みなさんこんにちは、おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。
芸能人やSNS、ネット広告などでもしばしば目にする歯のホワイトニングの話題。
皆さんの中にも「あんなに笑顔が素敵に見えるなら、自分もホワイトニングをしてみたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。
しかしホワイトニングに関しては専門的な知識を持った人間だけでなく、様々な業者からの情報発信も多く、情報の質もまちまちです。
そこで今回はホワイトニングの効果をはじめ、ホワイトニング以外の選択肢やホワイトニングができる人・できない人など、ホワイトニングの基本的な知識をご紹介したいと思います。
どうして歯が黄色くなるのか?
歯が黄色く見えるようになる原因は、歯の表面が汚れている、もしくは歯の内側の色が透けているからです。
歯は、半透明のエナメル質という層に乳白色の象牙質という層が包まれる形で構成されています。本来の歯が白く見えるのは、象牙質の色がエナメル質を通して透けているからです。
しかしこのエナメル質は日々の生活のなかで、半透明でなくなっていきます。
コーヒーやお茶などのポリフェノールやタバコのタールなどが、エナメル質にステインとして定着していくからです(着色汚れと呼ばれます)。
またエナメル質が加齢とともに摩耗してくると、象牙質の色がよりはっきりと表面に現れます。
象牙質の色には個人差があり、白い人もいれば黄色みを帯びた人もいるため、人によっては歯が黄色く見えるようになるのです。
クリーニングとホワイトニングの違いとは?
クリーニングとホワイトニングの違いを簡単にまとめると、下表のようになります。
クリーニング | ホワイトニング |
歯の表面を白くする | 歯の内側から白くする |
クリーニングとは歯の表面(エナメル質)に付着した、歯垢・歯石・着色を取り除くことを言います。
半透明のエナメル質に歯垢・歯石といった汚れ、ステインの色がついていれば、その奥にある象牙質の色が変わって見えます。
「歯医者でのクリーニングで歯が白くなる」というのは、歯の表面を掃除することで白く見えるようになる、という意味なのです。
一方で、ホワイトニングは過酸化尿素・過酸化水素などの成分が入っているホワイトニング薬を使うことで、エナメル質のより深いところの着色を取り除くことを言います。
ホワイトニング薬には主に2つの効果があります。一つはブリーチング効果です。
過酸化尿素・過酸化水素などの成分には着色汚れを無色透明にする働きがあります。そのため着色汚れのある歯に使用すると、エナメル質を元の状態、もしくはそれ以上に透明にすることができます。
もう一つの効果はマスキング効果です。
もともとエナメル質の表面はいわば透明ガラスに近い構造をしています。しかしホワイトニング剤を使用すると、表面の構造が透明ガラスからくもりガラスに変化します。
結果、象牙質の色にかかわらず、歯の色を白く見せることができるのです。
ホワイトニングにはどれくらい効果があるのか?
ホワイトニングの効果は個人差がありますが、平均的に2週間から1ヶ月で2段階ほど白くなります(「シェードガイド」という15〜16段階の歯の色サンプルに基づく)。
ホワイトニングはブリーチング効果やマスキング効果を利用して、本来の色以上に歯を白くすることができます。
ただし、どれくらい白くなるかは、その人の今の歯の色や生活習慣など様々な要素が関わってくるため、どうしても個人差があります。
例えば喫煙習慣があったり、高い頻度でワインや紅茶などの色の濃いものを食べたり飲んだりする人は、比較的ホワイトニングの効果が出にくい傾向にあります。
当院ではホワイトニングを希望される患者様にはあらかじめこうした生活習慣を控えていただくようお伝えしたり、ホワイトニング薬の吸収を妨げる成分であるフッ素が含まれていない歯磨き粉の使用をおすすめしたりしています。
一方で人によっては予想以上に効果が出て、逆に不自然な色になってしまうケースもあります。
というのも、日本人はエナメル層が欧米人に比べて薄いので、むやみにホワイトニングをすると透明度が上がりすぎて光が反射しなくなるからです。
そのためホワイトニングを実施する際は、あらかじめ自分好みの歯の色を決めておき、その色を目指してじっくりと白くしていくことをおすすめします。
なお、万が一「思っていたよりも白くなりすぎた」という場合は、途中でホワイトニングを中断していただいて様子を見ることになります。
なぜなら、ホワイトニングの効果は永遠ではないので、しばらくすると色戻りするからです。ですから、「白くなりすぎたらどうしよう」という心配は不要です。
またホワイトニング薬は天然の歯にのみ効果があるため、虫歯の治療で歯に詰め物・被せ物をしている場合、自分の歯と詰め物・被せ物の色の差が生じてしまうことがあります。
不自然な見た目になる可能性がある場合は、あらかじめその可能性をお伝えしたうえで、色が変わらない詰め物・被せ物に先に変更しておく方法をご提案しています。
当院では段階的に白くしていくために、ホームホワイトニングをおすすめしています。詳しくは歯のホワイトニングを始める前に知っておいて欲しいことをご参照ください。
ホワイトニング以外で歯を白くする方法はあるのか?
ホワイトニング以外の方法でも歯を白くすることもできます。
例えば理想の白さに合わせて作った被せ物をつけたり、ポーセレンラミネートベニアと呼ばれる歯の表面にセラミックの板を貼り付けたりする方法があります。
被せ物や板の形を変えれば、色だけでなく形を調整することも可能です。
ただしこれらの方法は技術上、どうしても今ある歯を削る必要があります。長期的な観点で言えば、今ある歯はできるだけ残しておくべきです。
そのため被せ物やポーセレンラミネートベニアによる色・形の調整は、次にあげるようなホワイトニング薬では歯を白くすることが難しいケースでのみ使用するようにしています。
歯の神経が死んでしまっている。 | 歯の神経が死ぬと歯の血管も死ぬため、栄養を届かなくなる。すると象牙質内に含まれるタンパク質が劣化し、黒く変色していく場合がある。一番内側から変色することになるので、ホワイトニング薬では白くできない。 |
金属イオンによって歯が変色している。 | 数十年前に使用されていた、いわゆる「銀歯」が原因で起きる変色は、着色が強力なのでホワイトニング薬では白くできない。 |
テトラサイクリンによって歯が変色している。 | かつてマイコプラズマ肺炎や百日咳の特効薬、もしくは風邪薬のシロップとして処方されたテトラサイクリン系の抗生物質が原因で起きる歯の変色。金属イオンと同様着色が強力なので、ホワイトニング薬で白くするのが難しい。 |
ホワイトニングは誰でもできるのか?
ホワイトニングは誰でもできる、というものではありません。
上表のように歯の神経が死んでしまっていたり、金属イオンやテトラサイクリンが原因で歯が変色していたりする人が歯の色を変えるためには、被せ物やポーセレンラミネートベニアといった方法をとる必要があります。
他にも以下のケースに当てはまる人の場合も、治療の順番を変えたり、時期をずらしたりすることをおすすめしています。
お口の病気を患っている人
虫歯、知覚過敏、歯周病などを患っている状態でホワイトニング薬を使用するのは、いわば傷口に塩を塗り込むようなもの。
歯を白くしたいからとホワイトニングを始めても痛みが出やすくなっているため、なかなか継続できません。
「じゃあホワイトニングをしながら治療も進めてほしい」という患者様もいらっしゃいます。
しかしホワイトニング薬には詰め物や被せ物の接着を妨げる作用があります。せっかく治療をしても外れてしまい、結局やり直しになりがちです。
お口の病気を患っている人はしっかりとその病気を治療することが先決。ホワイトニングはその後にじっくり進めればいい、というのがおくだ歯科医院の考え方です。
妊娠中・授乳中の人
正直なところ、妊娠中・授乳中の人がホワイトニングをしたことで、胎児や乳児に悪影響が出たという科学的な根拠はありません。
しかし一方で、妊娠中・授乳中の人がホワイトニングをしたことで、胎児や乳児に悪影響が出ない、という科学的な根拠もないのです。
「リスクがない」と言い切れない以上、当院では妊娠中・授乳中の人にはホワイトニングをおすすめできません。「どうしてもホワイトニングがしたい」という方には、授乳期間が終わってからの施術をご提案しています。
まとめ
ホワイトニングはお口の中に器具や薬剤を入れて行ううえ、費用面でも一般的には安いお買い物ではないので、興味はあっても不安が多いという人はたくさんいるかと思います。
そのような場合は、専門家である歯科医師にざっくばらんに質問をしていただくのが最もシンプルな解決策。餅は餅屋、歯は歯医者です。
また当院では3月から6月末までの4ヶ月間、ホームホワイトニングキャンペーンを実施中です。
透明なマウスピースの中にホワイトニングジェルを入れ、一定時間装着することで歯を白くしていくホームホワイトニング。
これを通常価格50,000円(税抜)のところ、キャンペーン価格20,000円(税抜)で行なっていただける大変お得なキャンペーンとなっています(詳しくはホワイトニングキャンペーン開始のお知らせをご覧ください)。
今回ご紹介した内容以外にも不安や疑問などがあれば、何でもお答えしますのでお気軽にお問合せいただければと思います。
ホワイトニングによって笑顔に自信が持てるようになり、以前よりも思い切りよく笑えるようになったという患者様も少なくありません。歯の色にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。