デンタルコラム

【写真付き解説】ラバーダム施術の現場、イチから見せます。

ラバーダム施術①

みなさん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院院長の奥田裕太です。

当院では、患者様の歯の健康と治療の質を最優先に考え、時間と手間をかけて、ほぼすべての歯の根の治療(根管治療)でラバーダム施術を行っています。

しかし、最初にラバーダムを使用することを患者様に説明すると、「先生たちが言うならお任せしますが、初めてなのでちょっと不安です」とおっしゃる方が少なくありません。

そこで今回はそんな不安を解消してもらうために、当院のラバーダム施術の現場を、準備から本番そしてラバーダムを取り外すところまで、丸ごとお見せします

このデンタルブログを読んでいただければ「ラバーダムって結局何をされるのかわからなくて……」という不安をお持ちの方にも、きっとご安心いただけるはずです。

院長 奥田

ラバーダムについては以下のデンタルブログでも説明しています。これらも合わせて参考にしていただければ幸いです。

目次
  1. ラバーダム施術の“準備”
    1. 器具を準備する
    2. ラバーダムを治療する歯に取り付ける
  2. ラバーダム施術の“本番”
    1. 歯に小さな穴を開ける
    2. 根管内を機械で拡げていく
    3. 薬剤を使用して根っこの中を化学的に洗浄する
    4. 最後に
  3. ラバーダム施術の“片付け”
  4. まとめ

ラバーダム施術の“準備”

器具を準備する

ラバーダム施術②

ラバーダムを使った治療は、まず以下のような必要な器具を揃えるところから始まります。

ラバーダムシートゴム製の薄いシートです。
クランプ ラバーダムシートを歯に固定するためのバネ状の器具です。
フレームラバーダムシートを広げて固定するための枠です。
フロス歯間にしっかりとラバーダムシートを装着するために使用します。
コーキング剤歯の構造上、どうしても生まれてしまう隙間を埋めるためのものです。当院では「オラシール」という専用品を使用しています。
消毒液治療の成功率を高めるため、ラバーダムやラバーダムを取り付ける歯や歯肉、周囲の粘膜の消毒に使用します。

続いて患者様の口腔内の状態を確認し、使用するクランプのサイズを選定したら、パンチを使ってラバーダムシートに適切な位置と大きさの穴を開けます。

この穴の配置は治療対象の歯と周囲の歯の位置関係を考慮して慎重に決定します。

ラバーダムを治療する歯に取り付ける

ここまで準備ができたら、患者様の治療する歯にラバーダムを取り付けていきます。手順は以下の通りです。

ラバーダム施術③

治療する歯の周りを清掃したのちに、穴を開けたシートにクランプを取り付けてから、治療する歯を挟むようにして取り付けます。

歯間にフロスを入れるようにして、クランプをしっかりと固定していきます。

シートが均等に張るよう調整しながら、フレームを取り付けます。

ラバーダム施術④

続いて歯の周りにコーキング剤を注入して、隙間を完全に封鎖し、唾液や水飛沫を介して細菌感染等を起こさないように処置をします。

ラバーダム施術⑤

最後に消毒液を使って、治療する部分の消毒を行い、準備完了です。

ラバーダム施術の“本番”

ラバーダムを確実に取り付けたら、いよいよ根管治療がスタートします。

当院では、マイクロスコープを用いた精密根管治療を行っている他、歯医者で「もうこの歯は抜くしかない」と言われたら?“専門医”に聞いてみました【歯科医師インタビュー】でも紹介した、根管治療の専門家である峯田茉里先生に担当をお願いしています。

歯に小さな穴を開ける

ラバーダム施術⑥

まずは必要に応じて虫歯や古い詰め物を取り除き、歯の内部にある神経の通り道(根管)へアクセスするための小さな穴を開けます。

根管内を機械で拡げていく

ラバーダム施術①

それから、とても細い針のような器具(ファイル)やロータリーファイル(機械で回転するファイル)を使って、機械的に根管を少しずつ広げていきます。

これにより感染物質を機械的に除去するのと同時に消毒薬を根の中で循環しやすくします

薬剤を使用して根っこの中を化学的に洗浄する

ラバーダム施術⑦

次亜塩素酸ナトリウムやEDTAなどの消毒液で根管内をきれいに洗い流します。これにより、中にある細菌や炎症を起こしている組織を取り除いていきます。

最後に

根管内を乾かした後、抗菌作用のある薬を入れておきます。この薬が根管内に残っている細菌を退治します。

そして、次回の治療までの間、細菌が入らないように歯に一時的な詰め物をして終了します。

ラバーダム施術の“片付け”

ラバーダム施術⑧

治療が完了したらコーキング剤を削ってクランプのロックを外し、ラバーダムシート全体を外していきます。

この際、治療した歯や周囲の歯肉を傷つけないよう細心の注意を払います。

ラバーダム施術⑨

ラバーダムを完全に取り外した後は、残ったコーキング剤をきれいに削り落とすとともに、治療部位やその周囲の歯肉に問題がないか丁寧に確認します。

長時間のラバーダム装着によって、歯肉に一時的な圧痕が残ることがありますが、通常は短時間で回復します

問題がなければ、口腔内を十分に洗浄して治療は終了。

患者様に治療内容について説明し、帰宅後に痛みや腫れなど何か問題が起きた場合は遠慮なくご連絡いただくようお伝えします。

滅菌器

仕上げは使用した治療器具の滅菌です。クランプや治療器具はすべて回収し、専用の滅菌器で処理します。

ラバーダムシートやファイルなどは使い捨てのため、医療廃棄物として適切に処分します。

こうした片付け作業も、次の患者様に安全な治療を提供するための重要なプロセスだと当院では考えています。

まとめ

当院のモットーは「患者様に絶対に後悔させない歯科治療」を提供すること。そのためには、ラバーダムを使った施術は必要不可欠と考えています。

日本では根管治療にラバーダムを常に使用している歯科医院は少数派です。しかし、欧米ではほぼすべての根管治療でラバーダムが使われています。

日本とアメリカでの根管治療の成功率には、日本が約50-60%、アメリカが約90%以上と大きな差があります。

ここにはラバーダムの使用率も大きく影響していると私は考えています。

虫歯の再発を防ぎたい方、できるだけ長く自分の歯で生活したい方は、ラバーダムを使った根管治療を行っている歯科医院を選ぶことをおすすめします。

院長 奥田

当院では、保険診療の枠内でもラバーダム施術を標準として取り入れており、患者様の口腔内の健康を最優先に考えた治療を提供しています。歯の根の治療でお悩みの方は、ぜひ一度当院までご相談ください。専門的な知識と技術で、あなたの大切な歯を守るお手伝いをさせていただきます。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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