デンタルコラム

「喫煙」「糖尿病」は歯周病を悪化させる原因になる!歯周病の“重症度”の基準について

集合写真

皆さん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

近年の研究によって「お口の健康は、体の健康と切り離せない」ということが、世界的にも認められています。

これまで当院のデンタルブログでも、糖尿病や心臓病などの全身疾患と歯周病の深い関係について何度かご紹介してきました。

今回は歯周病の重症度を評価する基準である「ステージ」と「グレード」について解説します。

実は、この基準には、「どれだけ煙草を吸っているか?」「糖尿病の傾向がどれだけあるか?」がはっきりと診断基準に組み込まれているのです。

目次
  1. 「喫煙」「糖尿病」は歯周病を悪化させる原因になる!
    1. 2018年から世界で採用された重症度の基準
    2. 「歯周病と全身の健康の関係」を世界が認めた
  2. 歯周病とがん、歯周病とメタボ、歯周病と遺伝
    1. 歯周病とがん
    2. 歯周病とメタボ
    3. 歯周病と遺伝
  3. 「重度歯周病(ステージⅣ)」にどう向き合うべきか
  4. まとめ

「喫煙」「糖尿病」は歯周病を悪化させる原因になる!

歯周病は「歯ぐきの病気」と思われがちですが、実際には全身の状態と密接に関係する病気です。

とくに「喫煙」と「糖尿病」は、歯周病を悪化させる大きな原因として重症度を評価する基準の中にも明記されています。

2018年から世界で採用された重症度の基準

現在、歯周病の重症度は、4段階の「ステージ」と3つの「グレード」に基づいて評価されます。

ステージ(現状どれだけ歯周組織が破壊されているか)・I〜IVで評価
・評価基準
①歯周ポケット(※)の深さ
②歯の喪失の有無/本数
③骨吸収の度合い
④症状の複雑さ
⑤どれくらいの範囲に拡がっているか
※歯周病のお口の中にできる、歯ぐきの深い溝
グレード(これからどのくらい悪化しやすいか)・A〜Cで評価
・評価基準
①骨吸収や歯周ポケット、年齢などをもとにした進行速度
②喫煙の有無/本数、糖尿病の有無/HbA1c(※)の数値
※※血糖コントロールの数値

この基準は、2018年6月、アムステルダムで開催された世界的な歯周病の学会で、アメリカ歯周病学会(AAP)ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)より公表されたもので、日本では2019年〜2020年にかけて導入されるようになりました。

それまでは、歯周病の進行度に合わせて軽度、中等度、重度と分類し、歯周病の進行している範囲によって広汎型、限局型などに分類していました。

例えば進行の速度が普通で、全体的に中等度の歯周病に罹患している場合は、広汎型中等度慢性歯周炎という名前になります。

しかし、この方法では「なぜその人の歯周病が進行しているのか」「これからどのくらい進むのか」を正確に把握したうえで、診断や治療計画を立案しにくいという課題がありました。

そこで20年近くかけてブラッシュアップされたのが、「ステージ」と「グレード」の2つの軸に基づいた基準だったのです。

「歯周病と全身の健康の関係」を世界が認めた

この基準では、喫煙と糖尿病が非常に重要な要素として扱われています。

というのも、どんなに歯周病をうまくコントロールしていて、ステージがIやIIだったとしても、

  • 1日に10本以上煙草を吸う
  • Hba1cが7.0%以上

であれば、グレードは最も深刻なC判定となり、極めてリスクの高い状態である、という診断になります。

これは喫煙と糖尿病、そして歯周病が密接に関わっている、ということを世界の歯周病医が認めている、ということです。

おくだ歯科医院では、父と私、2代にわたって歯周病の治療に力を入れてきました。

その中で特に大切にしてきたのは、「お口の健康(健口)から、全身の健康をサポートする」という考え方です。

そんな私たちにとって、上表の基準が公表された2018年6月は、自分たちの考え方が間違っていなかったということを世界に認めてもらった瞬間でもありました。

歯周病とがん、歯周病とメタボ、歯周病と遺伝

基準の発表から7年。

2025年7月26日・27日に広島国際会議場で開催された日本臨床歯周病学会題43回年次大会の1日目、特別公演には以下のような演題が並びました。

  • 歯周病の新分類を考察する
    〜遺伝的要因の強い歯周病患者の存在を中心に〜
  • 歯周炎とがんの関連について
    〜歯周病だけじゃない! がんの発生・進展にも関わる口腔細菌〜
  • 歯周病と全身疾患の関連性
  • 免疫・炎症・全身疾患の理解がこれからの歯周治療を進化させる
    ~歯周治療に対する既成概念を打ち破ろう~
  • 歯周炎と糖尿病 -Up to date-
  • 歯周病重症度を反映するメタボライトバイオマーカーの探索

このように様々な全身疾患と歯周病の関係についての研究が、多くの歯科医師によって進められているのです。

歯周病とがん

例えば、歯周病とがんの関係。

お口の中で炎症が長く続くと、炎症物質や細菌が血流に乗って全身へ広がります。これが発がんリスクを押し上げる可能性が、複数の大規模研究で示唆されています。

とくに口腔・食道・大腸・肺などで関連が指摘されています。

歯周病とメタボ

メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満・高血圧・脂質異常・高血糖の組み合わせ)と歯周病も、互いに悪影響を及ぼすことがわかってきました。

実際、日本人を対象とした大規模な調査では、歯周病のある人はメタボリックシンドロームを併発している割合が高いことが示されました。

歯周病と遺伝

加えて、歯周病と遺伝の関係も少しずつわかってきており、歯周病の起こりやすさ・進みやすさの一部が遺伝要因で説明できる可能性が示されています。

学会に参加したおくだ歯科医院一同は、お口の健康を守ることが、患者様に笑顔で長生きしていただくために重要であることを改めて学ぶことができました。

院長 奥田

しっかりと勉強したあとは、ほっと息抜きできる時間も大切です。初日の学会のあとは、スタッフ一同で毎年恒例のご当地グルメを食べに行きました。今回は大学の先輩で、広島で開業されている八幡歯科・矯正歯科院長の末川洋平先生と一緒に、広島焼きも食べられるおしゃれな鉄板焼き屋さんに連れて行って頂きました。

懇親会の様子

「重度歯周病(ステージⅣ)」にどう向き合うべきか

学会2日目は、重度歯周病(ステージ Ⅳ)への治療アプローチがテーマでした。

ステージⅣとは、歯ぐきや骨の破壊が大きく進み、歯の動揺やかみ合わせの崩れが見られる、最も重度の歯周病です。

当日は、日本を代表する著名な先生方が登壇され、失われた骨や歯ぐきを回復させる「再生療法」、噛み合わせを整える「矯正治療」などを駆使したさまざまアプローチをご紹介されていました。

重度の歯周病治療は「これだけやれば良い」という単純なものではなく、さまざまな専門技術を組み合わせ、患者様一人ひとりに合った方法を選ぶ必要があることを改めて感じました。

さらに今回の学会は「サミット」と題されていたこともあり、症例検討会も行われました。

実際の患者様のケースをもとに、

この1本の歯を残すためには、どの治療法を選択するべきか?

という問いを立て、演者の先生方だけでなく、会場にいる参加者全員がアンケートに回答。

その結果を踏まえてディスカッションが行われ、会場は大いに盛り上がりました。

この企画を通して私たちが学んだのは、ステージⅣという最重度の状態であっても、歯を残すための選択肢はまだあるということです。

もちろん、簡単ではありませんし、治療には時間と努力が必要ですが、患者様と歯科医師が一緒に取り組むことで未来は変えられる

そのことを強く実感する貴重な機会となりました。

まとめ

お口の健康は「命に直接関わらない」と考えている人も多く、つい後回しにされがちです。

しかし研究が進むにつれ、今日ご紹介したように歯周病は生活の質(QOL)だけでなく、全身の病気や寿命にまで影響することが明らかになってきました。

まさに、お口の健康は人生にとって大きなファクターなのです。

当院に通ってくださっている患者様はもちろん、まだご縁のない方々にも、ご自身のお口の健康を「自分ごと」として大切に考えていただければ幸いです。

院長 奥田

学会参加のたびに休診をいただき、患者様にはご不便をおかけしております。そのぶん、得た新しい知識や技術を日々の診療に還元し、皆様により良い治療とサポートをお届けできるよう努めてまいります。今後ともご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

診療内容

当院について

デンタルコラム

院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

詳しく見る