こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。
最近、「お口の中がネバネバする」「パサパサした食べ物が飲み込みにくい」「夜中に口が渇いて目が覚める」といったお悩みはありませんか? もしかすると、それは「ドライマウス(口腔乾燥症)」かもしれません。
ドライマウスは単なる「口の渇き」と軽視されがちですが、放置すると虫歯や歯周病、口臭の原因になるだけでなく、食べ物をうまく飲み込めないなど、日々の生活の質を大きく下げてしまいます。
今回は、患者さまからご相談の多い「ドライマウスが起こる原因」と、ご自宅で簡単に潤いを取り戻せる「唾液腺マッサージ」のやり方について、動画も交えて分かりやすく解説します。
なぜ口が渇くの?ドライマウスの3つの主な原因
お口の潤いが足りなくなる原因は人それぞれですが、大きく分けて以下の3つが考えられます。ご自身に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
1. 日常生活の習慣や加齢によるもの
年齢を重ねると、お口の潤いを保つ「唾液」を作る「唾液腺(だえきせん)」という組織の働きが少しずつ低下し、唾液の分泌量が減ることがあります。また、更年期などによる女性ホルモンのバランスの乱れも、唾液の減少に影響すると言われています。
さらに、忙しい生活の中で抱える「ストレス」や「緊張」も大敵です。緊張しているときに口がカラカラになった経験はありませんか? 人は強いストレスを感じると、自律神経(交感神経)が活発になり、唾液の分泌が抑えられてしまうのです。
もう一つ見落としがちなのが「口呼吸」です。鼻炎やいびきなどで無意識に口が開いていると、お口の中の水分がどんどん蒸発してしまい、乾燥を引き起こします。
2. お薬の副作用
実は、ドライマウスの原因として非常に多いのが、日常的に飲んでいる「お薬」の影響です。ドライマウスの原因の約6割がお薬の副作用だと言われているほどです。
花粉症などの抗アレルギー薬、高血圧のお薬、睡眠薬、抗うつ薬など、約700種類以上ものお薬に「口を乾かせる副作用」があることが分かっています。特に、複数の種類のお薬を飲んでいる方や、長期間お薬を飲み続けている方ほど、お口の乾燥を感じやすくなります。
「お薬のせいかも?」と思っても、自己判断でお薬をやめるのは危険です。必ずかかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。
3. 全身の病気が隠れているケース
お口の乾燥が、全身の病気のサインとして現れることもあります。
代表的なものが「糖尿病」です。血糖値が高い状態が続くと、体は尿として糖を排出しようとします。その際、一緒に体内の水分も大量に排出されてしまうため、体が脱水状態になり、強い喉やお口の渇きを感じるようになります。
また、「シェーグレン症候群」という病気もドライマウスを引き起こします。これは自己免疫の異常によって、自分の細胞が誤って唾液腺や涙腺を攻撃してしまい、唾液や涙が出にくくなる病気で、特に中高年の女性に多く見られます。
ほかにも、脳梗塞などの脳血管障害によって、唾液の分泌をコントロールする神経がダメージを受け、乾燥が起こることもあります。
このように、ドライマウスの原因はさまざまです。「歳のせいだから」と諦めずに、原因を知って対策をすることが、お口の健康を守る第一歩になります。
お家で簡単!潤いを取り戻す「唾液腺マッサージ」
原因が分かったところで、次は対策です。お口の乾燥を防ぎ、潤いを取り戻すためにとても効果的で、誰でもすぐに始められるのが「唾液腺マッサージ」です。
唾液は、お口の周りにある「唾液腺」から作られます。この唾液腺を外から優しく刺激してあげることで、唾液の分泌を促すことができます。
唾液が増えると、食べ物が飲み込みやすくなるだけでなく、お口の中の汚れを洗い流す「自浄作用」や、細菌の繁殖を抑える「抗菌作用」が働き、虫歯や歯周病、口臭の予防にもつながります。
今回は、特に唾液をたくさん出してくれる「耳下腺(じかせん)」と「顎下腺(がっかせん)」の2つのマッサージ方法をご紹介します。テレビを見ながら、お風呂でリラックスしながらなど、スキマ時間を利用してぜひ毎日の習慣にしてみてください。
さらさら唾液を促す「耳下腺マッサージ」
「耳下腺」は、その名の通り耳の少し前、頬の上部(上の奥歯のあたり)にある、一番大きな唾液腺です。ここを刺激すると、お口の中を洗い流し、消化を助けてくれる「さらさらした唾液」がたくさん出てきます。
【やり方】
- 人差し指から小指までの4本の指を揃えて、耳たぶの少し前、頬骨の下あたり(上の奥歯のあたり)にそっと当てます。
- 指の腹を使って、後ろから前へ向かって円を描くように優しくマッサージします。
- 痛くない程度の心地よい力加減で、5〜10回ほど繰り返しましょう。
★ポイント:強く押しすぎないことが大切です。リラックスして、気持ちいいと感じる程度の優しい力で行ってください。お食事の前(「いただきます」の前)に行うと、お口の中が潤って食事がしやすくなり、誤嚥(ごえん)の予防にもなります。
唾液の大半を作る「顎下腺マッサージ」
「顎下腺」は、あごの骨の内側のやわらかい部分にある唾液腺です。実はお口の中の唾液の約60〜70%はここから作られているため、マッサージをすると「唾液が出てきた!」と一番実感しやすい場所です。ここからは少し粘り気のある唾液が出て、食べ物をまとめる役割をしてくれます。
【やり方】
- 両手の親指、または人差し指から小指までの4本の指を、あごの骨の内側のやわらかい部分(エラの内側あたり)に当てます。
- 耳の下あたりからあごの先に向かって、指の腹で優しく押し上げるように、または前方に滑らせるように刺激します。
- 1ヶ所だけでなく、耳の下からあごの先まで4〜5ヶ所ほど、少しずつ指の位置をずらしながら順番に優しく押していきましょう。
- こちらも5〜10回ほどを目安に行います。
★ポイント:首やあごの周りには、血圧を調整する器官や大切な血管・神経がたくさん通っています。決して強く揉んだり、強い圧をかけたりしないように気をつけてください。指の腹で「じわ〜っ」と優しく圧迫するイメージで行うのがコツです。
マッサージを行う際の注意点
唾液腺マッサージは手軽で効果的ですが、以下に当てはまる方はご注意ください。
- お口やあごの周りに痛みや腫れがある場合、または唾液腺の病気(唾液腺炎や腫瘍など)がある場合は、症状を悪化させる可能性があるため控えてください。
- 不整脈がある方は、耳下腺の近くを刺激することで血圧の変動を招く恐れがあるため注意が必要です。
少しでも不安な方は無理をせず、かかりつけの医師や歯科医師にご相談ください。
おわりに:乾燥が続く場合は、お気軽にご相談ください
ドライマウスは、生活習慣やお薬、全身の病気など、さまざまな原因で起こります。お口の乾燥が気になったら、まずは無理のない範囲で「唾液腺マッサージ」を試してみてください。毎日続けることで、お口の中の潤いが少しずつ変わってくるはずです。
もし「マッサージを続けても乾燥が改善しない」「お薬の影響かもしれない」と不安な場合は、一人で悩まずに当院へご相談ください。お口の潤いの状態を確認し、患者さまお一人おひとりに合ったケア方法を一緒に見つけてまいります。


