デンタルコラム

歯石・歯垢を徹底的に取り除く「デブライドメント」を知っていますか?―――JIADS総会・学術大会レポート

みなさん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院院長の奥田裕太です。12月2日、3日はお休みをいただき、ありがとうございました。

この2日間は、東京・九段下で開催されたJIADS総会・学術大会にスタッフ一同で参加してきました。

テーマは「デブライドメントを極める」。聞き慣れない言葉かもしれませんが、患者様のお口の健康を保ち、ご自分の歯で好きなものを食べ続けていただくためにはとても大事な技術です。

今回のデンタルコラムではこのデブライドメントについて解説するとともに、著名な講師陣がJIADS総会・学術大会で行なったプレゼンテーションの内容についても、簡単にご紹介したいと思います。

目次
  1. 天然の歯を守るために必要不可欠な「デブライドメント」とは?
  2. 国内外の講師による、JIADS総会・学術大会プレゼンテーション
    1. Stefano Parma Benfenati先生について
    2. Marisa Roncati先生について
    3. おくだ歯科医院の先輩、大川敏生先生について
  3. まとめ

天然の歯を守るために必要不可欠な「デブライドメント」とは?

デブライドメントとは、専用の機械を使って歯の根っこの部分(歯根面)からプラーク(歯垢)を取り除くための技術です。

一般的には、専用の器具を使って歯に付着している歯石を取り除いた後に、残ったプラークを除去するためにデブライドメントを行います。

歯の根っこの部分のクリーニングには、デブライドメント以外にルートプレーニングと呼ばれる技術もあります。

これは手作業や超音波機器を使用して、歯垢とともに歯周病菌に汚染された歯のセメント質(壊死セメント質と呼ばれます)も取り除く、というものです。

このルートプレーニングには、歯肉の退縮、知覚過敏など治療後の痛みにつながるリスクがあるほか、何よりも天然の歯を傷つけるという点において、デメリットがあります。

デブライドメントはこうしたリスクを冒さずに済むということから、歯周病治療に取り入れられています。

国内外の講師による、JIADS総会・学術大会プレゼンテーション

今回のJIADS総会・学術大会は、このデブライドメントをより深く理解することがテーマとなっており、海外からはStefano Parma Benfenati先生Marisa Roncati先生が来日されたほか、国内からも著名な先生方がプレゼンテーションをしてくださいました。

Stefano Parma Benfenati先生について

Stefano Parma Benfenati先生は、トリノ大学やパルマ大学といったイタリアで最も歴史のある大学で歯周病学や口腔病理学を教えておられる方で、特にGBR法の権威として著名です。

GBR法とはGuided Bone Regeneration法の略称で、日本語では骨誘導再生法と言われる技術です。

インプラントを埋め込むためには土台となる骨が必要ですが、生まれつきのものや歯周病の進行により、骨が足りないケースもしばしばあります。GBR法を適切に施すことができれば、こうした場合でもインプラントを埋め込めるようになり、患者様のお口の健康や生活の質を取り戻すことが可能になります。

Benfenati先生の講演のテーマは「再生療法とインプラント周囲炎への対応」。GBR法を中心としたレクチャーを受けることができました。

Marisa Roncati先生について

Marisa Roncati先生は、米国の歯科衛生士の資格イタリアの歯科医師の資格を持ち、1989年から1992年には国際歯科衛生連盟 (IDHF) の1人のイタリア人理事のうちの1人を務めた方でもあります。

彼女の人気著書『歯科衛生士の力でここまでできる 非外科的歯周治療』は、非外科的歯周治療(プラークコントロール、スケーリング、デブライドメントなど)の効果的な手法と手順について書かれた本で、「外科的な処置をしなくてもここまでの歯周病治療ができる」という可能性を示してくれた1冊です。

Roncati先生の講演のテーマは「非外科処置の限界と可能性」で、テーマ通り彼女が長年携わってきたデブライドメントを始めとする非外科処置が実現できることとできないことについて、詳しく話してくださいました。

おくだ歯科医院の先輩、大川敏生先生について

国内の先生方の中には、私のおくだ歯科医院の先輩であり、大川歯科医院の院長である、大川敏生先生もいらっしゃいました。大川先生は1999年から父・奥田裕司に師事したのち、2010年に独立。現在はJIADSで3つのコースを持つ人気講師です。

長年再生療法に注力されてきた方で、今回も再生療法に対して素晴らしいプレゼンテーションをしていただきました。後輩として誇らしく思う一方で、私たちも負けずに頑張っていかないと、という気持ちにさせて頂きました。

まとめ

今回のJIADS総会・学術大会では、デブライドメントの重要性や可能性を中心に本当に多くのことを学ぶことができました。

お休みをいただき、患者様にご迷惑をおかけしたぶん、スタッフ一同、この2日間で学んだことを現場に落とし込めるようにこれからも努力していきたいと考えています。

余談ですが、今回のJIADSは記念すべき団体創立35周年、第30回の総会・学術大会でした。

そこにスタッフたちと参加できたことも喜ばしいことですが、懇親会の実行委員を務めたり、JIADS創立から現在までの歴史を振り返る動画作成に携わったりと、当事者として仕事ができたことをとても誇らしく感じています。

また、今回の総会・学術大会では、前院長であり、私の父でもある奥田裕司のJIADS講師引退セレモニーも開催されました。

スタッフがこの企画に合わせてTシャツやうちわを作成して盛り上げてくれたり、他の医院の方々から色々なお声かけをいただいたりと、父も嬉しそうでした。この場を借りて、お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

院長 奥田

父が講師としての引退を見送られる姿を見て、父の功績と偉大さを感じるとともに、「次の世代」としての自覚が身に染みました。改めて気を引き締め、これからも歯科医師としての研鑽に努めていきたいと思います。

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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