こんにちは。おくだ歯科医院の佐藤です。
私はここ2年ほど、「歯ぐきの手術(歯周外科)」に力を入れてきました。
虫歯や歯周病が進んでしまった歯を守るには、歯ぐきの位置を調整したり、骨の形を整える手術が必要なことがあります。
その中でも、私がよく行うのが「歯肉弁根尖側移動術(しにくべんこんせんそくいどうじゅつ)」という治療です。
この治療では、深い歯周ポケット(歯と歯ぐきのすき間)がある歯に対して、歯ぐきを下にずらすことで、そのポケットを減らすことを目的としています。
これにより、歯周病が進みにくくなり、歯を長く保てる可能性が高まります。
虫歯で歯ぐきの下まで歯がなくなってしまった場合にも使用できます。
成人の方では、歯の側面にできた深い虫歯の治療後、歯ぐきの中まで歯を削らないといけないことがあります。
こうなると、詰め物やかぶせ物をしっかりつけることが難しくなります。
しかし、そのような場合でも、先ほどの手術を使って歯ぐきを少し下げる(正確には歯の周りの骨を調整する)ことで、治療がしやすくなります。
このような処置は「歯冠長延長術(しかんちょうえんちょうじゅつ)」とも呼ばれます。
手術は繊細な作業、だからこそ事前の練習が大切
患者様の口の中はとても小さく、歯ぐきを切ったり、めくったり、縫ったりするのは簡単なことではありません。
ですので私は最近、実際の「豚の骨(豚骨)」を使って練習をしています。

豚の歯ぐきは人間よりも薄く、扱いが難しいのですが、その分、細かな操作を学ぶにはぴったりです。
また、マネキンに取り付けた模型で、実際の口の中を想定しながら、メスの入れ方や糸の通し方の練習も行っています。
より良い治療のために
歯科治療は、小さなスペースで精密な作業が求められる医療です。
患者様にとって、時間もお金もかかるものだからこそ、私たち歯科医師はその「結果」でしっかり応えたいと思っています。
今回ご紹介した治療法は、その一例にすぎませんが、私はこれからも知識と技術を磨き、できる限り患者様に負担の少ない、確実な治療を提供していきたいと考えています。