デンタルコラム

定期検診やフッ素塗布が保険適用に!「か強診」について

みなさん、こんにちは。大阪十三のおくだ歯科医院院長、奥田裕太です。

みなさんは「か強診」をご存知でしょうか。か強診はかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の略称で、厚生労働省によって運用されている制度です。

このか強診は、人生100年と言われる長寿時代を楽しく健康に生きるために、とても重要な制度だと私は考えています。

以下ではその理由を含め、かかりつけ医の役割や、かかりつけ医としての歯科医の役割、そしてか強診の制度概要とメリット・デメリットについてご紹介します。

目次
  1. かかりつけ医とは?
  2. 歯科医はかかりつけ医に向いている
  3. かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所について
  4. 「か強診」制度のメリット・デメリット
  5. まとめ

かかりつけ医とは?

厚生労働省の上手な医療のかかり方.jpによれば、かかりつけ医とは、

  1. 健康に関することを何でも相談できる
  2. 必要な時は専門の医師・医療機関を紹介してくれる
  3. 身近で頼りになる医師

を指します。

病院=治療を受けにいくところと考えている方が多いかもしれません。しかし近年は予防医療の考え方が浸透し、病気になる前もしくは病気が悪化する前に早期発見・早期治療を行うことが重要だと考えられています。

そのためにはちょっとした体の変化について相談したり、本人が自覚する前に気づいてあげられるかかりつけ医の存在が不可欠です。

だから政府は、経済財政運営と改革の基本方針2019年(骨太の方針2019)でかかりつけ医、かかりつけ歯科医師、かかりつけ薬剤師という概念を国策として打ち出したのです。

歯科医はかかりつけ医に向いている

歯科医はかかりつけ医に向いている、と私は考えています。理由は大きく二つあります。

一つは、内科や外科といった医科に比べ、歯科の方が予防医療が定着しているからです。今の日本で医科を予防目的で利用する方はかなりの少数派ですが、歯科を予防や再発防止を目的に利用している方は徐々に増えてきています。

もう一つは、医科よりも患者様との関係性が深くなりやすいからです。医科の場合、子供の頃は小児科へ、成人すれば内科、外科、中年期には循環器科、糖尿病内科など病院を使い分けるのが一般的です。

対して歯科は、何十年も同じ医院に通う方も珍しくありませんし、親子3代で同じ歯科医院に通われている方もたくさんいらっしゃいます。

だからこそ歯科医をかかりつけ医とすることで、遺伝的な要素も含め、さまざまな角度から健康についての相談をしたり、アドバイスを受けたりできるのです。

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所について

歯科医はかかりつけ医に向いていると考えたのは私だけではありません。厚生労働省も同じです。

というのも、実はかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の制度は、骨太の方針2019年に先駆けて2016年にスタートしているからです。

か強診の目的は、従来の治療中心の歯科医療から、管理、連携型または予防型の歯科治療への移行であり、世代や環境に応じたより細かな歯科医療の実現です。

そのためにか強診の制度では、以下のような条件を満たす歯科医院に認定を与え、患者様が安心して歯やお口の健康について相談できるような社会を作ろうとしています。

  • 歯科医師が複数いる
  • 器具機材の滅菌の水準を満たしている
  • 緊急時のAEDや薬剤の貯蓄などの設備面での条件を満たしている
  • 歯周病予防、虫歯予防の施術実績がある
  • 地域の医科、福祉施設との連携体制が整っている など

2019年時点で歯科医院全体の10%程度である7,000施設、2022年時点で16%程度の11,389施設が認定を受けています。当院に関しては、制度がスタートしてから3年後の2019年にようやく認定をいただくことができました

「か強診」制度のメリット・デメリット

患者様にとって、か強診の制度にはさまざまなメリットがありますが、同時にデメリットもあります。

代表的なメリットは、フッ素塗布や定期検診といった予防のための施術に、健康保険が適用されるということです。これにより、保険の範囲内で虫歯や歯周病の早期発見・早期治療を行えるようになりました。

一方で、今までこうした予防のための施術は自費で受けていただくか、もしくは歯科医が無償で行うかの二択でした。

そのため無償でこうした施術を受けてこられた方はお金がかかるようになるわけなので、デメリットに感じる場合もあるかもしれません。

この点に関しては大変心苦しいのですが、私たち医療人としては、お金をいただくぶん今まで以上に質の高い医療をお約束することで、ご理解いただければと考えています。

2016年の制度スタート後、2020年には当時4月の診療報酬改定で「予防歯科」の保険適用が大きく前進します!で紹介したような歯科での治療費に関する制度改定が行われ、歯周病や虫歯でない方への予防のための施術も健康保険の対象となりました。

この流れは今後も加速していくでしょうし、超高齢化社会の日本においては必要不可欠な変化だと私は考えています。

まとめ

インターネットには歯やお口の中に関するさまざまな情報が飛び交っています。

正しいものもあれば、間違っているものもありますが、日本がデンタルIQ(歯とお口の健康への関心・意識の度合い)後進国であることは事実ですし、人生百年時代に歯がQOL(クオリティオブライフ)に大きな影響力を持つことも事実です。

か強診はそうした情報に触れる中で、

「歯を大切にしたい」
「自分のお口の健康を守りたい」
「けど、どうしたらいいかわからない」

と思う方にぜひ活用して欲しい制度です。歯の分野に限らず、わからなければ専門家に聞くのが一番です。

か強診の制度を運用している歯科医療情報推進機構のホームページでは、認定を受けている歯科医院を検索することができます。自分や家族の歯・お口の健康が気になる方は、お近くのか強診を探し、相談してみてください。

院長 奥田

もちろん当院にご相談いただいた場合も、しっかり対応させていただきます。お気軽にお電話でご予約くださいね。

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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