デンタルコラム

2024年6月の歯科診療報酬改定で、「子供」と「お年寄り」の予防歯科が強化されました

お年寄りと子供の写真

みなさん、こんにちは。大阪十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

2年に一度の歯科診療報酬改定が2024年6月に行われます。いつもは4月に行われるところ、今回は大規模な改定のためなのか、2ヶ月遅れと改正となっています。

診療報酬制度とは簡単に言うと、患者様が安心して医療を受けられ、病院が安定して運営できるように、国が医療サービスの価格(診療報酬)を決める制度です。

今回は近年の改定内容を振り返るとともに、2024年6月に行われる大規模改定で私が注目しているポイントについてお話ししたいと思います。

目次
  1. 「予防歯科」が医療として認められた、2020年・22年の改定
    1. 2020年の診療報酬改定
    2. 2022年の診療報酬改定
  2. 今回の改定のポイントは「子供とお年寄りの予防歯科」
    1. お子様に関する改定
    2. お年寄りに関する改定
    3. 口腔管理体制強化加算(口管強)について
  3. まとめ

「予防歯科」が医療として認められた、2020年・22年の改定

2020年の診療報酬改定

4年前、2020年の診療報酬改定は、当院を含め歯周病を扱う医療従事者にとって一つの大事件でした。

というのも、初期段階の歯周病に対するメンテナンスや、虫歯の初期段階での薬品の塗布といった、予防歯科の治療に保険が適用されることが決まったからです。

内科や外科などでは、基本的に予防的な治療には保険が適用されません。

つまり2020年の診療報酬改定は、国がはじめて「国民の健康維持には予防歯科が必要不可欠である」と認めた瞬間だったのです(詳しくは4月の診療報酬改定で「予防歯科」の保険適用が大きく前進します!をご覧ください)。

2022年の診療報酬改定

2022年の診療報酬改定では、「かかりつけ医」「かかりつけ歯科医師」がキーワードになりました。

内科や眼科などの医科と歯科が連携する医科歯科連携も改定内容に盛り込まれ、医科・歯科が垣根なく連携し、患者様の健康寿命を伸ばそうという流れが強まったのも、前回の診療報酬改定のポイントでした。

医療の窓口をより広く設け、病気が深刻化する前に適切な治療を受けられるようにするという意味で、この年の改定も歯科医院の予防機能をより強化することが目的の一つだったと言えます。

2022年の改定以降の2年間は、おくだ歯科医院でも、新設された「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」の承認を受けたり、日本糖尿病協会の登録歯科医院の認証を受けたりと色々なことに取り組んだ期間となりました。

今回の改定のポイントは「子供とお年寄りの予防歯科」

今回の歯科診療報酬改定はかなり大掛かりなので、改定内容も多岐にわたりますが、私が個人的に注目したポイントは、お子様とお年寄りの方に対する予防歯科の強化です。

お子様に関する改定

小児歯科に関しては、乳歯や永久歯のむし歯を防ぐため、定期的な歯科検診やクリーニングの重要性が強調されたり、子どもや保護者に対して歯磨きの指導や食事アドバイスを行うなどの予防処置に対する診療報酬が引き上げられたりしました。

また、将来的な歯並び・噛み合わせのための矯正治療の診断に診療報酬が設定されるようになりました。

これらは、発育段階での舌癖(ぜつへき)や指しゃぶり、口呼吸などが、中年期以降のお口のトラブルにつながることを国が認めてくれたという意味で、大きな進歩です。

お年寄りに関する改定

一方、お年寄りに関しては、訪問歯科診療の対象者が拡大されたり、訪問歯科診療の診療報酬が引き上げられたりと、歯科医院が訪問診療に力を入れやすい環境が整えられました。

またリハビリ期にある方をはじめ、お年寄りにとっては虫歯、歯周病以外に、食事を摂ったり、食べ物を飲み込んだりする際の問題も重要です。

なぜなら、そこから誤嚥性肺炎を引き起こしたり、体重減少・フレイル(身体・認知機能低下)のほか、柔らかい食べ物を好むようになることで糖質過多の食事が多くなり、高血圧・糖尿病などの生活習慣病につながったりするリスクがあるからです。

今回の改定ではこうした症状を未然に防いだり、重症化を予防したりするために、リハビリ期にあるお年寄りのお口の状態管理等に対しても、診療報酬が設定されました。

口腔管理体制強化加算(口管強)について

こうした動きに伴い、前述したか強診をより強化するべく、口腔管理体制強化加算(口管強)という新しい施設基準制度がスタート。継続的、定期的な口腔管理の推進が求められています。

この新基準を満たした施設として認定を受けるためには、既にか強診の認定を受けている歯科医院でも、追加の研修を受けたり、新たな要件を満たしたりする必要があります。おくだ歯科医院もこの新基準を満たすべく、準備を進めています

まとめ

私たちは今回のものも含め、2年に一度行われる歯科診療報酬改定に対して、前向きな印象を抱いています。

前述したもの以外にも、遠隔診療やタブレット、スマートフォンを使った診療、光学印象をはじめ様々なテクノロジーにも保険が適用されたりもしています。

このうち光学印象は、導入にコストがかかるものの、うまく使いこなせれば患者様にとっても、歯科医師や歯科技工士にとってもメリットのある技術ですから、今回保険が適用されたのは喜ぶべきことでしょう。

国民の健康のため、今後も更なる制度のアップデートが行われることを心より願っています。

当院としては、患者様のお口の健康を考えると、より高度な知見と技術を活用できる自費診療を当院では強くお勧めせざるを得ないのが実情ですが、各種検査や定期検診に関しては、保険診療での対応をさせていただいています。

「一度きちんとお口の状態を診て欲しい」という方は、ぜひお気軽にお電話にてお問い合わせください。

院長 奥田

なお、今回の歯科診療報酬改定により、6月から患者様の自己負担額が変更になる場合があります。あらかじめご了承のほどよろしくお願いいたします。

診療内容

当院について

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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