デンタルコラム

「歯科衛生士・歯科医師おすすめフロス」にご用心!効果的な使い方と、使い始める前に知っておいて欲しいこと

フロス

「どのデンタルフロスが一番おすすめですか?」

皆さんこんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

歯科医師や歯科衛生士として現場に立っていると、患者様からよく「おすすめのフロス」を聞かれます。

当院デンタルブログ「歯科衛生士が実際に使ってみた!人気のデンタルフロス5種徹底レビュー」も人気記事の1つで、健康意識の高い方ほど、熱心に道具選びをされている印象を受けます。

しかし当院を含め、世の中の「歯科衛生士・歯科医師おすすめフロス」を使う前に、ご用心いただきたいことがあります。

というのも、どんなに良いフロスでも、フロスの技術が身についていなかったり、使うタイミングを間違えていたりすれば、効果が半減するどころか、気づかないうちに歯ぐきを傷つけ、歯周病を悪化させてしまうこともあります。

「おすすめを買ったけれど、うまく通せない」
「フロスをすると血が出るから、怖くてやめてしまった」
「毎日やっているのに、健診に行くと磨き残しを指摘される」

今回はそんなお悩みを抱えている人のために、効果的な使い方と、使い始める前に知っておいて欲しいことをお伝えします。

目次
  1. 自己流フロスは「5つの落とし穴」にご用心
    1. ①順番の勘違い「仕上げのフロス」はもったいない!
    2. ②「出血=傷つけた」という思い込みが病状を悪化させる
    3. ③汚れが残る「通すだけ」フロス
    4. ④細菌を広げる「糸の使い回し」
    5. ⑤「ギコギコ前後運動」は歯茎を痛めつける
  2. フロスを120%活用するための「4つのテクニック」
    1. まずはここから!2つの必須テクニック
    2. 慣れてきたら意識して!2つの効率アップテクニック
  3. 当院のクリーニングでは、こんなふうに使っています
    1. フロスが“効く状態”を、まず整える
    2. プロは「見えないところ」までコントロールする
    3. 被せ物・仮歯がある方でも、フロスは重要です
  4. まとめ

自己流フロスは「5つの落とし穴」にご用心

「フロスなんて、ただ歯の間を通せばいいだけでしょ?」と思われている方は多いかもしれません。

しかし日々の診療で、初診の方に「どんなふうにフロスを使われていますか?」とお聞きすると、意外なほど間違った使い方をしている人が多いのが実情です。

まずは以下の5つのうち、当てはまるものがないかチェックしてみてください。

□フロスは歯磨きの後にしている
□フロスを使ったら血が出たので、今は使うのを止めている
□フロスをパチンと歯の間に入れたら、次の歯に移っている
□もったいないので、フロスは短く切った1本で全ての歯間を掃除している
□しっかり掃除したいので、歯茎の奥までフロスを押し付けて、ギコギコ動かしている

実はこれら5つ全てが間違った使い方です。

①順番の勘違い「仕上げのフロス」はもったいない!

多くの方が「まずは歯を磨いて、仕上げにフロス」という順番でケアをされています。

しかし、近年の研究や予防歯科の現場では、「歯を磨く前」のフロスが推奨されています。

理由は明確です。

汚れ(食べかすやプラーク)が詰まった状態で先に歯を磨いても、歯ブラシの毛先や歯磨き粉に含まれるフッ素などの有効成分が、一番ケアしたい歯の隙間に届かないからです。

先にフロスで歯磨きのための土台を整えてから磨く。この順番に変えるだけで、毎日のケアの効率をアップさせることができます。

②「出血=傷つけた」という思い込みが病状を悪化させる

「血が出るから怖くてやめた」という声をよく聞きますが、これは非常にもったいない誤解です。

多くの場合、出血の原因はフロスで傷つけたことではなく、そこにもともとある「歯周病による炎症」です。

正しい方法で継続すれば、炎症が治まり、数週間で出血は止まります。

怖がってやめてしまうと、原因菌を放置し、病状をさらに悪化させることに繋がるので、まずは続けてみましょう。

院長 奥田

ただし、これはきちんと治療を受けている場合。治療を受けていないのに歯茎から血が出る場合は、まず歯医者への受診が必要です。

③汚れが残る「通すだけ」フロス

多くの人がやってしまいがちなのが、フロスをパチンと歯の間に入れ、そのまま抜いてしまう動作。

これでは大きな食べかすは取れても、歯周病の真の原因である「歯の側面のプラーク(細菌の塊)」はほとんど落とせません

フロスは単に隙間を通過させるものではなく、歯の側面にこすりつけて汚れを「こそぎ落とす」ための道具であることを忘れないでください。

④細菌を広げる「糸の使い回し」

意外と知られていないNG例が、同じ部分の糸をそのまま別の歯にも使い回してしまうこと。

一度使用したフロスの繊維には、目に見えないほど大量の細菌が付着しています。

これでは、せっかく取った細菌を他の健康な歯へお引っ越しさせているようなものです。1か所通すごとに糸をずらし、常に清潔な部分を使いましょう。

⑤「ギコギコ前後運動」は歯茎を痛めつける

フロスを歯茎の方向に向けて押し付け、ノコギリのように前後に激しく動かしていませんか?

この力任せの「ギコギコ運動」こそ、自己流フロスで最も危険な行為です。

歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭)は柔らかく、傷つきやすいため、フロスを入れる際は

  1. 歯間から歯の中心軸に対して斜めにフロスを当てる
  2. 少しずつ前後いずれかに動かし、少しずつ歯間に入れていく

という点が大切です。

力任せに一気に挿入すると歯間乳頭を退縮させてしまう原因となるためフロスを歯軸に対して斜めにしてノコギリを引くようにすこしずつ挿入します

無理な力が加わると、歯ぐきが傷つき、「フェストゥーン(歯ぐきの盛り上がり)」になったり、歯と歯の間の歯肉が下がったりする原因を、自ら作ってしまう可能性があります。

フロスを120%活用するための「4つのテクニック」

どんな道具も「どう使うか」が大事。フロスも同じです。

自分の間違った使い方を把握したら、次はフロスを120%活用するための技術を身につけましょう。

まずはここから!2つの必須テクニック

①歯の側面に密着させる「Cの字」法

前述した、

  1. 歯間から歯の中心軸に対して斜めにフロスを当てる
  2. 少しずつ前後いずれかに動かし、少しずつ歯間に入れていく

に注意をしてフロスを歯と歯の間に入れたら、歯の根元を包み込むようにたわませ、歯の側面にピッタリと密着させて上下に動かしてください。

歯を上から見た時に、フロスがCの字に寄り添うイメージです。

これを意識するだけで、清掃の効率が劇的に変わります。

②歯肉溝に“そっと”「2ミリ」滑り込ませる

歯と歯ぐきの境目にある「歯肉溝(しにくこう)」という数ミリの溝の中は、細菌が最も繁殖しやすい場所です。

この歯肉溝をしっかり掃除できるのがフロス。

糸を歯間に通したら、歯の側面に沿わせたまま歯ぐきの溝の中へ、痛みを感じない範囲で、ほんの少し(1〜2mm)だけ、そっと滑り込ませます。

あとは「Cの字」法の要領で上下に動かし、汚れと細菌を絡め取りましょう。

ポイントは「そっと」やること。ここで力を入れてしまうと、「フェストゥーン(歯ぐきの盛り上がり)」の原因になる可能性があります。

慣れてきたら意識して!2つの効率アップテクニック

③「糸の送り出し」で細菌のお引っ越しを食い止める

細菌のお引っ越しを食い止めるには、まず指巻きタイプのフロス(ロールタイプ)を使うことが大前提。

なぜなら、「糸の送り出し」によって常に清潔な糸が使えるからです。

1か所掃除したら、指に巻いた糸をくるりと1回分ずらし、常に汚れのない部分で次の歯間に移ります。

慣れるまでは難しいと感じるかもしれませんが、1週間ほど続ければストレスは感じなくなるはずです。

④適切な「フロスのテンション(張り)」を保つ

フロスが緩んだ状態で動かしても、歯の表面の汚れをこそぎ落とすことはできません。

両手の指の距離を1〜2cm程度に短く保ち、ピンと糸を張った状態で操作するのがコツです。

この適切な「張り」があって初めて、フロスは強力な清掃道具として機能します。

院長 奥田

これらのテクニックを身につけたことで、毎回歯科衛生士から「歯ブラシとフロスだけなのに、いつもすごく綺麗にしてますね!」と驚かれている患者様もいらっしゃいます。それくらい、歯磨きには技術の差が現れます。

当院のクリーニングでは、こんなふうに使っています

フロスは単なる清掃道具ではなく、歯並びや歯ぐきの状態に合わせた“技術”が求められるケアです。

実際、上記のテクニックを全て身につけても、どれだけ丁寧にケアしても、セルフケアだけでは限界があります。

そのためお口の健康を維持するには、プロによる指導・クリーニングが必要不可欠です。

おくだ歯科医院では、定期検診のたびに必ずフロスを使用し、患者様一人ひとりの状態に合わせたケアを行っています。

院長 奥田

定期検診の際のフロスは、「お口の中がすっきりして帰れる」と患者様からも好評です。

フロスが“効く状態”を、まず整える

ご自宅でどれだけ丁寧にフロスをしていても、

  • 歯石が付着している
  • 詰め物や被せ物に段差がある
  • 歯ぐきに炎症がある

といった状態では、フロス本来の効果を発揮できません。

当院のクリーニングでは、まずこうしたフロスを邪魔する要素を取り除き、フロスが正しく機能するお口の環境を整えることから始めます。

プロは「見えないところ」までコントロールする

さらに重要なのが、フロスの“入れ方”と“当て方”です。

例えば、

  • 歯と歯の接触の強さ
  • 歯ぐきの入り込み具合(歯周ポケットの深さ)
  • 被せ物や仮歯の形状

これらによって、最適な角度や力加減はすべて変わります。

おくだ歯科医院では、こうした条件を踏まえ、歯ぐきを傷つけず、かつ汚れを確実に除去する操作について、実際のクリーニングの中で、患者様ご自身にも体験していただきながら、ご自宅で再現できる形でお伝えしています。

被せ物・仮歯がある方でも、フロスは重要です

「被せ物が取れてしまいそうで怖い」
「仮歯のところは触らない方がいいのでは?」

そう思われる方も多いのですが、実際にはこうした部分こそ、より丁寧なケアが必要です。

特にフロスをしただけで取れてしまいそうな被せ物に関しては、その時点で問題があるので、いっそ適切に処置をした方が結果的に歯の健康には良いとさえ言えます。

おくだ歯科医院では、先ほども触れた、段差のある詰め物や被せ物の入れ直しに加え、

  • 被せ物の縁に沿った清掃
  • 仮歯周囲のプラークコントロール

といった、状態に応じたフロス操作をお伝えすることで、ご自宅での正しいケアをサポートしています。

まとめ

フロスは、歯ブラシだけでは届かない部分を補い、歯周病や虫歯を防ぐ非常に重要なケアです。

そしてその効果は「やっているかどうか」ではなく、「正しくできているかどうか」で決まります。

おくだ歯科医院では、

  • 定期検診ごとのクリーニングでのフロスケア
  • 患者様一人ひとりに合わせた使い方のレクチャー

を通じて、ご自宅でも再現できるケアをサポートしています。

また、実際の診療で使用している歯科専売品のフロスを、院内でご購入いただくことも可能です。

ネットや口コミで「おすすめのフロス」を探すことも大切ですが、その前に一度、ご自身の使い方を見直すために、歯科医院をご活用いただければと思います。

院長 奥田

フロスの技術は、一度身につければ自分の歯を一生守るための武器になります。「血が出るのが怖い」「自分の使い方が合っているか不安」「うまく通せない」と感じている方は、ぜひお気軽にお電話にてご相談ください。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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