デンタルコラム

選択を間違えないために知っておいてほしい、インプラントの適齢期

こんにちは、おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。

インプラントは悪くなった歯を抜き、チタンで作られた人工の歯根を顎の骨の中に入れることで安定させる治療のことです。

まるで自分の歯のように食事ができる画期的な治療ですが、私はインプラントには「適齢期」があると考えています。つまり、歯を抜かなければならなくなったからと言って、必ずしもインプラントが最善の治療ではないということです。

今回のコラムでは、なぜそんなことが言えるのか、インプラント以外にどんな治療法があるのかについて、簡単に紹介したいと思います。

目次
  1. インプラントの適齢期は早くても「男性で55歳、女性で60歳」
  2. インプラントは「魔法の治療法」ではありません
  3. インプラント以外にも治療法はあります
  4. まとめ

インプラントの適齢期は早くても「男性で55歳、女性で60歳」

「患者様のお口の健康に、一生涯責任を持つ」という観点からすると、私はインプラントの適齢期は早くても男性で55歳から、女性で60歳からではないかと考えています。

理由は2つあります。一つはおくだ歯科医院の症例では、埋め込んだインプラントが問題なく機能した最長期間が30年だから。

もう一つは数十年後、つまり今当院で治療を受けている患者様が中高齢者になった頃の日本人の平均寿命が、男性で86歳前後、女性で90歳前後になるとされているからです。

「別に埋め込んだインプラントが抜けても、また埋め直せばいいんじゃないの?」と思うかもしれません。

しかしインプラントは様々なリスクがある治療法ですし、土台となる顎の骨の状態によっては治療を施せない場合もあります。だからこそ「いつインプラントをするのか」は非常に大切なことなのです。

インプラントは「魔法の治療法」ではありません

インターネットなどでは、あたかもインプラントが魔法の治療法のように語られることもあるようですが、私は断じてそんなことはないと思っています。

実際、定期検診に来られなくなってインプラントが抜けてしまった患者様や、他院で埋め込んだインプラントを除去しなければならなくなった患者様もいます。

なぜなら、インプラントは治療法が確立されてから70年弱、日本に入ってきてから40年ほどの技術で、近年様々な問題点が明らかになってきた治療法でもあるからです。

例えば「インプラント周囲炎」はその代表です。詳しくは別のコラムに譲りますが、インプラント自身が歯周病に感染することで、インプラントを支える土台の骨が溶けてしまい、抜け落ちてしまうのです。

また人工のインプラントと違い、私たちの歯や顎の位置や形は加齢にともなって変化していきます。

噛み合わせが変わったり、歯の長さが変わったりすると、インプラントに予想外の負荷がかかる場合があります。結果、インプラントが抜けてしまうケースがあるのです。

さらに30年、40年と経てば、また新たな問題がわかってくるかもしれません。だからインプラントは万能ではないのです。

インプラント以外にも治療法はあります

では適齢期が来るまで歯がないまま過ごさなければならないのかと言えば、そんなことはありません

例えば30代で奥歯を失っても、親知らずを移植することで対応できたり、密着性のブリッジや矯正治療などでカバーしたりすることもできます。

もちろんどうしようもない場合は、全てのリスク・コストを説明したうえでインプラントを行うこともあります。しかし、ケースに応じてできる限りインプラントのタイミングを遅らせるような治療をすることは十分可能です。

だから若くして歯を失っても、諦めずに専門家に相談していただきたいのです。

まとめ

「インプラントをすれば、自分の歯は一生健康になる」
「いざというときはインプラントをすればいい」

そんなふうに考えていた人もいるかもしれません。

しかし実はインプラントには適齢期があり、それまではできるだけインプラント以外の治療法を使って、お口の健康を守っていく必要がある、私はそう考えています。

院長 奥田

インプラントは安易に選ぶのではなく、あくまで一つの選択肢として考えていただければと思います。

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院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

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