デンタルコラム

歯医者で“SPT”を受けていますか?〜歯とお口、全身の健康を守るための“これから”の専門ケア〜

こんにちは、大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

皆さんはSPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)という言葉をご存知でしょうか。当院を含め、近年の歯科界では歯とお口だけでなく、全身の健康を守るための“これから”の専門ケアとして、このSPTが重要視されています。

今回のデンタルコラムでは、先月23日に開催された日本臨床歯周病学会の講演で、当院の歯科衛生士・太田がお話しさせていただいた内容を踏まえながら、SPTの詳しい内容と、重要性についてご紹介したいと思います

目次
  1. SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)とは?
  2. おくだ歯科医院のSPTへの取り組み
    1. JACP関西支部2024年第二回支部教育研修会
    2. SPTが重要な理由
  3. まとめ

SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)とは?

SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)は、歯周病の治療後に行う専門的な維持療法です。歯周病の再発を防ぎ、治療効果を維持するために、3〜6ヶ月ごとに以下の専門的なケアを行います。具体的には、

  • 歯周病検査(歯周ポケットの深さ測定などの詳細な検査)
  • プラークや歯石の専門的な除去
  • 歯周病の再発兆候のチェック
  • 生活習慣を含めた継続的な指導
  • 必要に応じたレントゲン検査

などが、SPTに含まれます。

「定期検診と同じでしょ?」と思うかもしれませんが、以下のような点において定期検診とSPTは別物です。

定期検診SPT
・虫歯のチェックが中心
・一般的なクリーニング
・標準的な間隔(半年に1回など)
・基本的な歯磨き指導
・詳細な歯周組織検査
・専門的な歯周ポケットの清掃
・患者様の体質等に合わせた、個別の来院間隔設定
・リスク因子を考慮した専門的な指導

おくだ歯科医院のSPTへの取り組み

SPTは「これからの歯周病治療のカギになる」と言われることもあるほど、重要視されています。

11月23日に開催された臨床歯周病学会の関西支部教育研修会で、当院の歯科衛生士・太田は、「全身疾患を有する患者に対して歯科衛生士に求められる視点」というタイトルで講演を行い、このSPTの重要性についてお話しさせていただきました。

JACP関西支部2024年第二回支部教育研修会

今回の研修会のテーマは「歯周病と全身疾患」。

このトピックにおいてはおくだ歯科医院でもかなり前から取り組んでいるテーマだったので楽しみにしていました。

しかも太田の出番は、衛生士セクションではなくドクターとの合同セクションでの発表。さらには、登壇される4人のうち、太田以外は歯科医師というシチュエーション!

そんな状況にも臆さず、SPTを軸に堂々と自分が培ってきた考え方や当院の治療方針などを話してくれて嬉しい反面、自分が話すより数倍緊張したのでした(笑)。

SPTが重要な理由

太田が学会で発表した通り、当院ではSPTを非常に重要視しています。なぜならこの治療が患者様の歯とお口だけでなく、全身の健康をも左右するからです。

以前から色々なデンタルニュースで書かせていただいていますが、お口の中の問題が様々な全身疾患に関わっていることが、年々明らかになってきています。

メカニズムとしては、

  1. 虫歯や歯周病で奥歯を失う。
  2. 野菜が食べにくくなる。
  3. 奥歯で食べ物をすり潰しにくいために、味が薄く感じる。
  4. うどんやラーメン、ご飯などの炭水化物単品の食事が多くなる。
  5. 味が濃い料理を食べることが多くなる。
  6. 糖尿病、高脂血症、高血圧などのリスクが高まる。
  7. 生活習慣病の合併症を発症し、脳卒中・心血管のリスクが高まる。

といった具合です。歯周病菌から生まれる毒素が血管を通じて全身に広がることによる影響も無視はできません。関節炎や糸球体腎炎(腎臓の病気)、パーキンソン病、誤嚥性肺炎などのリスクも高くなるとされています。

これらのリスクを引き下げる役割を果たすのが、SPTなのです。

SPTにおいては、患者様とのコミュニケーションを深め、身体状況や生活背景を把握し、セルフケアの変化に注意を払うことも重要な要素となります。

すると必然的に歯科衛生士は、SPTを通じて以下のように全身疾患にも関わっていくことができます。

  • 全身疾患の予兆を察知できる。
  • すでに何らかの全身疾患に罹患している場合は、お口の中の変化に関連して状態が悪化していないかを観察できる。

だからこそ当院では、歯とお口だけでなく、全身の健康を守るための“これから”の専門ケアとしてSPTを大切にしているのです。

まとめ

生活習慣病が次々と連鎖的に発症していく現象を「メタボリックドミノ」と呼びます。

これは一般的に内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)を起点として、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの発症 → 動脈硬化の進行 → 心臓病や脳卒中などの順に連鎖していくとされています。

しかし近年、当院を含め歯科界・医療界では、そのもっと初期の段階に歯やお口の問題があるのではないかと考える向きが盛んになってきました。

そのため私たちおくだ歯科医院のチームは、これからもお口の健康の維持・向上が全身の健康へと繋がると信じて、上質な治療を患者様に提供できるよう努力していきたいと考えています。

SPTはそうした治療の要の一つです。歯とお口、全身の健康を守り、ご自身の人生の質(QOL)を守っていきたいと考えておられる方は、ぜひお近くのSPTを受けられる歯科医院にご相談ください。

院長 奥田

もちろん、当院でもSPTは実施しております。どこに相談したらいいかわからないという方はぜひ一度当院までお越しください。

診療内容

当院について

デンタルコラム

院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

詳しく見る