデメリットとはに詳しく説明しておりますので、あわせてご覧ください。
なお、ナイトガードの作成には各種健康保険が利用できるため、概ね5,000〜10,000円で作っていただくことができます。
歯医者で作るマウスピースの価格はどう決まるのか?では、ナイトガードの価格について解説しています。気になる方はこちらもご参照ください。
まとめ
顎関節症は生活習慣病やアレルギー性疾患と同じ慢性疾患です。そのため完全に治すことは簡単ではありません。一方で、初期の段階で適切な処置を行えば症状をコントロールできる病気でもあります。
今回ご紹介したセルフチェックを試してみて気になる点があった方は、顎関節の変形(第4型)に発展する前に、信頼できる歯科医院にご相談されることをおすすめします。
大阪十三のおくだ歯科医院でも、マウスピース(ナイトガード)を含めた顎関節症の治療・管理に対応しています。お悩みの方はお気軽にお電話にてご相談ください。