デンタルコラム

野菜好きのための「歯医者のすすめ」————美味しく野菜を食べ続けるために知っておいて欲しいこと

こんにちは、大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

突然ですが、皆さんは野菜は好きですか?天候不順などが原因で野菜の価格が高くなってはいるものの、やはり旬の野菜を食べると体の中から力がみなぎってきますよね。

ところが、お口の健康が損なわれると、美味しい野菜を好きな時に好きなだけ食べられなくなるかもしれません。

今回は、医科歯科連携に積極的に取り組んでいる福岡の南昌江内科クリニックと、歯磨き粉などで知られるサンスター株式会社が行った、とある研究を紹介します。

好きな野菜を一生涯、何不自由なく食べたいという人には、ぜひ知っておいてほしい研究です。

目次
  1. 歯が少ない人の食生活とは?
  2. 「ずっと美味しく野菜を食べたい」なら……
    1. どうしてこんな食生活に?
    2. まずはお口の健康状態をチェック
  3. 「食事の質」を守るために、私たちができること
  4. まとめ

歯が少ない人の食生活とは?

この研究は第66回日本糖尿病学会年次学術集会で、「2型糖尿病患者における歯数・歯周状態と摂取できる食品・栄養素の関連についての検討」と題して発表されたものです。

内容をごく簡単に説明すると、

  • 2型糖尿病で、歯の喪失が進んでいる人
  • 2型糖尿病で、血糖値(HbA1c)が比較的高い人
  • 2型糖尿病で、あまり肥満度(BMI)が高くない人 など

が、それぞれどんな食生活を送っている傾向があるかを明らかにしました。

対象者は自分の歯が15本以上残っている、南昌江内科クリニックに通われている2型糖尿病の患者様104人。

歯の本数、歯茎の状態についてのアンケートや、どんなものをどれだけ食べているかのアンケート(BDHQ)に加え、HbA1c、BMIなどの身体指標を取りまとめ、分析しています。

その結果、歯の本数・歯茎の状態、あるいは各種身体指標と、食事内容の様々な関係性が示されました。

このうち今回注目したいのは、歯周病と考えられる症状をお持ちの患者様ほど、野菜を中心とした下表のような食品・栄養素の摂取量が少ない傾向がある、ということがわかった点です。

摂取量が少ない食品摂取量が少ない栄養素
歯の本数が少ない人緑葉野菜
にんじん
かぼちゃ
植物性たんぱく質
カロテン類
歯茎の状態が悪い人骨ごと食べる魚
にんじん
かぼちゃ
酒類
植物性たんぱく質
カリウム
カルシウム
マグネシウム
カロテン類
ビタミンB群
ビタミンC
水溶性食物繊維
不溶性食物繊維

一方、歯の本数が比較的多い患者様ほど、こうした食品・栄養素の摂取量が多いことも明らかになっています。

「ずっと美味しく野菜を食べたい」なら……

どうしてこんな食生活に?

この研究結果が示しているのは、「対象者がどんな食生活を送っているのか」。そのため「なぜこのような食生活になっているのか」まではわかりません。

しかし、あくまで推測の域はでないものの、医学的な観点から見ると、大きく2つの理由が考えられます。

1つはそもそも緑葉野菜やにんじん、かぼちゃを食べていなかったから。当院のデンタルコラムでも繰り返し触れてきましたが、糖尿病と歯周病が相互に作用し合っていることは広く知られています。

これらの野菜を食べなかったことで、高血糖状態が続き、それが歯周病を進行させて、歯の骨を溶かした結果、歯の喪失や歯茎の状態の悪化が生じている、という流れです。

もう1つは、もともと緑葉野菜やにんじん、かぼちゃを食べていたものの、食べられなくなったからです。考えられる原因の一つは歯周病です。歯茎の痛みや歯のぐらつきを感じるために、食べたくても食べられなくなったというわけです。

もともと食べてこなかった野菜を治療のために食べるのも大変ですが、好きで食べてきた野菜が、病気によって食べられなくなるのも辛いものです。

このような事態を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

まずはお口の健康状態をチェック

最初にしておきたいのは、お口の健康状態のチェックです。

歯周病が直接の原因となっている場合は、適切な治療を受けることでまた以前のように美味しく野菜が食べられるようになる可能性は十分あります。

それでも症状に改善が見られないのであれば、糖尿病など他の病気がお口の健康状態に影響を与えている可能性があります。

この場合は糖尿病内科など、専門の医療機関で検査を受け、必要があれば治療を受ける必要があります。

「食事の質」を守るために、私たちができること

大阪・十三のおくだ歯科医院では、患者様の「食事の質」を守るために、歯周病に力を入れた専門的な治療を行っています。

歯周病の治療においては、徹底的かつ定期的な歯石除去が非常に重要です。当院では、臨床歯周病学会に所属する歯科衛生士が歯石除去を担当。

患者様の症状を管理するとともに、一人ひとりに合わせたアドバイスを行い、二人三脚でお口の健康を守っていきます。

すでに喪失した歯がある場合で、将来のお口の健康のために必要であると判断した場合は、インプラント治療を受けていただくことも可能です。

また、当院では医科歯科連携にも取り組んでいます。

そのため、検査結果から糖尿病など生活習慣病の傾向が見られる患者様に対しては、各専門の医療機関を紹介させていただき、医科の先生と情報共有をしながら、患者様の治療を進めていきます。

「長い間、歯医者に行っていない」「定期検診を受けているものの、不安を感じていることがある」という方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

まとめ

ご存知の通り、野菜は単に美味しいだけではなく、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素を豊富に含み、全身の健康を維持するためにとても大切な役割を果たしてくれます。

痛みや不自由を感じることなく野菜を食べ続けるためにも、いつまでも笑顔で、元気に過ごすためにも、お口の健康・血糖値の管理はきちんとしておきたいものです。

院長 奥田

歯周病も糖尿病も、放置するほど厄介になる病気です。早期発見・早期治療のために、歯科や内科で定期的な検査を受けておくことをおすすめします。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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