デンタルコラム

歯科医師のための研修コースで講師を担当して感じていること、学んでいること

みなさん、こんにちは。おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。

私は今年から、2023年10月〜2024年1月にかけて合計6日間にわたって行われているJIADSという勉強会のDGPコースの講師を担当させていただいています。

JIADS(The Japan institute for Advanced Dental Studies)は1988年から続く歴史ある勉強会で、歯科従事者向けの高品質な研修コースを提供する教育機関でもあります。

DGP(Digital Global Prosthodontics)コースは13ある研修コースのうちの1つで、デジタル技術を用いた補綴治療(失われた歯の一部・全部を補う治療)について最新の知見に基づいた講義と実習を行うコースです。

今回は歯科医師がこうした研修コースを通じて勉強をする理由をお話しするとともに、講師の1人としてDGPコースに関わるなかで感じていること、学んでいることについてお話しできればと思います。

目次
  1. 歯科医師になったあとも勉強が必要な理由
  2. JIADSのDGPコースとは?
  3. 「教える側」に立つ、ということ
  4. まとめ

歯科医師になったあとも勉強が必要な理由

歯科治療は日々世界中で研究が行われ、アップデートされています。人体に関わる分野なので、IT業界のように「昨日の常識が今日には変わっている」というわけにはいきませんが、一歩一歩着実に進化しています。

ずっと現場で仕事をしていると、こうした研究の成果を知ったり、技術を学んだりする機会はなかなかありません。すると、歯科医師として、あるいは歯科衛生士、歯科技工士としての知識や技術はアップデートされないままです。

結果として、より質の高い歯科治療を提供できないだけでなく、新しい治療方法であれば避けられるようなデメリットを患者様に強い続けるようなことにもなりかねません。

JIADSなどの勉強会や学会、DGPコースのような研修に参加している歯科従事者は、このような事態を防ぐために、日々勉強を続けているのです。

JIADSのDGPコースとは?

JIADSのDGPコースは、JIADS前理事長であり、ISOI(国際口腔インプラント学会)などでの講演実績を持つ瀧野裕行先生の監修のもとで行われています。

中心となっているのは、歯科治療先進国のアメリカで日本人初の補綴専門医となった須田剛義先生と、同じくアメリカインプラント専門医の資格を取得している筒井純也先生です。

6日間のコースで受講者の方々が目指すのは、次の5つの内容です。

  • アメリカの従来の補綴治療に新しいデジタル技術を活用した手法を、実習などを通じて習得する。
  • お顔全体から考える、審美的なスマイルの設計方法から患者様へのプレゼンの仕方までを、デジタル診断ツール(DSDなど。詳しくはこちらのページをご覧ください)を用いて行う方法を習得する。
  • モックアップ(仮歯によるシミュレーション)や実際の詰め物・被せ物等の形成方法などを技術的な実習を交えて習得する。
  • デジタル機器を用いた最終的な詰め物・被せ物等の作成方法などについて、知識の習得と体験をする。
  • 補綴治療のコアとなる治療計画の立案方法や、その管理の仕方についてのワークショップを設け、どのような治療方法が最適かを考えることを通じて、新しい治療オプションと治療の効率化を習得する。

私自身、6年前にこのコースに参加。歯だけをみるのではなく、お顔や咀嚼筋(食事をするときに使う筋肉)などを意識して治療計画を立てたり、コンピュータソフトを活用した治療の効率化について学んだりすることができました。

受講後すぐにコースで使わせていただいた機器(口腔内スキャナー)を購入したり、動画の撮影やDSDの使用をスタートさせたりするほど、非常に多くの刺激を受けた研修コースでした。

「教える側」に立つ、ということ

私が今回、「教える側」に立たせていただけたのは、ひとえに瀧野先生や講師のお二人のお心遣いのおかげです。

40歳になり、コースで学び、現場で実践してきた技術をより多くの先生方に知っていただきたいと考えていたところに、お三方からお声がけいただき、昨年からアシスタントとして参加。今年からは講師としてお手伝いさせていただくことができました。

新しい知識や技術を研修コースのような短期間で習得するのは、簡単なことではありません。そのため「教えられる側」として参加する時は、今でも必死です。

しかし「教える側」には、「教えられる側」とは違う難しさがあります。自分では感覚的に理解できることでも、その感覚を言葉や目で見てわかるような形で伝えられなければ、講師は務まらないからです。

そのため講師として参加するにあたっては、今まで治療をさせていただいた患者様のケースをまとめ直し、復習をしたり、さらに深掘りしたりして、より理解の質を高める作業が必要でした。

この作業は講師としてはもちろん、当院での指導や教育、実際の治療においても非常に勉強になっています

まだまだ慣れない講師のお仕事なので、担当講師である須田先生や筒井先生にはご迷惑をおかけしてばかりですが、「教える側」に立つということの難しさとやりがいを強く実感させていただいており、瀧野先生を含めたお三方には本当に感謝しています。

まとめ

歯科医師に限らず歯科従事者はより質の高い医療を提供するため、常に勉強し続けることが大切だと私は考えています。

もちろん技術や実績のある先生方から教えていただくのも勉強になりますが、今回私がJIADSのDGPコースの講師を担当させていただいたように、教える側に立つことでより歯科治療への理解が深まることも多いように感じています。

土曜日のお休みが増えることで患者様にはご迷惑をおかけしておりますが、こうした勉強は必ずおくだ歯科医院の提供する歯科治療の質向上につなげて参ります。

また、研修コースに参加された先生方によって歯科界の技術が底上げされれば、患者様への還元にもなると私は信じています。

何卒、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

院長 奥田

今年度のDGPコースは2024年1月27日、28日まで。引き続き、講師としてできるだけ多くのことを感じ、学んでいきたいと思います!

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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