デンタルコラム

噛む力を検査して、認知症・生活習慣病を予防しよう

みなさん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

深刻な社会問題となっている認知症、高齢期の筋肉量・筋力の低下などを指し、生活習慣病の原因の一つとされているサルコペニア。これらは人生の質(QOL)を大幅に低下させます。

これらを予防する方法の一つが、噛む力の維持・向上です。

当院ではお口の健康のサポートを通じて、患者様の幸福を守っていきたいと考えています。

そこで先日から、患者様にご自身の噛む力について知っていただくために、口腔機能モニター Oramo-bf(オラモ)を使った噛む力の検査をスタートさせました。

今回は噛む力の重要性についてお話しするとともに、当院で行なっている検査の内容についてご紹介します。

目次
  1. 「噛む力」が弱くなると、どうなる?
    1. サルコペニアとの関係
    2. 認知症との関係
    3. 口腔機能低下症に要注意
  2. 当院でも「噛む力」を検査できるようになりました
    1. 口腔機能モニター Oramo-bf(オラモ)
    2. 当院で行う検査
  3. まとめ

「噛む力」が弱くなると、どうなる?

歯科の世界では、奥歯が1本失われるだけで噛む力の30〜40%が低下するとされています。

お口の健康だけでなく、体全体の健康を維持・向上するためには、この奥歯と噛む力は非常に重要な要素となります。

サルコペニアとの関係

例えばサルコペニアは、奥歯が失われ、噛む力が低下することが発症の原因の一つと考えられています。

肉類や生の野菜類など、筋肉を作るための栄養素を含む食材が充分に摂取できなくなるからです。

事実、厚生労働省の研究や福岡の病院チームが行った研究でも、歯の本数と噛む力、サルコペニアの有無や肥満度に関係性があることが明らかになっています。

認知症との関係

また、奥歯の有無と噛む力は、認知症とも関係があるとされています。

というのも、台湾で行われた大規模な調査により、

  • 奥歯(奥から4本目までの歯)の噛み合わせが、一部失われている人は1.34倍
  • お口全体で上下の歯が噛み合っていない、もしくは歯が全くない人は1.54倍

認知症の発症リスクが高くなっていることがわかったのです。

院長 奥田

サルコペニア、認知症との関係についての詳しい内容は奥歯の有無が「認知症」や「全身の老化」にかかわっているって、本当?をご覧ください。

口腔機能低下症に要注意

高齢者をはじめとする成人において、通常正常に働くはずのお口の機能(口腔機能)が低下することを口腔機能低下症と呼びます。

症状には、お口の中が乾きやすくなる、飲み込む力が弱くなるなどに加えて、噛む力の低下も挙げられます。

この口腔機能低下症を放置すると単に不便なだけでなく、以下のようにQOLにも大きな影響が現れます。

  • 食事がしにくいため、食事量が減り、体力が低下しやすくなる
  • 発音しづらく、上手に食事ができないため、人との接触を避けるようになる
  • 社会的なつながりが薄れることで、口腔機能を含む身体機能の低下が加速する
  • 孤独が原因で、喫煙量・飲酒量などが増え、生活習慣病のリスクが高まる など

きちんとした力で噛める」ということが、健康においていかに重要なことかを理解していただけたのではないでしょうか。

院長 奥田

口腔機能低下症についての詳しい内容は健康寿命を縮める「飲み込みにくい」「むせやすい」にご注意くださいをご覧ください。

当院でも「噛む力」を検査できるようになりました

噛む力を維持・向上させるためには、まず現時点での噛む力を知ることです。

そのうえで必要な治療を受けたり、生活習慣を身につけたりして、噛む力がどう変化するかを見ていく必要があります。

おくだ歯科医院ではそのために2024年10月より定期的に噛む力を検査する体制を整えました。

口腔機能モニター Oramo-bf(オラモ)

そのために導入したのが、こちらの口腔機能モニター Oramo-bf(オラモ)

1906年創業、現存する日本最古の歯科機械メーカー「YOSHIDA」が開発した咬合力(噛む力)を計測するための機械です。

Oramo-bfのセンサー部分

非常にコンパクトな設計で各診療チェアに簡単に持ち運べる点、患者様のお口の中にセンサーを入れ、噛んでいただくだけで、その場ですぐ数値がわかるという手軽さが大きな特長です。

当院で行う検査

当院ではこのOramo-bfによる検査を、以下のタイミングで実施していきます。

  • 初診時
  • 義歯(入れ歯)作成時
  • 各種治療完了時
  • 定期検診時(年1回)

検査は非常に簡単で、使い捨てのカバーを装着したセンサー部分をお口に入れ、思い切り噛むだけ。あっという間に終了します。

普段食べ物を摂取する時の咬合力は、女性で40kg、男性で60kgほどで、思いきり噛みしめたときの咬合力は約70kgと言われています。

検査ではkgではなくN(ニュートン)という単位で計測が行われます。健康な男性の平均咬合力は581.3N、女性は446.9Nで、375N以上の咬合力があれば問題なく食品を噛めるとされています。

当院ではこれらの数値を目安に、都度患者様の噛む力を記録し、変化を見ることでQOL低下の防止生活習慣病の早期発見につなげていきます。

まとめ

普通に生活をしていれば、噛む力が弱っているかどうかを気にすることはないかもしれません。

しかし、噛む力の低下が思わぬ病気につながったり、日々の生活に大きな影響を及ぼしたりするのは事実です。

「100年時代」とも言われる人生を、長く健康で暮らしたいと思うのであれば、自身の体に興味を持ち、適切なメンテナンスをすることが大切です。

その第一歩として、当院の噛む力の検査をご利用いただければ幸いです。

院長 奥田

歯科に限らず、医療にできるのは健康になるためのサポートだけ。本当に健康な毎日を過ごすために、まずはご自分の体の状態についてよく知っておきましょう。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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