デンタルコラム

【症例画像有】歯医者が教える正しい治療の順番

こんにちは、おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。

お口の中のトラブルには、虫歯や口臭、出血などのほか、歯並びが悪かったり、歯が黄ばんでしまっていたりと、様々なものがあります。

どれか一つであれば、比較的治療もシンプルになりますが、複数の症状が同時に発生している場合、何をどこから治療してもらえばいいのかわからない人が大半ではないでしょうか。

歯科治療においては、複数の症状をどの順番で治療するかは、非常に重要です。なぜなら順番を間違えると、ある症状を治療している最中に、一度治療した症状が再発するなど、不必要な時間と労力、そしてお金がかかってしまうためです。

そこで今回は、歯科治療において重要な、正しい治療の順番について説明させていただきたいと思います。

なお、今日のデンタルコラム後半には、患者様のお口の中の写真を多数掲載しているため、お食事中の方や苦手な方はご注意ください。

目次
  1. 歯科治療において順番が大切な理由
  2. 症例紹介———虫歯・歯周病・不正咬合・歯の黄ばみを“正しい順番”で
  3. まとめ

歯科治療において順番が大切な理由

おくだ歯科医院にはお口の中で様々な問題―――虫歯で歯が痛い、歯周病で歯がゆれる、歯茎から血がでる、歯が黄色いので白くしたい、歯並びが気になる、噛み合わせがおかしいなど―――を同時に抱える患者様が多数いらっしゃいます。

このようなケースにおいては、治療の順番がとても大切なポイントになります。

例えば、虫歯・歯周病(口臭、出血など)・不正咬合(問題のある噛み合わせ)・歯の黄ばみ、これら4つの症状が同時に発生している場合、以下のような順番で治療を進めていくことになります。

  1. 検査、診断に基づき、緻密な治療計画を立案、患者様に共有する。
  2. 歯周病の治療を行う。
  3. 虫歯の治療を行う。
  4. 歯列矯正を行う。
  5. ホワイトニングで歯の着色を除去する。
  6. 虫歯治療の仕上げを行う。
  7. ナイトガードの処方、噛み合わせの調整を行い、機能性に問題がないか最終確認を行う。
  8. 治療終了。定期検診を通じた、継続的に健康状態を維持する段階に移行する。

このうち、何よりも大切にしなければならないステップは、「1.検査、診断に基づき、緻密な治療計画を立案、患者様に共有する」です。

なぜなら、このステップを疎かにすることは、設計図がないまま、行き当たりばったりで家を建てるようなものだからです。

歯周病をしっかり治療し、歯の土台となる顎の骨や歯茎が健康になっていなければ、歯並びを良くするために歯列矯正をしている途中で、歯が抜け落ちるリスクが高まります。

歯周病や虫歯ができるような拙い歯磨き技術のままでは、どんなにきれいにホワイトニングをしても、白い歯を維持できる期間は短くなってしまいます。

こうした事態に陥らないためにも、抜け漏れのない、緻密な治療計画を立てる必要があるのです。

しかし、歯科治療は歯磨きや食習慣など、患者様の協力があって初めて成立します

だからこそ治療計画を立てるだけでなく、患者様に内容をきちんと理解していただいたうえで、医師と患者様が二人三脚で治療に取り組んでいかねばなりません。

私が歯科治療において順番が大切だと考えるのは、こうした事情があるからなのです。

院長 奥田

次の症例紹介では、患者様のお口の中の写真を多数使用して、治療の順番を解説しています。お食事中の方や苦手な方はご注意ください。

症例紹介———虫歯・歯周病・不正咬合・歯の黄ばみを“正しい順番”で

以下では、実際に当院の患者様の中で、前述の4つの症状を同時に抱えられていた方の治療例を紹介していきます。

この患者様は、もともと他院の虫歯の治療中に通院をやめてしまい、その結果としてたくさんの虫歯と歯周病に加え、不正咬合と歯の黄ばみに悩んでおられました。

検査・診断ののち、治療計画を立案。患者様にご理解いただいてから、治療に移りました。最初に行ったのは、虫歯の仮治療です。写真の灰色がかったブルーの部分が、治療している歯です。

このうち、上顎の奥歯は虫歯が大きく、残すことは難しいと判断。本格的な治療の際に抜歯することになりました。

こちらは歯周病の治療を行った後の様子です。歯周病が進行している場合、メスなどを使った歯周外科処置を行うこともありますが、今回の場合は歯石を取り除くだけで対応できました。

続いて、仮治療をした虫歯を本格的に治療します。虫歯部分を削って仮の詰め物をし、残すことのできない歯は抜歯をしました。

この際、抜いてしまった奥歯の部分には、親知らずを埋め込むことで回復させました。

歯周病、虫歯の治療が終わったら、次は歯並びを整えるための歯列矯正に移ります。

歯列矯正中は歯磨きなどのケアが疎かになるケースが多いため、1ヶ月に1度通院していただき、歯周病のケアや矯正装置に合わせた歯磨き方法の指導を行います。

上の写真は矯正が終わった状態です。親知らずを矯正治療によって移動させ奥歯を回復させることが出来ました。

矯正終了後の歯の状態を写したものです。前歯がしっかりと噛み合っています。

機能面の治療が終わったので、審美的な治療、ホワイトニングに移ります。サンプルを見ながら、患者様の好みの色を選択。治療を施していきます。

ホワイトニングが終わったら、最終的な虫歯の治療を行っていきます。仮の詰め物を外して、もう一度虫歯の状態をチェック。

ホワイトニング後の歯の色に合わせ、3Dプリンターを使ってジルコニアという素材で詰め物を作成します。

全ての治療が終わってから、再度細かい噛み合わせの調整を行い、最後に検査を行います。そこで問題がなければ、定期検診によってお口の健康を維持していく段階に入ります。

このように複雑な症状も、一つ一つ紐解いていき、正しい順番で治療をしていくことで解決することができるのです。

まとめ

一口に歯科医院、歯医者と言っても、実は専門分野は全く違います。

虫歯の治療が得意でも、歯周病の治療については基本的な知識しかない。歯周病の治療は得意だが、歯列矯正については専門外。こういったことは少なくありません

そのため、複数のトラブルを抱えている患者様は、知識・経験ともに十分な歯科医院に相談をすることが、治療の第一歩。まずは信頼できる歯医者探しから始めてみてはいかがでしょうか。

院長 奥田

私を含めたおくだ歯科医院スタッフが考える、信頼できる歯医者の選び方については、プロが考える「歯医者の選び方」まとめにまとめてありますので、ぜひ参考にして、健康で見た目にも美しいお口を手に入れてください。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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