コンビニよりもはるかにたくさんあると言われる歯医者。患者様からすれば「近くにある歯医者に行く」が一般的な歯医者の選び方だと思います。
しかし歯医者の中には、歯医者自身から見ても「ここは患者様におすすめしたい!」という歯医者があります。その条件とは、以下の2つです。
- お口の中の疾患が生活習慣病であることを理解し、その理解に基づいた生活習慣の改善のためのアドバイスをしてくれる。
- 定期検診の仕組みを確立しており、再発防止のサポートをしてくれる。
今回は、なぜこの2つは良い歯医者の条件なのかについて詳しく説明していきます。
お口の中の三大疾患の原因は「生活習慣」にあり?治療には生活習慣改善が効果的

お口の中の三大疾患とは?
歯医者で治療を行う三大疾患は、虫歯・歯周病・歯の破折(歯が割れるなど)です。
他にも様々な原因がありますが、大まかに分けるとこの3つに当てはまるか、もしくはこれらが複雑に絡まり合って疾患を発症するケースがほとんどです。
虫歯 | 虫歯菌が口の中の砂糖などを食べて酸を出し、歯が溶けていく病気。 原因は磨き残しが多かったり、甘いものをたくさん食べていること。 |
歯周病 | 食べ残しなどを長い期間放置していると歯茎が腫れて出血を起こすが、歯周病菌がその血液中の鉄分を食べて、ジンジパインという毒素を出し、骨や歯茎を溶かしていく病気。 原因は磨き残しや、磨き残しが原因で発生する歯石。 |
歯の破折 | 一部の歯に過剰な力が加わると歯が割れてしまったり、抜けてしまったりする病気。 原因は外傷、歯ぎしり、食いしばり、前歯が噛んでいない、歯並びが悪いなど。 |
この3つの疾患の原因から、私はお口の中の三大疾患を生活習慣病だと考えています。
例えばインフルエンザや風邪などはウイルスや細菌が身体に侵入する事によって突然発症し、ウイルスや細菌が体からいなくなれば症状は改善し、回復します。
それに対して高血圧や糖尿病といった生活習慣病の代表格は、塩分・砂糖の摂り過ぎ、肥満、喫煙などの習慣を長期間続けた結果、体の処理能力を超えてしまい、病気に発展します。
こうなると症状の回復には時間がかかるか、回復は不可能なケースもあります。
お口の中の三大疾患も同じです。確かに虫歯菌や歯周病菌は菌ですが、現代の医学ではこれらを完全になくすことはできません。
そのためこれらの疾患からお口の健康を守るためには、原因となっている生活習慣を変える必要があります。だから私はお口の中の三大疾患を生活習慣病だと考えているのです。
治療には生活習慣改善が効果的

生活習慣病の治療には、生活習慣を変えることが効果的です。例えば高血圧や糖尿病になると、病院では以下のような指導が行われます。
- 塩分の摂り過ぎだから外食を控えて薄い味の食事をしなさい。
- 甘いものを食べ過ぎだから甘いものを控えなさい。
- 太り過ぎだから運動や間食を控えて痩せなさい。
- タバコ、お酒をやめなさい。
- この薬を飲んで、血圧や血糖値をコントロールしなさい。
これはつまるところ、「今まで当たり前のようにやってきた生活習慣を変えないと、治りませんよ(もっとひどいことになりますよ)」ということです。
お口の三大疾患も同じです。そのため歯医者では、どうして虫歯や歯周病、歯の破折が起きたのかを一緒に考えたうえで、アドバイスや治療を行います。
例えば1本の虫歯が見つかっただけでも、歯医者が考えるべきことは無数にあります。
- 原因は砂糖のとりすぎだろうか?
- 間食が多いのだろうか?
- 歯磨きの回数・時間・技術的な問題か?
- フロスや歯間ブラシを使っていないのかもしれない。
- 生まれつき歯が弱いのかもしれない。
- 虫歯菌が人より多かったり、唾液が少なかったりする可能性もある。
- 就寝時や日中に口呼吸をしているせいかもしれない。 など
こうした考えをもとに患者様にアドバイスや治療を行わなければ、ドブ川で洗濯をしているのと一緒で、なかなか症状の改善は期待できません。しかし残念ながら、歯医者の中には、
- 虫歯になっているので削って詰めましょう。
- 歯周病になっているのでお掃除をしましょう。
- この歯は割れているので抜きますね。
と対症療法的な治療の説明だけをして、疾患の原因を突き止めないままにしてしまうところもあります。
確かにこうした歯医者での治療はすぐに終わるので楽ですが、根本的な原因が解決していないので、数年後には再発し、もっと大掛かり治療が必要になる危険があります。
だから私は患者様には、お口の中の疾患が生活習慣病であることを理解し、その理解に基づいた生活習慣の改善のためのアドバイスをしてくれる歯医者をお勧めしたいのです。
生活改善には「継続的なサポート」が必要!そのための定期検診

実は「新しい生活習慣は身につかなくて当たり前」
しかし生活習慣の改善するのは簡単なことではありません。一度や二度アドバイスを受けたくらいでは、なかなか新しい習慣は定着しないものです。したがって、信頼できる歯医者による継続的なサポートが必要です。
- 明日からジムに行こうと思ってたけど、今週は仕事も忙しいし、また今度にしよう。
- 朝活を始めたけど、今日は仕事で嫌なことがあったし、1日くらいサボってもいいよな。
- ダイエットするつもりだったけど、今は体調が悪いから、元気になってからにしよう。
他にも禁酒や禁煙など、新しい生活習慣を身につけようとして、失敗したことがある人は少なくないはず。
「先生に言われたし、病気を治したいから頑張るぞ!」と意気込んでいても、ちょっとしたことでサボったり止めてしまったりするのが人間というものです。
なぜなら、人間は日々の様々な習慣を無意識に行うことで安心する生き物だからです。だから何か新しい習慣を取り入れようとすると「いつものルーティンと違う!」とストレスを感じるわけです。
新しい生活習慣は、いわば身につかなくて当たり前なのです。
歯医者での定期検診がお口の健康を守ってくれる

ではお口の健康を守るためには、どうすればいいのでしょうか。ポイントになるのは「歯医者での定期検診」です。2ヶ月に一回、もしくは3ヶ月に一回などのペースで歯医者に通うこと。
これだけなら毎日の生活習慣を変えるわけではないので大きなストレスにはなりません。
しかしお口の健康状態のチェックや歯石の除去、なにより自分のお口の健康に意識を向ける十分なきっかけにはなります。結果、お口の健康を守ることができるのです。
実はこれは、他の生活習慣病でも同じです。数週間に一度内科に薬を貰いに行って、血圧や血糖値を測って管理をする。
それだけで「病院にいくから少しお酒を控えよう」「薬を飲み忘れた日もあるけど、これからはちゃんと飲もう」といった意識につながるものです。
会社の健康診断で心当たりがある人も多いはずです。「明日は健康診断だから」「健康診断で数値が悪かったから」そんな理由で、生活習慣を見直すきっかけになるだけでも、健康診断には意味があるわけです。
しかし歯医者の中には、こうした定期検診の仕組みを整えず、「また何かあったらきてくださいね」と言ってしまうところも少なくありません。
だから私は、定期検診の仕組みを確立していて、再発防止のサポートをしてくれる歯医者をおすすめしたいのです。
まとめ
お口の三大疾患の原因を考えると、根本的な治療をするには生活習慣の改善が効果的です。
生活習慣は文字通り一生ものですから、対症療法的な治療だけで終わらせることなく、原因に応じたメンテナンスを、長期間継続する必要があります。
だからこそ早いうちに信頼できる歯医者を見つけ、できるだけ発症前に適切な生活習慣とメンテナンスの習慣を身につけることが大切です。
仮に発症してしまっていたら、しっかりとコミュニケーションをとりながら原因を探し出し、一生涯に渡って症状をコントロールしていかなければ、お口の中の健康は守れません。
だからこそ私は1人の歯医者として、患者様には、
- お口の中の疾患が生活習慣病であることを理解し、その理解に基づいた生活習慣の改善のためのアドバイスをしてくれる。
- 定期検診の仕組みを確立しており、再発防止のサポートをしてくれる。
という2つの条件を満たす歯医者に通っていただきたいと考えているのです。

プロが考える「歯医者の選び方」まとめでは、当院スタッフの歯医者の選び方を紹介しています。ぜひあわせてご参考ください。