みなさん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。
「いびきがうるさい」と言われたことはありませんか?
もしかするとそれは「舌がうまく機能していないこと」が原因かもしれません。
というのも、いびきは睡眠時無呼吸症候群と深く関わっており、その大きな原因の一つが舌にあると考えられているからです。
また舌の働きの低下は、ストレートネック、誤嚥性肺炎などのリスクにも影響を及ぼす可能性もあります。
舌の機能の改善(「舌の再教育」)にはさまざまな方法がありますが、今回紹介するのは“TRP(Tongue Right Positioner)”。
眠っている間に装着することで、舌の位置を整える特殊なマウスピースです。
私自身、このTRPを試してみた結果、「いびきが半分になる」という驚きの効果を実感しています。
なぜ舌の位置を整えるだけで、これほどの違いが出たのでしょうか?
ここではその実体験をお話するとともに、
- いびきに悩む方
- お子様や親御様に「口腔機能発達不全」や「嚥下障害」が見られる方 など
にとって「舌の再教育」がなぜ重要か、その理由についてもお話したいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
いびきの原因は「舌」にあった──全身に広がる“舌機能不全”の影響
いびきの原因は肥満や疲れ、お酒の飲み過ぎなどと思われがちです。
しかしその根本には“舌の働き”が深く関係していることが、研究でも明らかになってきています。
眠っている間、舌の筋肉がゆるむと、重力によって舌が喉の奥へ落ち込み、空気の通り道(気道)が狭まります。
すると呼吸のたびに粘膜が振動し、いびき音が発生するのです。
とくに仰向け寝の姿勢や口呼吸の習慣がある人では、舌が下がった状態が続きやすく、いびきのリスクが高まります。
「舌」と「全身」の関係
このような「舌の位置が下がる」状態は、単に音の問題にとどまりません。
舌の機能がうまく働かないと、全身にさまざまな影響が及びます。
たとえば、睡眠中に一時的に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)、頭が前に出るような姿勢異常(ストレートネック)、食べ物や唾液が気道に入りやすくなる誤嚥性肺炎などです。
これらは一見別々の病気に見えますが、背景には「上顎の裏にあるべき舌先が、下がってしまう」など舌が本来の役割を果たせていないことが関係しています。
舌は呼吸や嚥下を支える多機能な筋肉であり、その機能低下は間接的に全身の姿勢バランスにも影響を及ぼします。
そのため、適切な働きができなくなると、お口の中だけにとどまらず、全身にもトラブルが生じるのです。
「いびき改善マウスピース」TRPが目指す“舌の再教育”とは
「MFT(口腔筋機能療法)」の問題点
舌の機能を改善するための方法として一般的に行われるのが、「MFT」です。
実際、舌や口まわりの筋肉を鍛える治療で、口呼吸や発音、嚥下の改善に効果があるとされています。
しかし、毎日継続して行う必要があり、忙しい現代人にとってはハードルが高いのも事実です。
そこで注目されているのが、眠っている間に“舌の位置”を整えるマウスピース──TRP(Tongue Right Positioner)です。
TRPとは
TRPは「舌の再教育」という考え方をもとに開発された特殊なマウスピースで、上顎に装着することで、舌の先にやさしい感覚刺激を与え、舌が自然に正しい位置へ収まるように導きます。
一般的ないびき対策用マウスピースは、下顎を前に出すことで物理的に気道を広げます。
これに対しTRPは、神経反射を利用して舌の筋活動を促し、自分の力で気道を広げられるようになることを目指します。
例えば就寝中、TRPのアーチが舌に触れると異物に対する反射で舌が持ち上がり、その動きを繰り返すことで舌先が上顎付近の本来あるべき位置に収まるよう促されます。
TRPの効果と特徴
TRPはフランスの矯正歯科医師、Dr.クロード・モクレール氏が研究開発したもの。
彼女は長年、舌と歯並びについての研究を続けてきたパイオニアで、舌が持つ数々の役割を臨床の現場で明らかにしてきました。
TRPの臨床試験では、使用者の舌圧(舌の筋力)や睡眠時の気道状態の改善が報告されており、コロナ禍以降は日本でも歯科医療関係者の間で徐々に注目され始めています。
装着は就寝時のみで、会話や呼吸を妨げない構造。痛みや違和感もほとんどなく、手術をせずに舌の機能を再教育できる点が大きな特徴です。
この装置は、いびきだけでなく、口呼吸や嚥下のトラブルにも応用が期待される“新しい選択肢”です。
TRPでいびきが半分に―――歯科医師が実際に使ってみた結果
近年、歯科界では医科歯科連携の重要性が叫ばれています。
気道の確保や睡眠の質の改善についての問題も、そんな流れの中で大きなトピックスとなっています。
当院でも何がしかのアプローチをかけたいと思いつつも、なかなかよい装置が見つからず悩んでいたところ、京都で開業されている瀧野先生からTRPを紹介していただきました。
実は私自身も、妻や子どもからいびきを指摘されていたため、患者様に使用していただく前にまずは自分で試してみることにしました。

使用を始めた当初は、舌に刺激が加わるため若干の違和感があり、鼻呼吸の習慣が十分でなかったせいか息苦しさも感じました。
しかし、数日で慣れ、特に違和感なく装着できるようになり、1か月ほどでいびきもかなり改善されてきました。

※効果には個人差があります。
一般的にはトレーニングに最長で6か月ほどかかる方もいらっしゃるそうですが、もう少し早い段階で効果を感じられる方もいるようです。
私自身は無呼吸症候群ではありませんでしたが、寝起きの口の乾燥や喉の痛みは明らかに軽減。
また、日中でも舌の位置を意識し、自然と良いポジションに置けるようになったと感じています。
もちろん個人差はありますし、TRPは自費診療のため費用はおよそ10万円程度かかります。
しかし、調整もほとんど不要で、毎月のランニングコストを考えると、この費用には十分な価値があると考えています。
私個人としては十分に「作る価値のある装置」でした。
ただし、無呼吸の治療に関しては歯科単独では難しいのが現状です。
歯科でスクリーニングを行い、医科で確定診断を行ったうえで、双方が協力して治療にあたることが理想的だと感じています。
TRPをおすすめしたいケース
私が体感したこうした効果は、いびきに悩む成人だけでなく、口呼吸や嚥下の問題を抱えるお子さん、高齢者の方にも応用できる可能性があります。
特に、CPAP(持続陽圧呼吸療法)までは必要ない軽症の睡眠時無呼吸症候群や、「寝ているときだけ口が開く」「朝に喉が乾く」といった方には、有効な選択肢となり得るでしょう。
TRPは“いびきを止める器具”ではなく、“舌の正しい動きを思い出させるトレーナー”のような存在です。
自分の舌が本来の力を取り戻せば、睡眠の質も、翌朝の目覚めも変わっていく。
この実感は、歯科医師としてだけではなく、1人のいびきに悩む人間として胸を張ってお伝えできることです。
まとめ
いびきは単に周囲の人に迷惑をかけるだけでなく、生活の質を低下させたり、健康リスクを高めたりする可能性もある症状です。
TRPは、その原因の一つである「舌の機能不全」にアプローチする、新しいマウスピース。
眠っている間に舌の位置を整え、呼吸や睡眠の質向上が期待できます。
実際、私自身の体験でも、いびきが半分に減少し、朝の目覚めの軽さを実感しました。
TRPは口呼吸や睡眠時無呼吸など、舌機能が原因となっている症状の改善にも役立つ可能性があります。
いびきや口呼吸でお悩みの方は、まず「舌の働き」に目を向けてみてください。症状改善の糸口が掴めるかもしれません。

大阪・十三のおくだ歯科医院では、TRPをはじめとした舌機能改善のご相談を承っています。興味のある方は、お気軽にお電話にてご相談ください。


