デンタルコラム

口臭や歯磨き時の出血がある方は要注意!歯茎の腫れと歯石の関係について

皆さんこんにちは。大阪十三のおくだ歯科医院院長、奥田裕太です。

皆さんの中には、口臭が気になる方歯磨きをすると歯茎から血が出ている方はいらっしゃいませんか?そのような症状がある方は、歯茎を指で触るとなんとなくムニっと柔らかくなっているのではないでしょうか。

実はこれは、歯石が原因で歯茎が炎症を起こし、腫れ上がってしまっているからなのです。

今回は実例を挙げながら、歯石が原因で腫れ上がっている歯茎の実態とそのメカニズムを説明するとともに、歯石を除去することで引き締まった歯茎の様子をお見せしたいと思います。

なお、以下ではお口の中の写真を掲載しています。苦手な方やお食事中の方はあらかじめご了承ください。

目次
  1. 歯茎は歯石で腫れ上がる
    1. 【実例】歯石が原因で腫れ上がっている歯茎
    2. 歯茎がパンパンに腫れ上がる原因
  2. 歯石がなくなれば、歯茎はギュッと引き締まる
    1. 【実例】歯石除去により、引き締まった歯茎
    2. パンパンに腫れていた歯茎が引き締まる理由
  3. 初期歯周病(歯肉炎)治療の主役は歯科衛生士
  4. まとめ

歯茎は歯石で腫れ上がる

【実例】歯石が原因で腫れ上がっている歯茎

こちらの患者様は、自分の口臭と歯磨きの際の出血が気になって当院を受診されました。上の写真は初診時のもので、炎症を起こして歯茎がパンパンに腫れ上がっています。

お口の中を拝見すると、歯石がびっしりとこびりついていました。症状の原因はこの歯石。初期の歯周病(歯肉炎)と診断しました。

この日はレントゲン写真を撮影したあと、歯科衛生士が検査を実施

同時に歯科衛生士から正しい歯磨きの方法、口臭や出血の原因と、治療をせずに放置した場合にどのように症状が進行するのかを説明して、お帰りいただきました。

歯茎がパンパンに腫れ上がる原因

なぜ歯石がこびりついていると、口臭や出血、歯茎の腫れの原因になるのでしょうか。

歯石はもともと歯垢で、歯垢を約2日間放置することで硬くなり、歯石になります。歯垢も歯石も、どちらも細菌のかたまりです。

細菌から放出される毒素が毛細血管などから体の中に侵入してくると、体は免疫細胞と一緒にサイトカインというタンパク質を派遣して、毒素を排除しようとします。

このサイトカインは病原体だけでなく、歯茎の細胞も刺激し、さらにはより多くの免疫細胞を呼び寄せます

結果として、歯茎の血管内に細菌、サイトカイン、免疫細胞が三つ巴となって集まるため、歯石が増えれば触れるほど、歯茎がパンパンに腫れ上がるのです。

歯石がなくなれば、歯茎はギュッと引き締まる

【実例】歯石除去により、引き締まった歯茎

2回目の来院時の歯茎の様子

こちらの写真は同じ患者様が2回目に来院された時に撮影したお口の写真です。適切な歯ブラシを使って、正しい歯磨きを行なったことで、歯茎の腫れは改善しています。

しかしこの時点では大量の歯石がこびりついたままなので、完全に腫れが引いているわけではありません。

そこで歯科衛生士が「超音波スケーラー」「キュレット」などの特殊な器具を使用し、歯にこびりついている白い歯石を徹底的に除去。次回以降で経過を観察することになりました。

院長 奥田

歯石には白い歯石と黒い歯石があります。この2種類の違いについては、歯周病にも関係が!白い歯石と黒い歯石の違いをご覧ください。

3回目の来院時の歯茎の様子

こちらの写真は同じ患者様が3回目に来院された時に撮影したお口の写真です。歯石を徹底的に取り除いたことで歯茎の腫れはすっかり治っており、指で触れるとギュッと引き締まって硬さを感じられる状態になっていました。

患者様ご自身も「歯磨きの際の出血もなくなり、周囲から口臭を指摘されることもなくなった」と喜んでおられました。

ここでいったん治療は終了。定期検診に移行することとなりました。

パンパンに腫れていた歯茎が引き締まる理由

前述したように、歯茎の腫れの根本原因は、歯石=細菌のかたまりでした。そのため、

  • 特殊な器具を使って歯石を取り除く
  • 日々の歯磨きで細菌の増殖を抑えこむ

この2つを行なったことで、歯茎の血管内で戦っていた細菌、サイトカイン、免疫細胞がいなくなり、腫れが引いたというわけです。

初期歯周病(歯肉炎)治療の主役は歯科衛生士

この患者様の治療に関して、歯科医師である私が行なったのは、診断と歯科衛生士の指示だけです。治療計画も私が独断で作成したわけではなく、歯科衛生士と相談して作成しました。

さらに言えば、定期検診に移行したあとのお口の健康のコントロールは、基本的に歯科衛生士の仕事です。

このように、当院では初期の歯周病(歯肉炎)治療の主役は歯科衛生士です。もちろん歯石除去などの技術は必要ですが、そうした技術を持つ歯科衛生士はたくさんいらっしゃいます。

当院にもそんな頼もしい歯科衛生士が数多く在籍しています。お口のトラブルについてお悩みの際は、歯科衛生士だからと遠慮せず、お気軽にご相談ください。

まとめ

歯石が溜まると歯茎が炎症を起こすため、触るとムニっと柔らかくなるほど腫れ上がります。これは歯石を取り除き、きちんと歯磨きをすることで、再びギュッと引き締まった状態を取り戻すことができます。

歯周病が進行すると、歯や骨、神経などにも悪影響が出始め、場合によっては治療費が大きくかさむ可能性も出てきます。

しかしまだ初期の段階であれば、保険診療で十分対応できますので、口臭や出血などの症状がある方は、ぜひお早めに歯科医院にご相談ください。

院長 奥田

歯茎が健康になれば、歯磨きや歯間ブラシ・フロスもしやすくなります。健康なお口を維持するためにも、ぜひ定期的なメインテナンスをおすすめします。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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