デンタルコラム

口腔内スキャナと歯科用CT―――歯科における「デジタル」の役割

参加スタッフ一同@第31回JIADS総会・学術大会

みなさん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

去る11月30日と12月1日、大阪・千里ライフサイエンスセンタービルで開催された第31回JIADS総会・学術大会にスタッフ一同で参加してきました。

1日目のテーマは「デジタルデンティストリーの応用」、2日目のテーマが「全顎重度歯周炎の治療計画」でした。

今回は学会の様子を紹介しながら、当院でも長らく取り組んでいるデジタル技術を使用した歯科治療の役割について、一般の方にもわかりやすく説明したいと思います。

目次
  1. 歯科における「デジタル」の役割とは?
  2. 口腔内スキャナと歯科用CTがもたらした変化
    1. おくだ歯科医院とデジタルデンティストリー
  3. 2日目「全顎重度歯周炎の治療計画」
  4. まとめ

歯科における「デジタル」の役割とは?

1日目のテーマにある「デジタルデンティストリー」とは、コンピューターを使用した歯科治療のことです。

当日は私もお手伝いさせていただいているJIADS(The Japan Institute for Advanced Dental Studies)で、DGPコース(※)の講師でもある筒井純也先生、当院のOBでもある神戸・岡本の大川歯科医院の院長・大川敏生先生が登壇。

臨床現場での実践に基づき、デジタルデンティストリーの重要性についてお話しされていました。

※Digital Global Prosthodontics。デジタル時代を見据えた補綴治療を学ぶコース。

口腔内スキャナと歯科用CTがもたらした変化

歯科治療のデジタル化の大きな流れを作ったのは、口腔内スキャナと歯科用CTという2つの装置です。

口腔内スキャナはIOS(Intra-Oral Scanner)とも呼ばれるもので、従来の印象材という特殊な材料を使わずに、光で口腔内を3Dスキャンするだけでお口の中の型取りをすることができます。

歯科用CTは、従来のレントゲンでは見えなかった顎骨や歯の3D画像を撮影できる装置です。

この2つの登場によって、歯科治療の精度効率は大きく変わりました。

第一に、患者様がその場にいなくとも、詳細なお口と骨のデータを見れば高精度の診断を下すことが可能になりました。

第二に、インターネットを使ってデータを共有すれば、チャットやオンライン会議上で歯科技工士さんや矯正専門医、場合によってはその他の専門分野の先生や医科の先生と、医院にいながらにして入念な打ち合わせができるようになりました。

こうした変化がもたらしたのは、オペの時間の短縮だけではありません。安全性・精度も格段に改善しました。なぜなら、装置から集めたデータをもとに、オペ本番のナビゲーションを作成することができるからです。

おくだ歯科医院とデジタルデンティストリー

口腔内スキャナも歯科用CTも高額な医療機器なので、導入している歯科医院はまだまだ少数派です。しかし当院では15年前から歯科用CTを、6年前から口腔内スキャナを導入し、積極的に活用してきました。

この2つの装置以外にも、

  • フェイススキャン(お顔の3次元データを取得する装置)
  • 電子カルテ
  • 電子診察券
  • 自動精算機 など

患者様の負担を減らそうと、様々な角度から治療・医院のデジタル化を図っています。

2日目「全顎重度歯周炎の治療計画」

1日目の夜には懇親会もあり、普段なかなか会えない遠方の先生方と、近況報告や歯科の未来について語り合いました。

2日目のテーマは「全顎重度歯周炎の治療計画」でした。全顎重度歯周炎とは、口の中のほぼすべての歯(全顎)に重度の歯周病が進行している状態を指します。

学会ではこのような状態の症例をもとに、キャリアのある先生方が以下の3つのアプローチに分かれて、合計6名登壇されました。

再生療法歯周病で解けてしまった骨を再生するアプローチ。
根面被覆 (こんめんひふく)痩せてしまった歯茎の再生を図るアプローチ。
エンド−ペリオ歯の神経が死んでしまった結果、歯周病が進行した骨の治療を行うアプローチ。または歯周病が原因で神経が死んでしまった骨の治療を行うアプローチ。

いずれも論文やエビデンスを踏まえてまとめられており、私自身も非常に勉強になりましたし、スタッフもたくさんのメモをとっている姿を見て参加した甲斐があったと思いました。

第31回JIADS総会・学術大会集合写真

学会の最後には、新理事長になられた佐々木猛先生の記念講演からも多くの学びを得、2日間通して、私もスタッフも大満足の学会となりました。

今回は大阪での開催でしたので、ご当地グルメを楽しむというわけにはいきませんでしたが、来年の臨床歯周病学会は広島で、JIADS総会は東京で開催されるので、今から何を食べに行こうかと楽しみにしています。

まとめ

歯科治療におけるデジタル技術は、あくまでもサポート役にすぎません。

データを元にしたオペ本番のナビゲーションがあったとしても、治療中やオペ中には予期せぬアクシデントが起こり得るもの。そうした状況に適切に対応できるのは、今のところ人間である歯科医師だけです。

一方で、デジタル技術の進歩が歯科医療を大きく前進させたのも事実です。だからこそ、大阪・十三のおくだ歯科医院では今後もデジタルデンティストリーに積極的に取り組み、患者様のお口の健康を支えていきたいと考えています。

院長 奥田

臨床歯周病学会に続いて土曜日にお休みを頂き患者様にご迷惑をおかけしました。今回の学びを日々の診療に活かしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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