デンタルコラム

いびき・睡眠時無呼吸と「歯医者」の深い関係とは?〜現役医師たちが学び、考えていること〜

歯科医師たち

みなさん、こんにちは。大阪・十三のおくだ歯科医院、院長の奥田裕太です。

いびきは万病のもと」と言われることがあります。

「え、たかだかいびきでしょ?」と思うかもしれません。

しかしいびきの裏には睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気が、そしてその先には糖尿病などの生活習慣病、さらには命の危険までが隠れている可能性があるのです。

いびきが気になる人が、“歯医者にも”行くべき理由〜歯科先進国アメリカの「常識」〜では、「なぜ歯医者にも行くべきか」を解説しました。

今回はその背景にある歯科医師側の学びと現場の変化をお伝えします。いつまでも元気に長生きしたいという方は、ぜひご一読ください。

目次
  1. 明らかになってきた、いびきと歯医者の深い関係
    1. 歯科先進国アメリカの「常識」
  2. JSAPDでの学び
  3. 当院の取り組み
  4. まとめ

明らかになってきた、いびきと歯医者の深い関係

歯科医師と研究成果

睡眠時無呼吸症候群と歯科の関係は、日本ではまだ意外に感じられるかもしれません。

しかし海外、特にアメリカでは、この考え方はすでに特別なものではなくなりつつあります。

歯科先進国アメリカの「常識」

アメリカでは、歯科医師が日常診療の中で、

  • いびきの有無
  • 日中の眠気
  • あごや舌、口の中の構造

といった点から、睡眠時無呼吸症候群のリスクを評価することが一般的になっています。

その背景にあるのが、

・American Academy of Sleep Medicine(AASM)
・American Academy of Dental Sleep Medicine(AADSM)

という、医科と歯科それぞれの専門学会が共同で作成した診療ガイドラインの存在です。

このガイドラインが重視しているのは、「どちらが主導するか」ではなく、「それぞれの専門性を、どこで生かすべきか」という考え方です。

そもそも、睡眠時無呼吸症候群の大きな原因の一つは、

  • あごの形
  • 舌の大きさや位置
  • 歯並び
  • 噛み合わせ

といったお口の構造的な要因、つまり歯科医師の専門領域です。

一方で、

  • 無呼吸の有無や重症度
  • 全身疾患との関連
  • 治療の優先順位

といった判断は、睡眠検査や全身評価を行える医師の専門領域です。

こうした背景からアメリカでは、「診断と全身管理は医師が行い、構造の評価と口腔内装置(マウスピース)治療は歯科医師が担う」という役割分担が、現実的かつ合理的だと考えられるようになったのです。

実際、AASMとAADSMの共同ガイドラインでは、

  • 医師が睡眠検査を行い、睡眠時無呼吸症候群を診断すること
  • 歯科医師は、あごやお口の構造を評価し、医師の診断と指示のもとで口腔内装置治療を担当すること
  • 両者が連携し、治療効果や副作用を共有しながら経過をみていくこと 

が明確に示されています。

JSAPDでの学び

Japan Society of American-educated Postdoctoral Dentists

では、日本の歯科医療の現場では、こうした考え方はどのように共有され、議論されているのでしょうか。

先日私が参加させていただいたJapan Society of American-educated Postdoctoral Dentists(JSAPD)「臨床最前線の地上戦と空中戦」のご紹介を通じて、日本における「歯科と睡眠時無呼吸症候群」の現在についてお話しします。

JSAPDとは?

JSAPD(米国歯科大学院同窓会)は1990年に保母先生が会長として発足された研修会で、海外で大学院を卒業した先生方が帰国後、お互いに連絡を取り合うなかで

  • 日本の歯科会の発展に貢献できないか
  • 今後留学を目指す後輩たちの力になれないか

と発足された研修会です。

日本ではまだ専門医という概念が浸透していなかった35年前から、歯科での専門医制度の必要性を提唱してきた団体でもあります。

今回は大会長である築山先生や一緒に講師仲間の須田先生、筒井先生にお誘いを頂き、初めて参加させて頂きました。

午前の部:Airway (気道) 治療の未来

午前の部では、補綴、矯正、口腔顔面痛といった異なる分野の歯科医師が集まり、Airway(気道)治療についてディスカッションが行われました。

アメリカの歯科で「常識」とされている気道の診断や閉塞度のスクリーニングを、自分たちがどのように行なっていくかについて、活発に議論することができました。

午後の部:バトル・オブ・コンセプト

午後の部では日本では珍しい、一つの症例に対して複数の専門家が治療方針を議論する「バトル・オブ・コンセプト」が行われました。

今回は3人1組で、歯周病専門医、補綴専門医(被せ物を作る専門家)歯内療法専門医(根の治療専門家)の観点から意見を言い合い、科学的根拠や経験、治療戦略を練っていくという、大変興味深いセッションを行うことができました。

正解を一つに決めるのではなく、それぞれの専門性から考え方を共有する先生方の姿勢が印象的で、医科歯科連携を前提としたチーム医療の重要性が強く感じられる内容でした。

当院の取り組み

受付

こうした国内外の議論を踏まえ、大阪・十三のおくだ歯科医院では、睡眠時無呼吸症候群に対して積極的な取り組みをスタートさせています。

  • 検査を実施するために設備の入れかえを実施中
  • 信頼できる呼吸器内科の先生の紹介、連携

当院では、いびきや日中の眠気といった症状がある患者様に対し、治療を始める前の段階で、お口やあごの形、舌の位置、噛み合わせといった構造的な視点からリスクを確認するようにしています。

これは、歯科だからこそ日常的に行っている診察の延長線上にあるものです。

また、現在睡眠時無呼吸症候群にかかわるより詳しい検査ができる設備の導入も進めています。

一方で、無呼吸が疑われる場合には、睡眠外来や呼吸器内科など、適切な医療機関をご紹介し、医師による検査・診断を受けていただくことを大切にしています。

医師の診断のもとで口腔内装置(マウスピース)による治療が選択肢となった場合には、歯やあごに負担がかからないよう配慮しながら、装置の作製や調整、経過の確認を行います。

歯科だけで完結させるのではなく、医科と連携しながら患者様にとって最善の選択を考えること。

それが、当院が大切にしている姿勢です。

まとめ

近年、アメリカをはじめとする歯科先進国では、いびき・睡眠時無呼吸を医師だけでなく、歯科医師も含めたチーム医療で診ていくという考え方が、すでに標準になりつつあります。

なぜなら、一人一人で異なる顎の形や舌の位置、噛み合わせといった “お口の構造”が関与しているケースでは、歯科医師の視点や治療が重要だからです。

だからこそ今は、「医科か、歯科か」ではなく、「医科と歯科が連携すること」が大切な時代なのです。

  • いびきや無呼吸を指摘されたことがある
  • 医科には通っているが、歯科で相談したことはない
  • マウスピース治療について、正しい情報を知りたい

一つでも当てはまる方は、ぜひ一度大阪・十三のおくだ歯科医院まで、まずはお電話にてお気軽にご相談ください。

院長 奥田

JSAPDは、今回は誘っていただいての参加でしたが、来年もぜひ参加したい学会の一つになりました。今後も患者様に還元できるインプットを続けてまいりますので、引き続き当院をよろしくお願いいたします。

診療内容

当院について

デンタルコラム

院長紹介

奥田 裕太

1982年生まれ。大阪十三で「おくだ歯科医院」を経営。大切にしているのは「患者様と一緒に悩み、一緒に成長し、笑える、二人三脚の治療」。

詳しく見る