こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。
皆さんは、歯科を含む医療のルール(診療報酬)が定期的に変わっていることをご存じでしょうか。
これは患者さまが負担する費用の変動に直結すると同時に、「政府が国民にどんな医療を提供していきたいか」という方針の発表でもあります。
2026年も、この診療報酬改定の時期がやってきました。当院ではこれまでのデンタルブログで、この診療報酬改定について何度か触れてきましたが、今回の改定からは主に4つの方向性を読み取りました。
その内容について、患者さまにもわかりやすい形でご紹介したいと思います。
すなわち、
- 予防をより科学的に支えること
- 歯科治療のデジタル化をより進めること
- お口と全身の健康をつなぐこと
- 歯科医療を支えるスタッフを大切にすること
です。
どれも、患者さまの未来にとって大切な方向性であり、私たちも基本的な考え方には賛成です。
おくだ歯科医院がいつも大切にしているのは、「患者さまに後悔させない治療」を提供すると同時に「自分の家族に受けてほしいと思う治療を、そのままお届けする」ということ。
今回の改定の中身も、その視点に立ってお伝えします。
【要点】1分でわかる「歯科医療の4つの方向性」
- 予防をさらに重要視。お口がきちんと機能しているのかを数値で管理する仕組みが強化されます。
- 詰め物・被せ物を作る際の型取りが、もっとラクに。従来の方法に代わる、新しい方法で治療できる範囲が広がります。
- 病院(医科)との連携が深まります。糖尿病・誤嚥性肺炎・手術前後など、全身の健康と歯科がつながります。
- 歯科衛生士がより長く安定して働ける環境を。賃上げを支える仕組みが整いました。
予防を「科学」で支えるーーお口がしっかり機能する歯科医療へ

何が変わる?
お口の機能を管理する評価が引き上げられ、国も「治す歯科」から「管理し、守り続ける歯科」へと、明確に舵を切りました。
患者さまにとってのポイント
「お口が乾く」「硬いものが食べにくい」「むせやすい」──そうした感覚的な変化を、専用の機器で数値として見える化して管理します。一生おいしく食べるための「お口のリハビリ」が、もっと身近になります。
これは大いに評価できる方向性であり、当院もこれまで力を入れてきた分野です。
歯科医療の現場から見た課題
一方で、歯周病メンテナンス、特に歯石のお掃除に関する評価項目が再編・整理されました。
制度全体の見直しの中で、歯の本数が少ない方への評価がやや引き下げられた形になっています。
「歯の本数が少ないほど、メンテナンスに時間がかからないはず。それなら評価を引き下げるべきだ」という意図は理解できますが、歯の本数とメンテナンスの時間は単純に比例しません。
むしろ、歯の本数が少ない人ほど、残った1本を守る重要性は高いはず。その視点が、もう一歩反映されてほしかったというのが、現場の率直な感覚です。
おくだ歯科での治療はどう変わる?
当院の治療は今までと変わりません。
歯の本数の多い・少ないにかかわらず、お一人おひとりの状況に合わせて、必要なケアを、必要な時間をかけて提供します。
点数(診療報酬)が下がったことは、医療の質を下げる理由には決してなりません。
苦痛の少ない治療を、もっと当たり前にーー歯科のデジタル化

何が変わる?
これまで一部の詰め物に限られていた、お口の中の型取りをデジタル化する、光学スキャナーの活用が、被せ物にまで拡大されることに。評価も引き上げられました。
国が歯科のデジタル化を本格的に後押しし始めた、と言えます。
患者さまにとってのポイント
ピンク色の粘土のようなものを一定時間噛み続ける、あの不快な型取り。
その代わりに光学スキャナーでお口の中を読み取る方法の、保険の適用範囲が広がりました。
たとえば、保険診療で使われる白い被せ物の一部(CAD/CAM冠)についても、従来の粘土の方法ではなく、スキャナーによる型取りを活用しやすくなっています。
「苦痛が少なく、しかも精度が高い」──そんな治療が、保険診療の中でも選びやすくなります。
歯科医療の現場から見た課題
ただ、光学スキャナーやその関連設備は、決して安価なものではなく、維持費や更新費もかかります。
今の点数で、その負担をすべてまかなえるとは言い難いのも事実です。それでも、患者さまにとって良いと信じる道具は揃え続ける──これが当院の覚悟です。
おくだ歯科での治療はどう変わる?
私たちは、患者さまの負担を少しでも減らし、精度の高い治療をお届けするために、国が制度として後押しするずっと前から、必要な設備を計画的に導入してきました。
その姿勢はこれからも変わりません。現在も、より良い治療のための新設備導入に向けて、歯科衛生士たちと連携しながら日々リサーチを続けています。
「お口から全身を守る歯科」へーー医科歯科連携がより深まります

何が変わる?
医科(内科や病院)と歯科がしっかり情報をやり取りした場合の新しい評価が設けられました。
注目すべきは、医科の先生が「歯周病が悪化しそうな患者さまを歯科に紹介する」という行為が、今回から正式に評価されたこと。
これにより、内科や病院の先生方にとっても、患者さまを歯科につなぐ動きが取りやすくなりました。「重症化する前に、歯科でケアを受ける」という流れが、地域ぐるみで現実的に回り始めるはずです。
「お口の健康が、全身の治療や療養にも関わる」──その考え方が、公的にさらに後押しされた大きな一歩だと感じています。
患者さまにとってのポイント
糖尿病はもちろん、誤嚥性肺炎の予防、がんや心臓の手術前後の感染リスクを下げることなど、お口の健康が全身の治療や療養に関わるという考え方が、制度上、さらに後押しされる形になりました。
心臓病や脳卒中との関連も指摘されており、さらなる研究も進んでいます。
今後、内科や病院の先生から「歯医者さんでのケアも受けてくださいね」と勧められる場面が、ぐっと増えるはずです。
歯科医療の現場から見た課題
現場の体感としては、連携に必要な書類や記録の事務作業がやや煩雑すぎる印象を受けています。
これは保険医協会などを通じて、私たち現場の医師からも、国に改善要望を出している論点です。
おくだ歯科での治療はどう変わる?
おくだ歯科は、十三エリアの内科・病院の先生方と、これまでも丁寧な連携を続けてきました。そのため「お口から全身を守る」という国のビジョンには、強く賛同します。
書類の負担については、ITツールなどを活用しながら効率化しつつ、今後の政府の対応を見守りたいと思います。
当院では引き続き、地域の医療機関と丁寧に情報を共有しながら、患者さまの全身の健康をお守りしていきます。
「一生涯」の伴走のためにーースタッフの処遇改善

何が変わる?
初診・再診のたびに、スタッフの賃上げのための点数が積み上げられる仕組みが整えられました。
国が歯科医師だけでなく、歯科衛生士の重要性を認識し、処遇の改善を本気で支えようとしていることが伝わってくる改定です。
患者さまにとってのポイント
信頼できる歯科衛生士が、同じクリニックで長く勤めやすくなります。
歯科衛生士は定期検診やクリーニングといった、歯周病・虫歯予防の最前線を担う仕事です。
例えば当院の歯科衛生士たちは、患者さま一人ひとりのお口の状況やこれまでの変化が頭に入っており、「これからの人生を健康なお口と歩んでいってもらうためには、どんな治療やコミュニケーションが必要か」を常に考えています。
こうした信頼して自分のお口の健康について相談できるスタッフが安心して長く働き続けられること。これこそが、患者さまお一人おひとりを、何十年にもわたって見守り続けるためにはとても重要です。
おくだ歯科での治療はどう変わる?
スタッフの頑張りが社会的に評価されることは、医療人として、また経営者として、素直に嬉しいことです。
当院では長年、歯科衛生士の仕事を非常に重要視しており、育休・産休がしやすい環境づくりをはじめ、できる限りの処遇を整えてきました。
スタッフが笑顔で働ける環境を守ることを、これまで以上に大切にしていきます。
まとめ
制度や点数(診療報酬)は、時代とともに変わります。今回の改定にも、現場として評価する点と、「あと一歩」と感じる点が混在していました。
私たちが見えていない、制度設計上の事情もあるのでしょう。だからこそ、国とも、他の先生方とも、対話を重ねながら、よりよい歯科医療を一緒に育てていきたいと考えています。
しかし、どんなにルールが変わっても、おくだ歯科医院が大切にしている「患者さまに後悔させない治療」「自分の家族に受けてほしい治療」を提供するという信念は、1ミリも揺らぎません。
新しいルールは賢く活用しながら、それ以上に高い志を持って、皆様のお口の健康をお守りすること。
それが、十三という街で、皆様の「一生」をお預かりする歯科医院としての、私たちのお約束です。これからも、おくだ歯科医院をどうぞよろしくお願いいたします。

「完璧なルール」というものは存在しません。「完璧に向かって改善を続ける」ことが大切です。診療報酬制度も同じ。今後もよりよい歯科医療とは何かを、政府や医師の先生方と考え続けていきたいと思います。


