皆さん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。
お口の健康を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。しかし、ただ定期的なメンテナンスを受けていればいいというわけではありません。
積み上げられた経験と高い技術力がなければ、お口の中の異変を見逃してしまうからです。
私たち歯科医療従事者は、患者様のお口の健康を守っていくため、常に目を養い、腕を磨き続けながら、患者様と10年、20年、30年と二人三脚で歩んでいく必要があるのです。
ところが今後の日本の先行きを考えると、近い将来、患者様に十分な質の医療を提供できなくなるのではないかと、私は危惧しています。
今回はその理由を説明するとともに、おくだ歯科医院が未来のお口の健康のために取り組んでいることについてご紹介したいと思います。
「30年後のお口の健康」はどうなる?————少子高齢化・人口減少
私は今年、42歳を迎えました。前院長であり、私の父でもある奥田裕司は68歳ですが、まだまだ現役です。私も父のようにできるだけ長く、患者様の人生に伴走していきたいと考えています。
しかし仮にあと30年、現役でいられるとしても、今と同じ水準の治療を提供し続けられるかというとやや不安があります。
理由としては、もちろん体力面の衰えも挙げられますが、同時に日本国内の人材不足も大きな懸念材料です。
「歯科医師・歯科衛生士が足りない時代」は、もう目の前に
「日本の人口が減り続けている」という話はよく知られた事実ですが、同時に生産年齢人口、つまり労働力として経済や社会保障を支えているとされる15歳から65歳の層も急速に減少しています。
「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によれば、ピーク時の1995年には8726万人だった生産年齢人口は、2020年には7509万人まで減少。
このままのペースでは、約10年で500万人、約20年でさらに1000万人の働き手がいなくなるとされています。
当然、各業界では人手不足が起こります。別の統計によれば、2030年時点で人手不足が予想される産業のうち、第1位はサービス業、第2位が医療・福祉業で、第3位の卸売・小売業に大きく差をつけています(労働市場の未来推計 2030)。
こうしたデータに基づいて考えると、歯科医師・歯科衛生士が足りない時代はもう目の前まで来ていると言えます。
「たった1人の歯科医師があらゆる患者を救う」などというのはドラマの中のファンタジーです。
質の高い医療は、質の高いチームによってしか生み出せません。だからこそ、日本国内の人材不足は「30年後のお口の健康」にとって深刻な課題なのです。
キーワードは「女性・シニア・外国人の活躍」と「デジタル化・自動化」
「労働市場の未来推計 2030」では、こうした事態を解決する方法として、以下の4つを挙げています。
- 働く女性を増やす
- 働くシニアを増やす
- 働く外国人を増やす
- 生産性を上げる(デジタル化・自動化)
先進諸国と比較すると日本は、働くシニア層の割合が世界トップクラスである一方、管理職に占める女性の割合、全労働者に占める外国人割合、そして労働生産性においても低い水準にあることがわかっています。
そのため企業や医療機関などは、自分たちの利益だけでなく、日本に住む人たちの生活や健康を守るためにも、できる限りこれらの課題に取り組む必要があるのです。
「未来のお口の健康」のために、当院が行なっていること
当院では4つの解決策のうち、特にデジタル化・自動化による生産性向上と女性が働きやすい職場づくりに力を入れてきました。
デジタル化・自動化による生産性向上
口腔内スキャナー(IOS)と呼ばれるカメラで口の中をスキャンして、歯や歯茎の形状をデジタルデータとして取得する光学印象。
シミュレーションソフトを使ったコンピュータ上での術前説明、同じく専用ソフトを使った手術シミュレーション、ナビゲーションシステムを活用した手術の高精度化・効率化。
この他にも自動精算機とインターネットを使用した予約システム・オンライン診察券や、クラウドシステムを使用した業務の効率化など、当院では積極的にデジタル化・自動化による生産性向上に取り組んできました。
詳しい内容は以下のデンタルブログでも紹介しているので、興味のある方はぜひ併せてご覧ください。
女性が働きやすい職場づくり
また、女性が働きやすい職場づくりにもかなり注力をしてきました。
毎年更新する院内のマニュアル作りや毎月開催している個人レビューなどでは、上司に悩みを相談しやすい雰囲気づくりを心がけています。
当院で現在働いている女性は共働きの方がほとんどです。そのため育休や産休などの福利厚生はもちろん、子供の発熱などでの急な欠勤に対応できるように、子供が手を離れた世代のスタッフの雇用などに力を入れてきました。
「おくだ歯科でなら、子供がいても安心して働ける」と育休産休後に戻ってきてくれるスタッフも多数います。
このあたりは、父がコツコツと地盤を築いてくれていたおかげです。実際、12月から産休に入るスタッフも再来年の4月には復帰してくれる予定になっています。
さらには、育休産休でブランクがある衛生士さんには歯科助手からトレーニングを受けて徐々に復帰をしてもらうシステムも考えています。
「女性が働きやすい職場づくり」に関して言えば、私自身も共働きなのですが、男性は積極的に家事に関わっていくべきだと思っています(妻にこのブログを見られたら、鼻で笑われるかもしれませんが……)。
男性歯科医師にも育児休暇を取って、家事・育児の大変さを理解しておくべきですし、せめて運動会や家族のイベントには、有給を取得して一緒に過ごす時間を大切にして欲しいところです。
今後の課題
今後の課題は「働くシニアを増やす」「働く外国人を増やす」です。
シニア層の雇用に関しては、当院では68歳の父が頑張ってくれていますが、そもそも歯科医師には定年がありません。
実際に雇用するとなると大学病院で退官された先生か、ご自身の医院を閉院された先生に限られてくるため、なかなか難しいのが現状です。
海外の方も資格の問題があるため、一筋縄にはいきません。今後の模索が必要でしょう。
まだまだ解決するべき課題はたくさんあります。歯科界における人材不足はおくだ歯科医院にとっても全く他人事ではありません。今後も一つ一つの課題に積極的に取り組んでいきたいと考えています。
まとめ
今回紹介したおくだ歯科医院での取り組みは、当然大切な仲間であるスタッフのためでもありますが、同時に患者様のお口の健康をずっと守り続けるためでもあります。
機械やデジタルにできることは積極的に頼り、自動化・効率化を図る。職場で助け合ってみんなが働きやすい環境を作る。それが、これからも質の高い医療を提供し続けるために必要不可欠だと私は考えています。
⼤阪・⼗三のおくだ⻭科医院では、現在⼀緒に働いてくれる仲間を探しています。当院の特徴や仕事に対するスタッフたちの想いなどについては、こちらの特設ページで詳しく紹介しているので、ぜひ一度ご覧ください。