みなさんこんにちは、おくだ歯科医院院長の奥田裕太です。
当院の定期検診では、必ず歯石除去を行います。なぜなら歯石は歯周病を進行させる原因になるからです。
しかし、歯医者に通い慣れていない方の中には「歯石除去っていくらくらいするの?」「痛いんじゃないの?」「自分でなんとかできないの?」など、いろいろな疑問を持っている方もたくさんいらっしゃいます。
そこで今回は、歯科医師の私の目線から、歯石に関するよくある質問に答えていきたいと思います。
歯医者での歯石除去に関する質問
歯石除去の施術1回にかかる費用は、保険適用後でいくらになりますか?
3割負担の方の場合は、1回あたり500円です。おくだ歯科医院の場合は、これに加えて初診料や検査費用が必要になります。
また、歯石は目に見えない場所にもついていることがあります。歯医者での歯石除去はそれを指先の感触を頼りに1本ずつ丁寧に取り除いていくので、どうしても時間がかかります。
そのため、ついている歯石の量によって作業スピードも変わります。1回で全ての歯をきれいにできる人もいますが、上顎と下顎に分けて2回、上顎と下顎をそれぞれ左右に分けて合計4回と通院が必要なケースもあります。
初診から歯石を完全に除去するまで、最大で何回通院する必要がありますか?
最大で8回程度かかる場合があります。
8回も通院いただくのは大変だと思います。ですから、歯石がそこまで増えてしまう前に、歯医者の定期検診で除去しておくことをおすすめします。
痛いのが苦手なのですが、痛くない歯石除去の方法はないのでしょうか?
「歯医者=痛い、怖い」というイメージを持っている人も多いかもしれません。しかし、歯周病が進行していなければ、歯石除去で強い痛みを感じる人はあまりいません。
また歯茎の腫れがひどい場合は痛みを感じることもありますが、その際は事前に痛みが出ないような処置を施してから作業に入るのでご安心ください。
もしそれでも「痛いのがとにかく苦手」という方には、麻酔を使用して施術することもできますので、お気軽にご相談ください。
歯石のセルフチェックに関する質問
黒い歯石は目で見て確認することはできますか?
歯石には、歯茎の上に付く歯肉縁上歯石(=白い歯石)と、歯肉の中(歯周ポケット内)につく歯肉縁下歯石(=黒い歯石)があります。
黒い歯石は歯茎が腫れていると、なかなか肉眼で見ることはできません。しかし歯石除去を進めていけば、お口の中の細菌が減ります。すると歯茎の腫れがおさまるので、目で見て確認することもできるようになります。
ただ黒い歯石ができる頃には、一定以上歯周病が進行している可能性が高いので、そうなる前に歯医者に行くことをおすすめします。
目で見る以外にセルフチェックする方法があれば教えてください。
歯周病の諸症状があるかどうかでセルフチェックをすることができます。なぜなら前述したように、黒い歯石ができる頃には、一定以上歯周病が進行している可能性が高いからです。
- 歯茎に歯ブラシが当たると出血する。
- 唾がねばねばする。
- 口臭がキツくなった気がする。もしくは周囲から口臭を指摘された。
- 歯茎を指で押すとムニュムニュと柔らかい(=歯茎が腫れている)。
- 歯茎を指で押すと膿(白い液体)が出てくる。 など
こうした症状が確認された場合は、できるだけ早く歯医者に行きましょう。
歯の表面のザラザラは虫歯や歯周病の前兆ですか?
前兆になる場合もあります。虫歯で歯が欠けていたり、歯石がついてザラザラしている場合は、そのまま放置すれば歯周病になるリスクが非常に高くなります。
また、ツルツルの面とザラザラの面では、食べカスの残りやすさ、歯みがきのしやすさに大きな違いがあります。そのため放置していると虫歯や歯周病につながる可能性が高くなります。
歯がザラザラしていたら歯医者にいくべきですか?
1人の歯科医師としては、「行くべきです」が答えです。なぜならセルフケアでは限界があるからです。
ご自身の磨き残しが原因でザラザラしているのであれば、それを自分で除去しきるというのは難しいでしょう。
かと言って「よし、このザラザラを取るためにしっかり歯みがきをするぞ!」と意気込めば、逆に歯茎を傷つけて歯周病の原因を作ってしまうリスクもあります。
セルフメインテナンスについての質問
毎日歯ブラシで磨いて歯垢をとっているので、歯石はできませんよね?
いいえ。残念ながら、毎日丁寧に磨いていても歯石はできてしまいます。これは歯科医師の私でも、当院のベテランの歯科衛生士でも同じです。
全ての部位を完璧に磨けるという人はごく少数で、大半の人が毎回同じ部位を磨き残す傾向にあります。そこにはずっと歯垢が残っていて、時間が経てば歯石に変わります。
だから数ヶ月に一度は歯医者で歯石除去をする必要があるのです。
毎食後に歯ブラシで磨いていても、デンタルフロスは使った方がいいのでしょうか?
はい。歯と歯の間は非常に狭く、歯ブラシでは十分に磨くことができません。
お風呂場でも、しっかりと掃除ができていないところには水垢やカビがついてしまいますが、歯みがきも同じです。
歯の間だけがずっと不十分な掃除しかされていなければ、そこに歯石が溜まり、歯周病の原因になっていきます。
実際、歯の間に歯石が溜まった結果、歯石で歯の間が埋まってしまい、歯間ブラシやデンタルフロスが通らないという患者様もいらっしゃいます。
デンタルフロスを使えば、こうした事態を防ぐことができます。歯みがき=歯ブラシ+デンタルフロスと考えて、毎日欠かさず使っていただければと思います。
自分で歯石を取っているので、歯医者で歯石取りをする必要はないですよね?
自分で歯石を取るのをやめて、歯医者に行くことをおすすめします。
確かに通販サイトなどで、「歯石とり」「スケーラー」といった商品が販売されているので、それを使ってセルフケアをしているという人もいるかもしれません。
しかし歯科医師からすると、歯石のセルフケアはリスクが高く、推奨はしていません。
- セルフケアの器具は先端が尖っているため、歯茎を痛める可能性がある。
- 目で見て確認しながら除去できないので、歯石が残る可能性が高い。
以上の理由から、自分でなんとかしようとせずに、プロの手を借りていただければと思います。
まとめ
歯石を放っておくと、そこで細菌が繁殖して、虫歯や歯周病の原因になります。
歯垢にしろ、歯石にしろ、患者様ご自身できれいにできればいいのですが、お口の中にはどうしても普段の歯磨きやデンタルフロスでは届かない場所があります。だからこそ、歯医者でのプロのメインテナンスが必要不可欠なのです。
歯石があることを自覚されている方や、出血や唾のねばつき、口臭など、歯周病のサインがある方は、ぜひ一度お気軽に当院をご予約ください。経験豊かなスタッフが、状況に応じて丁寧に対応させていただきます。
早め早めの対応が、病気のリスク・治療のコストを最小限に抑えてくれます。「なんかちょっとおかしいな」と感じたら、迷わずお問合せください。