こんにちは、大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。
みなさんは逆ガミースマイルという言葉をご存知でしょうか?これは、笑ったときに上の歯や歯茎があまり見えない状態のこと。
原因の一つとして、「噛み合わせが低いこと」が挙げられます。
- 口角が荒れやすい
- 最近、ほうれい線が目立つようになった
- 笑顔になった時、口角が下がっているように見える
などといったお悩みを抱えている方は、噛み合わせの低さが原因で逆ガミースマイルになっている可能性があります。
実はこうしたケースの中には、マウスピースを使うことで、噛み合わせが改善できる場合があります。
マウスピースの役割といえば、歯ぎしりや食いしばりに効果的!ナイトガード のメリットとデメリットとはでも紹介したように、歯ぎしり・食いしばり対策です。
でも今回は、「噛み合わせ改善」の選択肢としてのマウスピースについて紹介します。
一般的なマウスピースの役割
多くの方はマウスピースと聞いて、
- 就寝時の歯ぎしり・食いしばり対策に使うナイトガード
- スポーツ用のマウスガード
を思い浮かべるのではないでしょうか。
実際、当院でも患者様の状態や要望に応じてこれらのマウスピースを処方することはたくさんあります。特にナイトガードに関しては、多くの患者様におすすめしています。
なぜなら、歯ぎしり・食いしばりは放置していると、歯が削れたり、歯周病の悪化、顎関節痛につながる他、頭痛や肩こりなどの原因にもなるからです。
ただ、マウスピースの役割は、こうした歯ぎしり・食いしばり対策やスポーツ時の怪我対策だけではないのです。

それ、食いしばり・歯ぎしりのサインかも!【症状チェックとセルフケア】で、食いしばり・歯ぎしりの症状を自分でチェックする方法と、すぐに実践できるセルフケア方法をご紹介しているので、気になる方はご一読ください。
噛み合わせが低い状態を放置すると?
- 笑っても前歯が唇に隠れて見えない
- 笑うと口角が下がる
- 最近、ほうれい線が深くなった
- 老け顔に見られやすい
前述した通り、これらの自覚がある方は、噛み合わせが低くなっていることが原因で、逆ガミースマイルになっている可能性があります。
放置していると、顎関節症になりやすいほか、自分の見た目や笑顔に自信がなくなり、その結果、人と会う機会が減ったり、外食を楽しめなくなったりすることもあります。
この状態が続くと、人生の質(QOL)にも大きな影響を及ぼします。
たとえば、自分の笑顔に自信がなくなり、笑うときに無意識に口元を手で隠すようになったり、人前で話すことに抵抗を感じるようになったりすることで、人とのコミュニケーションに消極的になっていきます。
また、「見た目が気になるから写真を撮られたくない」「うまく噛めないから外食が億劫」など、楽しみだったはずのことが、だんだんとストレスに変わっていくこともあります。
つまり、噛み合わせの問題は単に「歯の問題」ではなく、心の在り方や社会とのつながり方にまで影響するテーマなのです。
そのため、早めに気づいて治療を始めることが、将来的な健康や人間関係、そして自分らしく笑える毎日を守る第一歩になります。
マウスピースを使った「噛み合わせ改善策」
では具体的にどうすれば、改善することができるのでしょうか。
簡単に言えば、被せ物(人工の歯)を使って、すり減ったり溶けたりして低くなった噛み合わせを適切な高さの噛み合わせに調整することで、自然な笑顔を取り戻すのです。
ただし、患者様のお口の状態次第で、部分的に被せ物を作るだけで改善する場合もあれば、すべての歯に新しい被せ物を作らなければならないケースもあります。
また、「適切な高さの噛み合わせ」「自然な笑顔」と一口に言っても、これらを実現するのは簡単ではありません。
適正な診断と治療計画を立て、なおかつ歯科矯正を専門とする歯科医師や技工士との適切な連携を行うための技術と経験が必要です。
マウスピースを使った「噛み合わせ改善策」5つのステップ

STEP 1|診査・診断
歯・顎・筋肉・噛み合わせの状態を詳しく診断し、原因を見極めます。
また「口腔内スキャナー」と「フェイススキャナー」、シミュレーションソフトなどを使って理想的な笑顔を患者様と一緒に確認しながら、治療計画を立てていきます。
治療期間や費用等を具体的にご提案したうえで、患者様の同意を得て、実際の治療をスタートさせます。
STEP 2|マウスピースの装着
治療計画に基づき、まずは日中または就寝時にマウスピースを使って、理想的な顎の位置(顎位)を誘導します。
患者様にもよりますが、歯周基本治療(歯石取りや歯磨きのトレーニング)と並行しながら、3ヶ月〜半年ほど使用することが一般的です。
STEP 3|仮歯の設計とモックアップ
顎位が安定したら、まずは「モックアップ」と呼ばれる仮の前歯を入れ、デジタルツールによるシミュレーションと実際の噛み合わせや笑顔にズレがないかをチェックします。
問題がなければ、新しい顎の位置に合わせた仮歯を作成し、口腔内に装着します。
STEP 4|仮歯の経過観察
仮歯の状態で、見た目・噛みやすさ・顎関節の安定などを観察。
全ての仮歯が入ってからも顎関節に痛みなどが出ないか、噛む筋肉に痛みがあったり、顎位の変化がないかを注意深く観察します。
状況によっては仮歯を削ったり足したりを繰り返し、そうした問題が解決するまで慎重に観察を続け、仮歯が壊れたり、外れたりしないことを確認してから実際の被せ物を入れる治療に移ります。
また、抜けている歯があれば、その部分の入れ歯の製作やインプラント治療を行います。
STEP 5|最終補綴物(クラウン等)の作製・装着
最終的に問題がなければ、セラミックなどの素材で本番の補綴物を製作・装着して、治療が完了となります。
【症例紹介】A・Mさんの場合

ここで、実際に当院で「噛み合わせ改善」の治療を受けられた患者様の一例をご紹介します。
A.Mさんは、公務員としてご勤務されている女性の患者様です。以前から当院に通院されていたものの、お仕事の都合でどうしても部分的な治療にとどまっていました。
しかし次第に、前歯の短さや噛みにくさといった審美面・機能面の両方で問題が顕著になり、勤務先ともご相談のうえ、本格的な治療に踏み切られることになりました。

前歯の短さや噛みにくさの主な原因は、「長年の酸性の食品・飲み物の摂取による歯の溶け(酸蝕症)」。
その結果、歯がすり減って噛み合わせが低くなり、前歯がどんどん短くなってしまったのです。
また、噛み合わせが低くなることで、歯が割れやすくなり、複数の歯にヒビや欠けが生じている状態でもありました。
- 数本だけの被せ物交換では噛み合わせ全体を再構成できないこと
- 歯並びそのものに大きな問題はなかったこと
上記の理由から、今回はマウスピースで顎の位置を整えたうえで、すべての歯を被せ物で治療するという計画をご提案しました。
現在は、仮歯を経て最終補綴に移行し、見た目のバランスも整い、しっかり噛めるようになったことで、自然な笑顔にも自信が持てるようになりました。
ご本人からも「治療前は人前で笑うのが恥ずかしかったのですが、今では自然に笑えるようになりました」という嬉しいお言葉をいただくことができました。
まとめ
当院では、1人ひとりの患者様のお口の状態、ご要望に合わせた治療方法を、日々勉強会や学会などで学んだ知識・技術をもとにご提案しています。
今回は「噛み合わせが低いことによる逆ガミースマイル」に対して、マウスピースを使った「噛み合わせ改善策」を適用した症例を紹介しましたが、歯周病でも同様です。
患者様が後悔しない歯科治療とは「重度の歯周病だから、インプラントをすれば良い」というような単純なものではないと当院では考えています。
患者様のお口の状態や日常生活、ご要望をきちんとお聞きしたうえで、ベストの選択肢をご提案することが、プロフェッショナルとしての責任だと考えます。

お口のトラブルについて「納得のいく治療方法が見つからない」「セカンドオピニオンが欲しい」などのお悩みをお持ちの方は、ぜひ当院までご相談ください。


