デンタルコラム

4月の診療報酬改定で「予防歯科」の保険適用が大きく前進します!

前進

近年歯科業界では、特に歯周病治療を中心に、症状が現れる前に予防的な治療をする「予防歯科」の重要性が指摘されるようになってきました。

しかし患者様や国の保険制度のなかにまで、予防歯科の考え方が浸透しているかといえば、答えはNOです。

人生100年時代と言われる時代を、健康的なお口を維持しながら長生きしていくためには、もっと多くの人に予防歯科について知ってもらう必要があります。

そんな中、予防歯科の浸透に大きく貢献するニュースが発表されました。すなわち2020年4月の診療報酬改定です。

これだけでは「診療報酬って?」「改定って?」と聞きなれない話題ばかりだと思います。

なので今回はおくだ歯科医院が推奨する予防歯科の話をしたうえで、なぜ2020年4月の診療報酬改定が予防歯科の浸透に大きく検討するのかを説明したいと思います。

目次
  1. おくだ歯科医院では「予防歯科」を推進しています
  2. 2020年4月の診療報酬改定がもたらすインパクト
    1. 「診療報酬改定」とは?
    2. 2020年4月の診療報酬改定の内容
    3. 国が「予防歯科は国民の健康維持に必要不可欠」と認めた大事件
  3. まとめ

おくだ歯科医院では「予防歯科」を推進しています

歯ブラシ指導

歯周病の原因と大切な予防歯科でも紹介している通り、歯周病治療では予防歯科の考え方が必要不可欠です。

なぜなら歯周病という病気は、初期の時点ではほとんど自覚症状がないので、知らない間にどんどん悪化していくからです。

「歯が痛い」とか「歯がぐらつく」といった自覚症状が出た頃にはすでに手遅れという場合もたくさんあります。

そのようなケースでは「歯を抜いてインプラントを埋め込む」などの体力的にも経済的にも負担の大きな治療をせざるを得ません。

このような結果は、日頃から正しい歯磨きをするとともに、「予防歯科」の視点から長期的に適切な予防を行なってさえいれば、避けることができます。

しかし予防歯科に関しては、これまで大きな問題がありました。

予防の観点から言えば、今の段階で歯周ポケットが浅い(4mm未満)の人でもメンテナンスなどをする必要がありますし、初期の虫歯でまだ治療が必要のない人でも、薬品(フッ素)を使って菌の増殖を抑制する必要があります。

ところがこうした予防的な治療は、これまでずっと国民保険の適用外とされ、実施するためには患者様に自費負担をお願いしなければならなかったのです。

保険適用の治療では患者様の負担は3割で済みますが、自費負担になれば10割です。

経済的負担がここまで大きくなると、長期にわたって予防的な治療を継続しようと思う患者様はなかなかいません。

日本の保険の制度は、予防歯科の観点で言えば、まだまだ整備が不十分と言うほかなかったのです。

2020年4月の診療報酬改定がもたらすインパクト

診療明細書

「診療報酬改定」とは?

しかし2020年4月の診療報酬改定の内容は、そうした予防歯科の現状を大きく前進させてくれるものとなりました。

診療報酬とは国民健康保険から医療機関に支払われる治療費のこと。先ほど保険適用の治療では患者様の負担は3割で済むと書きましたが、残りの7割は診療報酬として支払われます。

国民健康保険の対象となる歯科治療は、「歯科診療報酬点数表」という一覧にまとめられ、各治療につき何点(1点10円)と明確に決められています。

つまりこの一覧にリストアップされるかどうかで、治療費が3割負担になるのか、10割負担になるのか、そしていくらになるのかが決まるのです。

「歯科診療報酬点数表」を含む診療報酬に関するルールは、原則2年に1度の頻度で見直され、時代に合ったものに変更されていきます。これが「診療報酬改定」です。

2020年4月の診療報酬改定の内容

美しい歯並び

もちろん歯科の診療報酬も、これまで何度も変更されてきました。

しかし予防のための歯科治療が積極的に認められることはなく、むし歯を削る、すでに発症した歯周病に対して歯石取りや手術を行う、歯のないところに入れ歯を入れるなどの対症療法しか保険の適用は受けられませんでした。

ところが2020年4月の診療報酬改定では、以下のようなことが認められたのです。

・歯科疾患の継続管理の推進
・歯周病重症化予防治療の新設
・口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進

抜粋:厚生労働省 北海道厚生局 医療課

つまるところ、前述した歯周ポケットの浅い人のメンテナンスや初期のむし歯に対する薬品の塗布など、予防歯科の観点から必要な治療が保険適用の対象になった、ということです。

国が「予防歯科は国民の健康維持に必要不可欠」と認めた大事件

今回の診療報酬改定は国が「予防歯科は国民の健康維持に必要不可欠」と認めた大事件だと言うことができます。

なぜそこまでが言えるのかというと、2019年6月に発表された「経済財政運営と改革の基本方針2019年」(いわゆる「骨太方針」)の中で、次のような文章があるからです。

(ⅲ)健康増進に向けた取組、アレルギー疾患・依存症対策

(前略)口腔の健康は全身の健康にもつながることからエビデンスの信頼性を向上させつつ、国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診、フレイル対策にもつながる歯科医師、歯科衛生士による口腔健康管理など歯科口腔保健の充実、入院患者等への口腔機能管理などの医科歯科連携に加え、介護、障害福祉関係機関との連携を含む歯科保健医療提供体制の構築に取り組む。(後略)

引用:内閣府

院長 奥田

「フレイル」とは健康な状態と要介護状態の間にあって、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指します。

簡単に言えば、「お口の中の健康の維持・改善は全身の健康につながるのだから、関係者は協力してよりよい歯科医療を実現しよう」というわけです。

おくだ歯科医院は長年、歯周病菌から出る「ジンジパイン」という毒素が糖尿病や脳卒中、心筋梗塞やアルツハイマーなどの生活習慣病の原因、もしくは症状を悪化させる要素になっている、という説を発信してきました。

だからこそ院長の私を含めたおくだ歯科医院のスタッフは、今回の診療報酬改定で自分たちの努力がようやく報われたという大きな喜びを感じているのです。

まとめ

今回の診療報酬改定により、これまでは保険が適用されなかった予防的な治療に保険が適用されるようになります。

当院が長年に渡って続けてきた「予防歯科による早期発見・早期治療」の重要性が国策として認められたと思うと、心底嬉しい限りです。

今後も、予防歯科の重要性をもっともっと知ってもらえるよう、患者様と真摯に向き合っていく所存です。

院長 奥田

診療報酬改定で料金がどのように変わるのかなど、詳しく知りたい方は、当院スタッフまでお声がけください。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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