デンタルコラム

韓国の歯科界に学ぶ、これからの治療とクリニックのあり方

こんにちは、大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

皆さんは、近年韓国の歯科医療が急速に進歩していることをご存知でしょうか。

2014年から導入されている、65歳以上は2本以内のインプラント治療が保険で受けられる制度を始め、様々な先進技術を世界に先駆けて導入し、数多くの実績を積み重ねています。

日本でも、こうした韓国の歯科界に学ぼうとしている歯科医師は少なくありません。

私もその1人で、8月1〜3日の3日間、韓国インプラントメーカー“DIO DIGITAL”が韓国・釜山で開催したDIO DIGITAL ACADEMYに参加してきました。

今回はその様子をご紹介し、皆さんにも海外の歯科界の様子を知っていただければと思います。

目次
  1. デジタル技術のさらなる可能性を感じたライブサージェリー
    1. チェ・カンドク先生のライブサージェリー
    2. デジタル技術がインプラント治療にもたらしたもの
    3. DIO DIGITAL社のシステムを使ったハンズオンセミナー
  2. 見学ツアーで感じた、日韓の歯科医院の違い
    1. 「パートナーと歯科医院へ」専用の個室
    2. マーケティング専門スタッフが常駐
  3. まとめ

デジタル技術のさらなる可能性を感じたライブサージェリー

DIO DIGITAL ACADEMYは、韓国で高名な先生の歯科医院の見学・レクチャー、DIO DIGITAL社の本社工場見学、ライブサージェリー(公開オペの見学)、ハンズオンセミナー(体験型セミナー)と盛りだくさんの講座です。

中でも強く印象に残っているのは、ライブサージェリーです。

チェ・カンドク先生のライブサージェリー

見学させていただいたのは、Good friendship Dental Care(선한이웃치과)の院長で、デジタル技術を使ったインプラント治療の権威であるkangduck Choi(チェ・カンドク)先生のオペ。

同氏はDIO DIGITAL社のシステムを活用し、1,000ケース以上のフルアーチインプラントブリッジ(総入れ歯をインプラントで固定式にする治療)を行っており、多い時は1日に6ケース以上に対応しているとのことでした。

ライブサージェリーでは、インプラントを埋め込み、固定式の入れ歯の調整に入るまで、たった1時間ほどで終了されていました。一昔前では考えられないほどの、驚異的なスピードです。

デジタル技術がインプラント治療にもたらしたもの

チェ先生の技術力にも感銘を受けましたが、同時に先生が導入されているデジタル技術の進歩にも、改めて感心しました。

デジタル技術がない頃は、熟練した経験とイメージ力がなければ、正確なインプラント治療を行うことはできませんでした。

一方、現在のインプラント治療では、CTデータとお口の中をスキャンニングしたデータ、そしてシミュレーションソフトを使うことで、モニター上で適切な手術のプロセスを組み立てることができます。

もちろん最終確認は人間の歯科医師がしなければなりません。また、「シミュレーション通りにやれば、誰でも簡単に治療ができる」という単純な話でもありません。

しかし、こうしたデジタル技術を使いこなすことで、インプラント治療の安全性・正確性が格段に上昇したのは事実です。

おくだ歯科医院でも長年デジタル技術を積極的に導入してきましたが、チェ先生のライブサージェリーを目の当たりにして、デジタル技術のさらなる可能性を感じることができました。

DIO DIGITAL社のシステムを使ったハンズオンセミナー

DIO DIGITAL ACADEMYの最終日には、DIO DIGITAL社のシステムを使ったハンズオンセミナーを受けました。

内容は患者様の体への負担が少なく、かつ安全にインプラント治療を行う方法についてのレクチャーでした。

素晴らしいシステムでしたが、どんなものにもメリット・デメリットはあるものです。同システムを実際に導入するかは、今後スタッフと検討を重ね、慎重に判断していく予定です。

また形になりましたら、皆さんにもご報告させていただきたいと考えています。

見学ツアーで感じた、日韓の歯科医院の違い

歯科医院の見学プログラムでは、Junhyok Shin(シン・ジュンヒョク)先生が代表を務めるDigital art dental clinicへ。

シン先生はインプラント治療以外にも、ラミネートベニアや前歯の審美治療など、幅広い領域で実績をお持ちの方で、日本でも何度も講演をされている先生です。

「パートナーと歯科医院へ」専用の個室

同医院は釜山駅前のビルを3フロア借りており、

  • 1階:受付、審美治療専門のチェア・スタジオ
  • 2階:一般診療フロア
  • 3階:メンテナンス専用フロア

とフロアごとに治療内容を分けて使用していました。

30台以上のチェアがあり、中には完全個室だけではなく、パートナーと2人で治療が受けられる2人用の個室などもあり、日本では見ることのない独特な構造を採用されていました。

マーケティング専門スタッフが常駐

また、スタッフの体制も興味深く、マーケティングの専門スタッフが常駐しており、かなり力を入れて取り組んでいるとのことでした。

広報の一環ということで、私もYouTubeのインタビューに指名していただき、韓国語の通訳を介してお話をしました(うまく伝わっているかは心配ですが……)。

ここまでマーケティングに時間と労力をかけている歯科医院を、日本では見たことがなかったため驚きました。

一口に歯科医院と言っても、日本と韓国というだけでここまで違いがあるのかと、大変興味深い体験となりました。

まとめ

釜山には初めて行きましたが、海もあり、料理も美味しい、素晴らしい街でした。今回は観光をしている時間の余裕が全くなかったので、またプライベートでも行ってみたいと考えています。

今回のDIO DIGITAL ACADEMYには、日本を代表するような先生方も参加されており、ともに講座に参加しながら意見交換をすることで、より理解や解釈を深めることができました。

数日お休みをいただき患者様にはご迷惑をおかけしましたが、講座を通じて得たヒントや学びを患者様に還元できるよう今後も精進いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。

院長 奥田

韓国は「美容大国」として知られていますが、歯科界も非常に進歩している国です。学べるところは積極的に学び、よりよい歯科治療のために生かしていきたいと考えています。

診療内容

当院について

デンタルコラム

院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

詳しく見る