デンタルコラム

食事を改善したのに血糖値が下がらない?その原因、「奥歯」かもしれません。

血糖値

みなさん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

食事に気をつけているのに、血糖値が思うように下がらない——そんな悩みを抱えていませんか。

内科に通い、食事指導を受け、薬もきちんと服用している。それでもHbA1cが安定しないというケースは、実は少なくありません。

その原因は、「何を食べているか」ではなく、「何が食べられるか」にある可能性があります。

そして、その“食べられるかどうか”を左右しているのが、奥歯の状態です。

近年では、血糖値と歯周病が炎症によってつながっていることが知られるようになってきましたが、この2つの関係はそれだけではありません。

今回は歯周病を専門とする歯科医師の立場から、血糖コントロールと歯の関係を「食事の質」という観点で解説し、これからの対策として重要になる「歯科治療×栄養指導」についてお伝えします。

目次
  1. なぜ、食事を改善しても血糖値が下がらないのか?
  2. 「何を食べるか」ではなく「何が食べられるか」が血糖値を左右する
    1. 「どう食べるか?」=咀嚼数も大切
  3. あなたは「奥歯でしっかり噛めていますか?」
    1. 歯が少ない人ほど糖尿病にかかっている割合が高い
    2. 「噛む力」が衰えると5年後の糖尿病リスクが約9倍
    3. 入れ歯・インプラントは血糖コントロールに効果的
    4. しっかり噛めているかのセルフチェック
  4. 血糖値と歯周病は、「炎症」でつながっている
  5. これからの血糖コントロールは「歯科治療×栄養指導」がカギ
  6. 近隣エリアの医療機関と連携した「血糖コントロールトータルサポート」
    1. 糖尿病・代謝内科 宮田クリニック(福島区)
    2. よどがわ内科クリニック(淀川区)
    3. 血糖コントロールトータルサポート
  7. まとめ

なぜ、食事を改善しても血糖値が下がらないのか?

一般的に、血糖コントロールがうまくいかない理由としては、

  • カロリーの摂りすぎ
  • 栄養バランスの偏り(糖質・脂質が多い)
  • 運動不足
  • 薬の効き方の個人差 など

が挙げられます。実際、これらを改善すれば、うまくいくケースも珍しくありません。

しかし中には、こうした点にしっかり取り組んでいるにもかかわらず、数値が改善しにくい人がいるのも事実です。

そのような場合、「食事の内容」だけでなく、「食事の摂り方」に目を向けてみる必要があります。

というのも、血糖値が下がらない背景には、よく大切だと言われる「何を食べているか」だけでは説明しきれない要因が隠れていることがあるのです。

「何を食べるか」ではなく「何が食べられるか」が血糖値を左右する

  • 糖質を控える
  • 食物繊維を増やす
  • バランスよく食べる

いずれも血糖コントロールには不可欠です。

しかし実際の食生活では、「食べたほうがいいもの」ではなく、「食べられるもの」によって決まっているケースもあります。

この“食べられるかどうか”を大きく左右するのが、「お口の健康が維持できているか」。より具体的に言えば、「奥歯でしっかり噛めているか」。

奥歯でしっかり噛めている奥歯がない・奥歯に痛みがあるので、噛むのが辛い
繊維質の多い野菜や、歯ごたえのあるタンパク質食品も無理なく食べられる。パンや麺類、白米といった炭水化物など、柔らかく食べやすいものを選びがちになる。

上表を見ればわかるように、奥歯でしっかり噛むことができないと食事の内容が偏りがちになります。

その結果として、血糖値が上がりやすい食生活になる可能性が高まるのです。

「どう食べるか?」=咀嚼数も大切

また、食事を噛む回数も重要です。

食事を噛むことで咀嚼筋(そしゃくきん)に刺激が入ると、神経を通じて脳に信号が送られ、満腹中枢に伝わります。すると、

  • 「お腹がいっぱいだ」という信号が脳から発信される
  • 過剰な食欲をしずめる
  • 脂肪の分解を促す

といった体のシステムが働き、食べ過ぎを防ぐことができます。

さらにはよく噛んで食べると、糖の吸収スピードがゆっくりになるので、血糖値が上がりにくくなる、という効果もあります。

逆に言えば「奥歯がない・奥歯に痛みがある」などが原因で、しっかり噛むことができないと、どうしても血糖値が上がりやすい食べ方になってしまいがちなのです。

あなたは「奥歯でしっかり噛めていますか?」

実は、「奥歯でしっかり噛めているかどうか」と血糖コントロールには、無関係とは言えない関係があることがわかってきています。

歯が少ない人ほど糖尿病にかかっている割合が高い

たとえば、日本で行われた大規模な調査(高山スタディ)では、歯が少ない人ほど糖尿病にかかっている割合が高いことがわかっています。

歯を失うとしっかり噛めなくなり、食事のバランスが崩れやすくなります。

それが原因で糖尿病などの病気が悪化したり、さらには寿命(死亡リスク)にも影響したりする可能性があると考えられています。

「噛む力」が衰えると5年後の糖尿病リスクが約9倍

また島根県で行われた別の調査(島根CoHREスタディ)では、「噛む力」が衰えてしまった人は、5年後に糖尿病になるリスクが約9倍も高いという驚きの結果が出ています。

もともと噛む力があった人でも、年齢とともに噛む力が弱くなってしまうと、糖尿病になる危険性が一気に高まるのです。

入れ歯・インプラントは血糖コントロールに効果的

さらに岡山大学の研究では、義歯や補綴治療によって咀嚼機能を回復させた結果、HbA1c(血糖の指標)が改善したという報告もあり、「噛める状態を取り戻すこと」が全身の代謝にも関与する可能性が示唆されています。

このように「奥歯でしっかり噛めているかどうか」は、単なる口の中の問題ではなく、血糖コントロールにも影響を及ぼしうる重要な要素のひとつなのです。

しっかり噛めているかのセルフチェック

以下のうち、ひとつでも当てはまる場合、「しっかり噛めていない状態」にある可能性があります。

  • 奥歯が抜けたままになっている
  • 噛み合わせに違和感があり、入れ歯や被せ物が合っていないと感じる
  • 片側だけで噛むクセがある
  • 硬いもの(野菜・肉など)を無意識に避けることが多い
  • 食事に時間がかからず、あまり噛まずに飲み込んでいる
院長 奥田

血糖コントロールに悩んでいる人はもちろん、現段階で血糖値に以上がない人も、上の5つに当てはまるものがある場合は、一度信頼できる歯科医院を受診することをおすすめします。

血糖値と歯周病は、「炎症」でつながっている

血糖コントロールにおいては「噛めるかどうか」とは別に、「炎症」という視点も重要です。

日本人の約半分がかかっていると言われる歯周病(令和4年(2022年)歯科疾患実態調査)。予備軍を入れれば、大半の日本人に関係のある病気です。

この歯周病は、歯ぐきに慢性的な炎症が起こる病気です。進行すると、歯ぐきの中で炎症性物質(サイトカインなど)が産生されます。

この物質は血流を通じて全身に行き渡り、様々な影響を及ぼすことが知られています。

影響の一つが「インスリン抵抗性の強化」。

炎症性物質がインスリンの働きを妨げる方向に作用するため、血糖値が下がりにくい状態になるというものです。

つまり、歯周病があることで、血糖コントロールが難しくなるという関係が成り立つのです。

さらに、血糖値が高い状態が続くと免疫機能が低下し、歯周病も進行しやすくなります。

このように両者は一方通行ではなく、互いに影響し合う「悪循環」の関係にあります。

そして多くの場合、奥歯の欠損は、この歯周病の進行によって引き起こされます。

  • 噛めない(奥歯の問題)
  • 炎症がある(歯周病)

この2つが重なることで、血糖コントロールはさらに難しくなってしまうのです。

血糖値の改善を考えるうえでは、「何を食べるか」だけでなく、「しっかり噛める状態」と「炎症をコントロールすること」の両方に目を向ける必要があります。

これからの血糖コントロールは「歯科治療×栄養指導」がカギ

従来の血糖コントロールは、内科を中心に「何を食べるか」「どれだけ運動するか」といった生活習慣の見直しが主軸でした。もちろんこれらは今でも非常に重要です。

しかし実際には、「噛めない」「食べられるものが限られる」といった状態のままでは、どれだけ理想的な食事内容を知っていても、それを実践し続けることは困難です。

また、歯周病による慢性的な炎症が残っている場合には、インスリンの働きが妨げられ、血糖値が下がりにくい状態が続くこともあります。

そこで重要になるのが、「歯科治療」と「栄養指導」を組み合わせたアプローチです。

歯科の役割は、失われた奥歯を補い、しっかり噛める状態を取り戻すこと、そして歯周病の治療によって炎症をコントロールすることです。

そしてもう一つの柱となるのが、管理栄養士による栄養指導です。

「食事の改善」は簡単なことではない

生活習慣病が恐ろしいのは、名前の通り生活習慣が原因だからです。何年、何十年と続けてきた習慣を変えるのは、簡単なことではありません。

これは血糖コントロールにおける食事の改善も同じです。

管理栄養士が重要なのは、「何を食べるべきか」を伝えるだけではなく、患者様一人ひとりの“食べられる条件”に合わせて、実行可能な食事に落とし込む専門家だからです。

たとえば、

  • 噛みにくさがある中で、どのように栄養バランスを整えるか
  • 外食や生活習慣を踏まえて、無理なく続けられる工夫をどう組み込むか
  • 血糖値の変動を見ながら、食事内容をどう微調整していくか

こうした“現実の生活に即した調整”は、一般的な食事指導だけでは対応が難しく、専門的な視点と継続的なサポートが不可欠です。

そのため、管理栄養士が在籍し、継続的に関われる体制が整っている内科を選ぶことが、血糖コントロールの成否を左右すると言っても過言ではありません。

  • 噛める状態をつくる(歯科)
  • 実行できる食事に落とし込む(管理栄養士)

この2つが揃ってはじめて、「理想論ではない、現実的に続けられる血糖コントロール」が実現するのです。

近隣エリアの医療機関と連携した「血糖コントロールトータルサポート」

おくだ歯科医院では、近隣エリアの医療機関と連携。

必要に応じて患者様をご紹介をすることで、お口と全身両面から血糖コントロールに悩む患者様のサポートを行っています。

糖尿病・代謝内科 宮田クリニック(福島区)

各線「福島駅」「新福島駅」から徒歩4〜5分にある、生活習慣病全般に対応するクリニック。宮田院長はもちろん、看護師においても糖尿病のスペシャリストが勤務されています。

糖尿病をはじめとする脂質異常症、高尿酸血症などの代謝疾患を専門とされており、患者様お一人お一人が抱えている課題に合わせ、医師、看護師、管理栄養士、臨床検査技師が、専門的な立場からチームを組んで診療にあたられています。

また一般的な「栄養指導」ではなく「栄養相談」というスタンスをとっており、患者様と二人三脚で食事改善を進めていくことを大切にされているのも特徴です。

よどがわ内科クリニック(淀川区)

阪急十三駅 東改札口すぐにある、おくだ歯科医院ともかなり近い場所にあるクリニック。

呼吸器疾患(気管支喘息、COPD、肺がん等)や生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症、痛風等)が専門の院長、肛門科を専門とする副院長をはじめ、大阪大学医学部に所属する循環器科などの医師が高度な知識と技術にもとづいた診療をされています。

また、クリニック内に血糖値、HbA1C等の血液検査ができる機器を導入されており、検査を受けたその日のうちに結果を受け取ることができます。

血糖コントロールトータルサポート

一方で歯科では、奥歯の欠損に対する補綴治療や、歯周病の治療を通じて、「しっかり噛める状態」と「炎症のコントロール」を整えていきます。

このように、

  • 内科:血糖値の評価・薬物療法・食事指導
  • 歯科:噛む機能の回復・歯周病治療

それぞれの専門性を活かしながら連携することで、より現実的で継続可能な血糖コントロールを目指すことができます。

血糖値がなかなか改善しない場合、「どこに相談すればよいかわからない」と感じる方も少なくないはず。

そのような場合でも、お口の状態を含めて一度状況を整理することで、必要な医療につながるきっかけになることがあります。

まずは、現在のお口の状態を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

血糖値が思うように改善しない場合、「努力が足りない」のではなく、「正しい支援が揃っていない」可能性があります。

だからこそ、これからの血糖管理では、医科と歯科、そして管理栄養士が連携した体制を選ぶことが重要になってきます。

まずはともかく、お口も含めたご自身の体の状態を知ることがスタート地点。

気になる症状や不安なことがございましたら、お電話にてお気軽にお問い合わせください。

院長 奥田

「せっかく頑張って食事を改善をしたのに……」とモチベーションが下がってしまうのはもったいない!しっかり原因を突き止めて、自分にぴったりの治療を見つけましょう。

診療内容

当院について

デンタルコラム

院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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