デンタルコラム

世界トップの歯科医師たちに、「詰め物・被せ物」と「歯周病治療」についてレクチャーを受けてきました

Dr. Joséたちと。

皆さん、こんにちは。大阪十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

去る9月17日から約1週間お休みを頂き、世界最大レベルの歯科医師の研修機関<Seattle Study Club>主催の海外研修に参加してきました。

今回のデンタルブログでは、現在の歯科医療が抱えている課題の一部を紹介するとともに、研修の様子をご紹介したいと思います。

目次
  1. 今回の海外研修の概要
  2. 「詰め物・被せ物」分野と「歯周病治療」分野が抱える課題
  3. 「詰め物・被せ物」分野のトップランナー2人のレクチャー&ハンズオンセミナー
  4. 「歯周病治療」分野のトップランナーDr. José Nart Molinaのレクチャー
  5. まとめ

今回の海外研修の概要

今回の海外研修のメインは、イタリア北東部のパドヴァのDr. Paniz Gianluca、そしてカタルーニャ大学で歯周科教授を務めるDr. Jose Nartのレクチャーやハンズオン(実践形式の)セミナーです。

  • Dr. Paniz Gianluca…米国補綴学会の最高位資格「米国ボード認定補綴専門」を取得。
  • Dr. Jose Nart…米国歯周病学会の最高位資格「米国ボード認定歯周専門医」を取得し、スペイン歯周病・インプラント学会会長も務める。

事前資料に記載されていた研修内容が、今まさに私が勉強しておきたい内容だったこともあり、手を挙げました。

また、私がJIADSという団体で一緒にインストラクターを務めさせていただいている、須田剛義先生(アメリカ補綴専門医)筒井純也先生(ニューヨーク大学卒業)

今回の研修は、このお二人が<Seattle Study Club>の日本支社(Seattle Study Club of Japan)の理事を務めており、今回の海外研修にも同行されるとのことで、きっとたくさん学べることがあるだろうと、期待に胸を膨らませての渡欧となりました。

「詰め物・被せ物」分野と「歯周病治療」分野が抱える課題

実のところ当初、今回の研修への参加はかなり迷いました。日程を考えるとかなりハードなスケジュールで、約1週間もお休みをいただくため、患者様にもご迷惑をおかけするからです。

しかし研修で学べる内容を考えると、今後の当院の患者様に必ず貢献できるはずだと思い、参加を決めました。

というのも、当院が長年取り組んできた課題にぴったり当てはまる内容だったためです。

医療は常に何かしらの課題に向き合っており、それは歯科も例外ではありません。

  • 高齢化社会への対応
  • 治療の個別化
  • 再生医療の研究
  • デジタル技術の活用
  • 医学や工学、材料科学といった他分野との連携 など

数え上げればキリがありません。

おくだ歯科医院が専門としている「詰め物・被せ物」分野(専門的には補綴修復分野)と「歯周病治療」分野においても、さまざまな課題が山積みになっています。

今回の海外研修では、

  • 「詰め物・被せ物」分野…アナログ技術とデジタル技術を融合させた補綴修復の考え方
  • 「歯周病治療」分野…未だ治療方法が確立されていないインプラント周囲炎についてのアプローチ

を学べるということでした。

いずれのテーマも長年当院が取り組んできた課題です。だからこそ「これは行っておくべきだ」と思い、強行軍で参加したのです。

「詰め物・被せ物」分野のトップランナー2人のレクチャー&ハンズオンセミナー

9月14日の診療後、そのまま関西国際空港へ向かい、夜中の便でイタリア・ベニスへ出発。現地時間の9月15日に空港に到着しました。

パドヴァでのハンズオンセミナー

その足で同国北東部の街パドヴァに入り、Your Dental Future Education CenterにてDr Gianluca PanizとDr luca De Stavolaのレクチャーとハンズオンセミナーを、3日間に渡って受講しました。

ここでは、従来のアナログ技術による補綴修復の中に、最新のデジタル技術をうまく取り組むことで、患者様の負担軽減治療の効率アップを図るアイデアについて、さまざまな角度から指導を受けました。

パドヴァでのレクチャー

また、これまでの常識である「歯を削る」とは異なる新しいアイデアについて、膨大な量の論文・エビデンスに基づいて指導を受けることもできました。

Dr Gianlucaとの夕食

何より刺激的だったのは、Dr Gianlucaとの夕食です。二日連続でご一緒したのですが、お酒を飲んでいても話が歯のことに及ぶと、胸元からボールペンを取り出し、テーブルの上の紙ナプキンに図を描きながらディスカッションがスタートするのです。

今回の研修メンバーはみな年齢が近いこともあり、とても濃厚な3日間を過ごすことができました。

「歯周病治療」分野のトップランナーDr. José Nart Molinaのレクチャー

Dr Gianluca PanizとDr luca De Stavolaに別れを告げ、私たちはスペインのバルセロナへ移動し、世界トップクラスの大学歯科医院を持つUIC(International University of Catalonia)でDr. José Nart Molinaのレクチャーを受けてきました。

Dr. Joséのレクチャー

Dr. Joséのレクチャーでは、インプラント周囲炎インプラントのポジション(どこに、どの角度で埋め込むか)について、歯周病学的なアプローチや考え方について色々と教えて頂きました。

「インプラントは一生もの」と言われることもありますが、実はそうではありません。適切なメンテナンスを受けなければ、インプラント周囲炎を発症し、放置すれば抜け落ちてしまいます。

インプラント周囲炎はインプラント治療後に発生する炎症性の病気です。細菌の蓄積により、インプラント周囲の歯肉に炎症が起こり、進行すると周囲の骨にまで及びます。

主な症状には、腫れ、出血、膿の排出、インプラントの脱落などがあります。

先ほども触れたように、この病気には確立された治療方法は見つかっていません

しかしDr. Joséは「確かに、この病気を完治させる方法は今のところなく、あくまで予防することが大前提である」としながらも、自身が模索しているいくつかの治療アイデアをシェアしてくれたのです。

Dr. Joséたちと。

まとめ

合計8日間。

ロシア−ウクライナ間の問題で、往復で40時間近い移動も含めたタフな研修となりましたが、やはり現地で実際にレクチャーを受けたり、ディスカッションをすることで、見逃していたこと、理解したつもりでいたことが明確になった、有意義な時間となりました。

先生方から学んだ技術やアイデアは、細かな検証が必要なこともあり、実際に患者様に対して使用するかどうかは、スタッフと相談していきながら決めなければなりません。

しかし、今回の経験は何らかの形で臨床に落とし込み、患者様に還元していきたいと考えています。

改めまして、約1週間に及ぶお休みをいただき、ありがとうございました。

院長 奥田

世界の第一線を走る医師は、どの国の方でもとにかく情熱を持って仕事に打ち込んでいます。私自身、プロフェッショナルとして高い熱量で患者様と向き合っていきたいと思います。

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当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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